【ジャングル・ブック】映画にもアニメにもなった、児童文学の名作。ジャングルで狼に育てられた少年の物語【小学校高学年以上】

2024年1月25日

広告

ジャングル・ブック  ラドヤード・キプリング/作 三辺律子/訳 岩波少年文庫

モウグリは、幼いころ、虎に襲われてジャングルに置き去りにされた子供でした。彼を育てたのは、狼のラクシャ。そして、ジャングルの動物たち……

この本のイメージ 冒険☆☆☆☆☆ 大自然☆☆☆☆ 動物いっぱい☆☆☆☆

ジャングル・ブック  ラドヤード・キプリング/作 三辺律子/訳 岩波少年文庫

 100年以上前に書かれた、名作児童文学です。何度も映画化されていますし、最近では、2016年にディズニーが映画化しました。
日本では1989年に、テレビ東京で「ジャングルブック・少年モーグリ」としてアニメーションになっています。

 今の若い人はご存じないと思いますが(またかよ)、このアニメが大層な人気だったわけですよ。大きいお姉さんたちに。

 わたしは、この時期、忙しい時だったので、スケジュール的に視聴できなかったり、飛び飛びにしか知らなかったりするものが多いのです。今の方からは想像もできないと思いますが「録画」と言うものが一般的ではなかったのです。

 裕福な家庭がビデオデッキを持っていて、その設備がある人たちだけがリアルタイム以外の時間に視聴できる時代でした。
つまり、スケジュールがあわなければ、ドラマもアニメも見ることができなかったのです。

 しかし、当時、「ジャングルブック・少年モーグリ」は、夏と冬の海辺の祭典で、そこそこのジャンルが出来るほどの人気でした。みんな黒豹のバギーラのファンだったと記憶しています。
 若い世代が「バギーラいいよね!」と言うと、さらに上の世代のいにしえの文学少女が原作のことだと思って「バギーラいいよね!」と返すという具合で、世代を超えてへんなふうに会話が成り立っていました。

 ストーリーは……インドのジャングルで虎に襲われた親子は、幼い子供を置き去りにしてしまいます。親を失った子供は、黒豹のバギーラと熊のバルーを後ろ盾にして狼の族長アケイラの庇護の下、狼の母ラクシャに育てられることになります。

 その子供、モウグリは、ジャングルの動物たちにジャングルのおきてを教えられ、狼の子としてたくましく育ってゆき、やがて宿敵、虎のシア・カーンと闘うことになるのです。

 前半の山場はモウグリとシア・カーンの対決なんですが、後半はモウグリと人間の対決というか、人間の無理解との対決になってゆきます。

 とくに、古の文学少女のお姉さま方が口をそろえて絶賛した「ジャングルを呼びよせる」は、ぜひお読みいただきたいです。産みの母メスワが村人たちにリンチに合い殺されそうになっていたのを、モウグリがジャングルの仲間とともに救出し、報復する話です。

 母メスワは、あわや火あぶりになりそうなところをモウグリたちに救出され、ジャングルの仲間たちに守られながら、イギリス人の領事官のもとへ送り届けられます。しかし、母をさんざん殴ったり石を投げたりして虐待し続けた村人たちをモウグリは許しませんでした。母親を無事イギリス人のもとへ送り届けた後、モウグリは村にジャングルを呼び寄せます。この壮絶なエピソードは、ぜひ、実際に本を手にとってお確かめください。

 あらためて原作を読むと、アニメよりはるかに原作のほうが、お嬢さんたちを惹きつける要素が多くて、「小さい男の子が好きなものは大きなお姉さんが大好き、小さい女の子が好きなものは大きなお兄さんが大好きの法則」はここでもあてはまるのだなあ、としみじみ思いました。

 モウグリは美しいのです。原作には、がっちりそう書いてあるのですよ!髪に花なんて飾ってるシーンもあります。この作品の中でいちばん美しいのはモウグリなんですよ……。だいたい、美少女とか出てきませんしね。(重要)

 というわけで、この本は少年小説ではありますが、現代のお嬢さんたちにも強く強くおすすめいたします。(落ち着け)
 物語のラストで彼は人間のもとへ帰りますが、それも人間の女性と恋をしてジャングルを捨てるとかのありきたりな展開でではありません。老いた母親のもとへ帰ってゆくと言う泣かせる話です。

 100年以上前の作家なのに、なんとわかってる人なんでしょう!(違う)

 まだイギリス領だった頃のインドが舞台で、モウグリはインド人という設定です。作者のキプリングさんは、幼少期をインドで過ごしイギリスの学校に入学します。(小公女セーラと同じですね)けれども、ずっとインドが恋しくて、最終的にインドで新聞記者として働くことになります。

 作品全体からあふれる、ジャングル愛、インド愛は100年以上の時を経過しても伝わってきます。
 文章は読みやすく、スピード感があり、映像的で、鮮やかなイメージが浮かび上がってきます。本来は、「ジャングル・ブック」と「続ジャングル・ブック」の二冊が刊行されており、たくさんの短編が収録されていたようなのですが、岩波文庫から出版されているものは、その中でモウグリが主人公の話をよりぬき編集したもののようです。

 それぞれの話の時系列が前後するので、そこだけがちょっと混乱するかもしれませんが、惹き込まれるお話なので、あっという間に読めます。

 人間とそれぞれの動物、ジャングルの価値観の違い、それによるぶつかり合いや和解など、現代でも通じる普遍的なテーマが根底に流れているので、今のお子様にも理解しやすいと思います。

 動物や自然が大好きな方は、ぜひ、どうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 流血シーンや動物の皮をはいだりするシーンがあるので、そういうのが苦手な方にはちょっときついかもしれません。でも、「そういうシーンがあるのだな」と事前に身構えていれば大丈夫な方にはおすすめします。スパイスたっぷりのインド風チャイをお供にどうぞ。

商品紹介ページはこちら

お気に入り登録をしてくださればうれしいです。また遊びに来てくださいね。
応援してくださると励みになります。

にほんブログ村 本ブログへ

広告