【宝島】児童文学界屈指の海洋冒険小説にして不朽の名作。「ワンピース」が大好きな人は必読です!【中学生以上】

2024年1月31日

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宝島 スティーブンスン/作 海保眞夫/訳 岩波少年文庫

港町の小さな宿屋ベンボー提督亭の息子ジムの運命は、宿屋の客、風変わりな船乗りビリー・ボーンズとの出会いで大きく動き出します。死んだ船乗りの荷物から出てきた一枚の地図。それは宝島の地図でした……

この本のイメージ 波乱万丈☆☆☆☆☆ 大冒険☆☆☆☆ わくわく☆☆☆☆

宝島 スティーブンスン/作 海保眞夫/訳 岩波少年文庫

<ロバート・ルイス・スティーブンスン>
1850-1894 スコットランドのエディンバラに生まれた、イギリスの作家。大学で弁護士資格を得てから作家に。代表作は「ジキル博士とハイド氏」「宝島」

 漫画「ワンピース」が大好きな人は、きっと楽しめる、冒険小説界の不朽の名作「宝島」のご紹介です。「ワンピース」の中にも、小説「宝島」オマージュのキャラクターも登場していますので、読むと納得できると思います。

 40年前に出崎統と言う、伝説的なアニメ監督がテレビシリーズでアニメ化しました。

 この方は、杉野昭夫というこれまた伝説的な作画監督とのバディで、数々の名作をこの世に送り出しましたが、「原作の骨」を崩さず、「まったく新しい解釈で作る」ことを得意とする方で、他ジャンルを含めても、ちょっと今でもあれほどの方は見たことがありません。(オリジナルじゃなくて原作付きの名手だったのです)

 オリジナルキャラクターの投入や、キャラの独自解釈を躊躇なく行う一方で、原作のテーマや原作の雰囲気などの、「骨」になるものを絶妙なポイントではずさないので、原作をアレンジしてるのに破壊せず名作にするという、神業的な監督でした。

 出崎監督は、「宝島」以外に、「ガンバの冒険」「ベルサイユのばら」(後半部分)、「エースをねらえ」、「あしたのジョー」(神作品と呼び声の高いのは「あしたのジョー2」)など多くの名作があります。

 わたしは、スケジュールなどの関係で、好きなアニメをリアルタイムで飛び飛びにしか見られなかったり、忙しくて読書できなかった期間があることから、今になって昔のアニメをじっくり見たり、児童小説を読み直したりしています。

 どれも新しい発見があり、楽しいものです。

 アニメ「宝島」は、オープニングもエンディングも、歌がすばらしいのでぜひ見てください。カラオケで熱唱すると、ある世代の方には喜ばれますよ!

 さて、原作「宝島」も、時代を超えて少年少女の心をとらえる名作に仕上がっています。主人公のジムの勇気は少年らしい無鉄砲さと合わさって、はらはらさせられつつもワクワクもします。アニメーションでは気のいい太っちょのトリローニさんは原作では大変かっこいい射撃の名手です。わたしの少女時代、原作のトリローニさんのファンがいましたね。リブシー先生は、アニメ同様、スマートで頼りになります。

 ジョン・シルバーは、アニメのほうがかなりかっこいいですが、原作では悪役としていい味を出していて、これはこれでインパクトのあるキャラクターです。
アニメでは大活躍するグレーは、原作ではほんの少ししか出てこない脇役なのですが、出番の少なさに比べて確かに印象深いキャラクターなので、彼を膨らませたいと思った出崎監督の気持ちはすこしわかりました。

 お話は、主人公ジムの家であるベンボー提督亭に、謎の船乗りビリー・ボーンズが泊まりに来たことからはじまります。彼は乱暴者のアルコール中毒者で、正体不明の荒くれ者に追われていました。
死んだビリーの荷物の中から出てきた一枚の地図。それは、海賊フリント船長の残した莫大な宝のありかを書いた、宝島の地図だったのです……。

 これを知った、郷士のトリローニさん、医者であり治安判事のリブシー先生たちが宝島を探しに航海に出る決意をします。そこへジムが参加するのです。ところが、郷士さんが選んだ船乗り、ジョン・シルバーが恐ろしい計画を立てていたのでした……。

 この物語に置いて、ジムは登場人物すべての運命を要所要所で変える「持ってる少年」として描かれています。

 現実にもたまにいるんです。なんていうことない人なんですがその人が動くと周囲が動いてしまうという、特異点みたいな人。その人は、自分の興味が動いたことに対して本能的に動いているだけなのに、驚くようなことが起きてしまうんですよ。

 ジム少年は、トリローニさんやリブシー先生にとっては幸運の少年でしたが、シルバーにとっては疫病神だったことでしょう。

 日本の宝探しもの小説やドラマでは、ラストに宝が手に入らないことが多いのですが、小説「宝島」では、ちゃんと宝は手に入ります。宝を手にしたあとの後日談も書かれており、「本当の宝は今までの冒険そのものなんだ」に慣れてしまっている日本人には、なかなか面白い展開です。

 100年以上前の海洋冒険小説ですが、色あせない魅力があり、ページをめくるたびにわくわくとした気持ちにさせられます。現代のライトノベルのような、情緒的なやり取りは薄いので物足りないかもしれませんが、レトロな味わいが好きな方は、楽しめるはず!

 次から次へとやってくる困難を知恵と勇気で乗り越えていく、正統派冒険小説です。
お時間のあるときに、楽しんでみてくださいね。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 言うまでもないことですが、暴力シーンはあります。苦手な方にはおすすめできませんが、「そういうシーンがあるのだな」と前もってわかっていれば大丈夫な方にはおすすめです。物語は正統派の冒険小説なので、どきどきわくわくで楽しんだ後は、すっきりとした読後感です。宝は見つかるし、手に入ります。
アツアツの英国紅茶と、シンプルなビスケットをお供に、お風呂上りにゆっくりとお楽しみください。男の子や、少年の心を持った男性にはおすすめです。

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