【ドリトル先生】祝・映画化!100年前に書かれた児童小説の名作。動物と話せるドクター・ドリトルの大冒険。【ドリトル先生アフリカゆき】【小学校中学年以上】
わたしたちのおじいさんがまだ子供だった頃、ではじまるストーリー。今だとわたしたちのおじいさんのおじいさんが子供だった頃…かもしれません。イギリスの片田舎の医師が、動物の言葉を話せるようになり、大冒険する児童小説です。「ドクター・ドリトル」として今年映画化です。
この本のイメージ わくわく☆☆☆☆☆ かわいい☆☆☆☆ どこかなつかしい☆☆☆☆
ドリトル先生アフリカゆき 【ドリトル先生シリーズ 1 】 ヒュー・ロフティング/作 井伏 鱒二/訳 岩波少年文庫
<ヒュー・ロフティング> 1886〜1947年。イギリス生まれ。土木技師を経て、1912年アメリカで結婚し、文筆活動に入る。著書にドリトル先生シリーズ。 |
今年は、ドリトル先生100周年だそうです。子どもの頃に大好きで、何度も読みましたが、今読み返しても100年前に書かれた作品とは思えないほど、イキイキとして楽しい物語です。
沼のほとりのパドルビーという小さな町で、人間のお医者さんをしていたドリトル先生ですが、動物好きが高じて家の中は動物だらけ。餌代で家計が傾いていきます。
ところがある日、オウムのポリネシア(オウムの名前です)から「動物にも言葉がある」と教えられ、動物語を学ぶようになるのです。動物と会話が出来るようになったドリトル先生は、獣医になります。
主訴を直接動物から聞く……動物に直接問診できる獣医に、です。
おかげでドリトル医院は大繁盛しますが、あるとき、歯を治してやったワニが家に住み着いてしまったことで、身の回りの世話をしていた妹は出て行き、患畜はワニを恐れて来なくなり、またしても貧乏になってしまいます。
動物たちが手分けして家事をやり、なんとかして家の切り盛りをしようとしますが、家計は火の車。にっちもさっちもいかなくなったところへ、飼いサルのチーチーのところに故郷のアフリカから便りが来るのです。
アフリカで伝染病で苦しんでいるサルたちを助けてほしい----
ドリトル先生は、お供の動物たちを選抜し、アフリカに向けて船出します。
その後、アフリカでの冒険、海賊との戦い、遭難した船乗りの救出など、さまざまな出来事を体験して、パドルビーに戻ってきます。
たくさんの動物たちが人間の登場人物と変わらぬ魅力で大活躍します。どこかなつかしい雰囲気がある、やさしくて楽しい物語です。ドリトル先生のキャラクターも、いまどき見かけない上品なイギリス紳士で、それが物語にとても合っていて、素敵です。
そして、井伏鱒二の訳が素晴らしい。文章が流れるように美しく、テンポよく読みやすく、そして、古臭さを感じさせません。多少感じる古風なところは、むしろ、今ではおしゃれです。この文章で児童小説が読めるのがうれしいですね。
ただ、原作は100年前に書かれた物語ですので、アフリカの黒人の王子様が白い肌になりたがったりとか、今だと「うーん、ちょっと……」というエピソードは、確かにあります。
それは時代背景などを考慮しつつ読む必要があり、小さなお子様には説明してあげたほうがいいでしょう。
けれど、それを抜きにしても、色あせない魅力がある物語です。
ドリトル先生シリーズは全13巻です。どの本もわくわくする面白さで、おすすめですよ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
古い物語ですので、黒人等に対する描写が、当時の人間感覚なので作者が勘違いしている部分があります。そういう事情なのだな、と思って読める方にはおすすめです。それ以外は、安心してお読みいただけます。 温かい英国紅茶を用意して、お読みになることをおすすめします。
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