【ふたりのロッテ】ふたごの姉妹の秘密の大冒険!児童文学の名作。アニメにもなった心あたたまる家族再生の物語。【小学校中学年以上】

2024年1月18日

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ふたりのロッテ エーリヒ・ケストナー/作 池田香代子/訳 岩波少年文庫

「飛ぶ教室」の、エーリヒ・ケストナーの少女向け児童小説の名作です。ルイーゼとロッテは夏休みの合宿で出会い、お互いがあまりにもそっくりなのに驚きます。そして……

この本のイメージ わくわく☆☆☆☆☆ どきどき☆☆☆☆ 家族愛☆☆☆☆☆

ふたりのロッテ エーリヒ・ケストナー/作 池田香代子/訳 岩波少年文庫

<エーリヒ・ケストナー>
 1899〜1974年。ドレスデン生まれ。ドイツの詩人・作家。60年国際アンデルセン大賞を受賞。著書に「エーミールと探偵たち」など。

 大好きな本です。この記事を書くために、もう一度読み直しました。ケストナーの作風が好きで、「飛ぶ教室」も「エーミールと探偵たち」もお気に入りです。
このブログをはじめてからは、一日一冊一レビュー(ただし日曜日は休み)のノルマを自分に課しているので、好きな本の読み返しをしている暇がないのですが、夏になったらもう一度読みたい本です。

 「ふたりのロッテ」は30年くらい前に、アニメーションになったことがあります。オープニングとエンディングは、当時の大人気デュオ、Winkでした。(「イマージュな関係」「追憶のヒロイン」)
最近の人は、Winkってご存知なんでしょうか。当時そりゃあもう、すごい人気で、少女漫画家さんは、よく彼女たちのステージ衣装(のようなデザインの服)をキャラに着せてカラーページを描いたりしていたものです。

 歌もよかったのですけど、衣装がどれもこれもかわいくて、アニメやゲームのキャラみたいなデザインだったんです。 たぶん、ふたごの話だったから、Winkだったんでしょうね。(Winkの話はもういい)友達とよくカラオケで歌いました。(まだ言うか)
 
 と、Winkはさておき。

 夏休みの休暇学校(日本にはありませんが、サマースクールのようなものでしょう)で、ルイーゼとロッテは出会います。

 あまりにそっくりな彼女たちは、最初は反発しますが、すぐに仲良くなります。そして、互いの誕生日が同じで、そして、ルイーゼにはお父さんだけ、ロッテにはお母さんだけしかいないことを知ります。

 そこから、ふたりはある結論に辿り着き、真実を知るために驚くような行動に出るのです。

 ケストナーは元新聞記者だけあって突拍子もないことは書きません。「現実にあるかな、できないかな」のぎりぎりのところを攻めてくるストーリーがいつも見事です。
ルイーゼとロッテのたくらみは、「いくらなんでもばれるだろう」みたいなところを、ふたりが綿密なノートを作ったり、郵便局止めで連絡を取り合ったりする用意周到さで、実現可能なところに落とし込んでいるところがすごいと思います。

 子供って、こういう細かいリアリティが好きですよね。「子供向けなんだから適当でいいだろう」というのが無いところが。

 ケストナー作品の根底に流れている、「大人は子どもを(できるからといって)ないがしろにしてはいけない」と言う信念が、随所に貫かれています。

 作中に、「シャーリー・テンプル(当時たいへん有名で人気のあった子役女優)は女優として映画に出演はできても、自分の出演した映画を見ることができなかった(当時の映画館は盛り場のような扱いで子供は入れなかった)」という有名なエピソードが書かれています。

 つまり、自分にかかわる大事なことなのに、「子どもは知らなくていい」と言って、大人がすべて決めてしまうのはおかしい、と言うのが、この本のテーマなのでしょう。

 けれど、本当のことを知るとなると傷つくこともあるし、ものごとがかえってうまくいかなくなることもあります。それでも、子どもたちは真実を知って、最後は家族全員が力を合わせて、家族を再生するのです。

 双子のお父さんのパルフィー氏は指揮者で作曲家、お母さんのルイーゼロッテさんは出版社で働いている真面目な職業婦人です。

 この、お父さんのパルフィーさんと言うのが骨の髄までの芸術家で、真面目なルイーゼロッテさんと、若い頃どうしてもうまくいかなかったのはどうにもこうにも仕方が無い性格なのです。

 なにしろ、目の前で娘が目に涙をためている様を見て、「今なら、哀しい曲が創れるぞ」と思っちゃうような人ですから……。(業が深い……)

 それでも、それぞれが歳をとり娘たちが大きくなって、かつては解決できなかった様々なことを、力をあわせて解決できるようになってゆく話は、すがすがしいハッピーエンドです。

 情があるけど理屈もある。それがケストナー作品の魅力です。

 男性の書いた少女小説なので、ウェットになりすぎず、すっきりとした読後感です。男性が読んでも楽しめると思います。おいしいコーヒーと一緒にぜひどうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はいっさいありません。安心してお楽しみいただけます。男の子が読んでも楽しいと思います。おいしいコーヒーを飲むシーンがたびたび出てきますので、コーヒーと一緒にぜひどうぞ。

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