【嵐をしずめたネコの歌】猫ファン必見!実話をもとにした、猫が大活躍する絵本です。読み聞かせにもおすすめ。
昔、モーザーという猫が年老いた漁師とともに海沿いの町に暮らしていました。あるとき、その町に嵐がやってきて、何日も漁に出られなくなってしまいました…。その嵐は、「嵐の大ネコ」が引き起こしたものだったのです。
この本のイメージ 猫かわいい☆☆☆☆☆ 挿絵が美しい☆☆☆☆ 猫かわいい☆☆☆☆☆
嵐をしずめたネコの歌 アントニア・バーバー/作 ニコラ・ベイリー/絵 おびか ゆうこ/訳 徳間書店
イギリスのコーンウォールに伝わる実際の伝説に、ネコを加えてファンタジーにした童話です。
今から500年ほど前、イギリス、コーンウォールのマウスホール村で、毎日嵐が続き、漁師は海に出られず、食べ物が底をついてしまいます。そんなとき、トム・バーコックという漁師が嵐の中、単身漁に出て、大量の魚を獲ってきてくれたため、村人は全滅を免れたという伝説です。
この伝説に、モーザーという雌猫と、嵐を引き起こす「嵐の大ネコ」を加えて作られたのがこの童話です。
嵐を起こしているのが「嵐の大ネコ」で、その暴風雨をモーザーが歌声(鳴き声?)や、ゴロゴロ音でしずめるのです。
その間にトムが魚を獲ると言うわけ。
挿絵が美しく、猫の魅力を存分に現しているので、猫好きの家族なら、絶対おすすめです。どの猫の絵もとてもかわいいのです。
コーンウォールでは、この伝説に由来する「スターゲイジーパイ」と言う、イワシの頭がパイの外にはみ出てるパイがあります。「パイの中にちゃんと魚が入っていますよ」と言うしるしなんだそうです。
嵐が続いていた間、たぶん村では魚のパイと言いながら、魚はちょびっとで後はほとんどジャガイモみたいなパイを作って食べていたんでしょうね。だから、魚が突き刺さっているパイは、大漁を祝う喜びのしるしなんでしょう。
何日も何日も嵐が続いていたとき、村人はどんな気持ちだったのでしょうか。いつ収まるかわからない嵐の収束を待ちながら、村の食料がどんどん減っていくとき、どんな気持ちで耐えていたのでしょうか。
でも、絶望しかけていたとき、トムはたくさんの魚を獲ってきたのです。そして、村は救われました。
もうだめなのかなと思ったときにも、不思議な何かが起きるのかもしれません。この童話では、トムが魚を獲ることができたのは、モーザーが猫の歌を歌ったおかげだ、と言うのは人間は誰も知りません。
だから、人間はトムを囲んでお礼とお祝いはするけど、猫のモーザーにはお礼はしません。でも、モーザーは人間がパーティーをしている間、宿屋の裏手で猫パーティーをするのです。
誰かが、どこかで頑張っている。それが自分の目に見えなくても。そして、誰かの頑張りで、びっくりするようなことが起きることもある。
見えない嵐がやってきて家から出られず、待つしか出来ないときにも、きっとどこかに希望はあるはずですよね。
こんなときには、この絵本がいいかなと思いました。
温かいジンジャーティーか、ジンジャーココアと一緒にどうぞ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はいっさいありません。猫の挿絵がとてもかわいいです。猫好きさんに心からおすすめ。
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