魔法を使う不思議な猫と寄宿舎ライフ、第二弾。新感覚のイマドキ児童文学です。読み聞かせにもおすすめ!【小学校低学年以上】

2024年1月26日

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魔法ねこベルベット2 妖精パックにご用心 タビサ・ブラック/作 武富博子/訳 くおん れいの/絵 評論社

ペイジはチャームホール学園での生活にずいぶん慣れてきました。学年末には同じ学年の友達たちと「真夏の夜の夢」のお芝居を上演することになって、ワクワク。ところが、事件が起きて…

この本のイメージ 不思議☆☆☆☆☆ 明るい☆☆☆☆ キラキラスクールライフ☆☆☆

魔法ねこベルベット2 妖精パックにご用心 タビサ・ブラック/作 武富博子/訳 くおん れいの/絵 評論社

 魔法ねこベルベットシリーズの第二巻です。

 毎年、チャームホール学園では夏の終わりに劇を上演することになっています。今年の演目は「真夏の夜の夢」。
ペイジたちは、親友のシャノン、サマーたちと、準備に大忙し。

 サマーは、妖精パックの役がほしいけれど、いまひとつ役がつかめなくて困っていました。すると、ベルベットのひげが金色に光り、本の中から妖精が飛び出してきたのです。

 前半は、ベルベットが呼び出した妖精パックが巻き起こす大騒動。後半は、ペイジたちの友達たちを巻き込んだ、演劇をめぐる、ちょっとしたミステリーです。もちろん、その解決に助太刀するのは黒猫ベルベット。

 今回は、優れた親を持つ子供のコンプレックスがテーマです。
現実にも、親が偉大すぎて潰れそうになってしまう子供はいます。親の愛情が深すぎて親子がすれ違うケースもありますし、親の愛情が無い場合も、残念ながら時にはあります。

 今回の物語では、ひどい大人は出てきません。どちらかというと、気持ちのすれ違いやボタンの掛け違いのような事件で、さいごはめでたしめでたしとなっています。

 主人公は小学生なので、想定読者も小学校一年生くらい。小学校一年生くらいのときって、親が世界の頂点みたいに見えている年頃ですから、そんなときに偉大すぎる親に愛されていたら、その愛がプレッシャーになってしまうこともあるでしょうね。

 そんななか、自分の本当にやりたいことをいい出せなかった子が、最後は本当にやりたかったことを母親に見せ、お母さんはそれを喜んでくれるという、心温まるいいお話でした。

 自分が本当にやりたいことを親が認めてくれるかどうか、子供の頃はものすごく不安です。
大人になってしまうと、あの頃どうしてあんなにも「親に許してもらう」ことが大事だったのか、不思議に思うようになりますが、子供の頃はそれが本当に重大なんですよね。親の理解が。

 子供にとって、それだけ親は大切な存在だからなんだと思うんです。 だからこそ、親には自分のしたいことや、好きなことを理解してもらいたい。

 これが赤の他人なら、理解しようがしまいが、バカにされようがどうでもいいと思えるのに、親にわかってもらえないと大ショック……できれば親が好きなものを自分も好きで得意だったらよかったのに……そんな、小さな子供時代特有の悩みが描かれています。

 大人になるとたったこれだけの話なのですが、10歳になる前の年齢だと、死ぬほど大事なことなんですよ。
この年齢の時期に、自分のしたいこと、自分の好きなことをまるっと親に肯定されることの大切さ。
なので、この年齢のお子様には、このお話はおすすめです。
ラストは「案ずるより産むが易し」と言う感じで、小さいお子様が親子で読むのにふさわしい締めくくりになっています。読み聞かせにぜひどうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

ネガティブな要素はありません。さわやかなハッピーエンドです。字が大きくて読みやすく、文章も平易ですので、小学校低学年のお子様の、物語の読みはじめにおすすめです。絵も、少女漫画調のかわいい絵です。

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