【ドリーム・ギバー】夢を与える不思議な存在たちのストーリー。ニューベリー賞受賞作家の珠玉のファンタジー。【小学校中学年以上】

2024年1月21日

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ドリーム・ギバー 夢紡ぐ精霊たち ロイス・ローリー/作 西川美樹/訳 金の星社

リトレストは、記憶を集め夢を与える、新米のドリーム・ギバー。彼女は、指導教官エルダリーと一緒に、とあるおばあさんとジョンという少年の担当になりました。そのジョンには深刻な過去があって…

この本のイメージ 幻想的☆☆☆☆☆ 親子愛☆☆☆☆ 心の傷からの癒し☆☆☆☆

ドリーム・ギバー 夢紡ぐ精霊たち ロイス・ローリー/作 西川美樹/訳 金の星社

 初読です。
恥ずかしながら、わたしは、このロイス・ローリーと言う作家を知りませんでした。児童文学界ではかなり有名な方のようです。
 代表作は「ギバー」四部作と言われるSFらしいので、そちらもいつか読んでご紹介したいと思います。

 名作でした。

 一言で言い表せない、万華鏡のような魅力があります。このお話は、「ドリーム・ギバー」という、夜、眠っている人間に良い夢を見させる精霊が主人公です。

 それに対して、人に悪夢を与える「シニスティード」という存在も出てきます。

 人間側の主人公は、ジョンと言う少年で、彼には深刻な過去があります。彼がソーシャルワーカーによって、ある老婦人(作中では「おばあちゃん」とだけ書かれており名前は出てこない)に預けられます。

 ジョンはもう、なんというか、体中とげだらけのような状態で、おばあちゃんの家にやってくるんです。ジョンの担当になったドリーム・ギバーが、精霊側の主人公、リトレスト。彼女は、その人の持ち物に宿った「幸せな記憶のかけら」を集めて、それを夢にして人間に幸せな夢を見せてあげるのが仕事です。

 ところが、このジョンの持ち物を隅々まで「触った」リトレストは、ジョンにはほとんど「幸せな記憶」がないことに気づくのです。

 さて、リトレストはこの難関を潜り抜けることができるのでしょうか…と言う、ストーリーです。

 先日のブログ記事で、子供は幼児期に「条件つきの肯定」ではなく、「無条件の肯定」をされて育っていれば、その後の人生のどんな困難も乗り越えていけると書きました。

 ジョンの生い立ちはその逆です。それどころか、自尊心や愛情への期待を徹底的に踏みにじられて育てられていました。

 ジョンは過酷な生い立ちにより、極度の人間不信と攻撃性の高い性格になってしまっています。実際に、わたしがジョンのような子に出会ったら、このおばあちゃんのようにおおらかに接することが出来るかどうかは、自信がありません。また、ジョンが同情をひくようなふるまいを一切せず、里親からかわいがられようとしないため、たらいまわしにされた理由もよくわかります。
 おばあちゃん、本当にすごいんですよ。でも、ジョンもひどい振る舞いをしながらも、それを納得できるだけの事情がある子なので、彼の事情が明らかになるにつれ、読みながら胸が潰れそうになります。

 最終的にハッピーエンドなのですが、ぜひ、実際にお読みになって彼らの行く末を確かめていただきたいです。

 構成もすばらしく、繊細なパズルのピースが、ラストに向けてどんどん組み合わさっていくのは精巧な細工物のようです。

 ジョンが救われていくところでは、涙ぐみながら読みました。本当に救われてよかったし、おばあちゃんが、ものすごく偉大でした。いつかは、こんなおばあちゃんになりたいと素直に思いました。

 文章は平易で、ひらがなが多く、字も大きくて読みやすいのですが、表現している情緒はとても深いです。技術的には小学校中学年以上なら読めるのですが、この物語全体を深く理解しながら読むなら、もう少し年齢が高いほうがいいのかもしれません。 ドリーム・ギバーとシニスティードについては、まだまだ語られていない部分も多いので、シリーズ化されたらぜひ読みたいものです。

 とにかく、すごい児童文学に出会った、と言うのがシンプルな感想です。(シンプルすぎるよ…)

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ジョンの過去がかなりつらく、読んでいてきついきもちになるかもしれません。しかし、そのあたりはすべて報われる形でのハッピーエンドです。もしかしたら、今現在つらい状況にいるお子様にも、励ましになるかもしれません。
辛い生い立ちの子供が幸せになる話が好きな方にはおすすめです。ハチミツ入りのジンジャーミルクティーと一緒にどうぞ。

眠れない人へ

眠りって、本当に大切なんです。現在は学校が休校になって、おうちにいるお子さんも多いと思いますし、仕事がお休みの方もいると思いますが、まずは、寝てください睡眠不足は、あらゆる病気のもとです。紅茶に生姜やハチミツをいれて飲んで、あたたかくしてお休みください。(2020年3月4日)

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