【ドリトル先生】ドリトル先生100周年!動物と話が出来るドクター・ドリトルの不思議な郵便局のお話【ドリトル先生の郵便局】【小学校中学年以上】
ドリトル先生がアフリカに出かけた帰り道、ズザナという黒人女性の夫を奴隷商人から取り戻したことをきっかけに、ファンティポ王国に滞在することになります。そこで、先生が手がけたのはなんと郵政改革だったのです…… 「ドクター・ドリトル」として2020年に映画化の原作です。
この本のイメージ 鳥さんかわいい☆☆☆☆☆ どこかで見た☆☆☆☆ 思い出すネット黎明期☆☆☆☆☆
ドリトル先生の郵便局 【ドリトル先生シリーズ 3 】 ヒュー・ロフティング/作 井伏鱒二/訳 岩波少年文庫
<ヒュー・ロフティング> 1886〜1947年。イギリス生まれ。土木技師を経て、1912年アメリカで結婚し、文筆活動に入る。著書にドリトル先生シリーズ。
正直、ドリトル先生のシリーズは、どの順番に読んでもいいと思うのですが、これはかなり面白いです。
と、言うのも、この本でドリトル先生がやったことは、インターネットを使いこなしている人には、わりと経験があるのではと思うことだからです。
ドリトル先生がアフリカに行った帰りに、海上で丸木舟に乗ったズザナという女性を助けます。彼女の夫が奴隷商人に売られてしまい、なんとか取り戻そうと追いかけてきたのです。先生たちは、奴隷商人を捕まえ、彼女を助けてあげます。
そして、ひょんなことから彼女の母国、ファンティポ王国の郵政を改善する役目を担うことになってしまいます。
イギリスの郵便システムに憧れ、自国にも「郵便」を取り入れようとしたファンティポのココ王でしたが、切手と言う魔法のお札を貼って、ポストという魔法の箱に入れれば、魔術で手紙は届くと思っていたため、ファンティポの郵便制度はメチャクチャでした。
そこへ、ドリトル先生が申し出て改善を手伝うことになります。
王国の郵便システムを本来のものに改善したあと、ドリトル先生にはある夢が生まれました。世界一速くて正確な郵便網を作ることです。
先生は、世界中の鳥たちに協力を要請すればそれができると思い、鳥たちに呼びかけます。鳥たちは喜んで参加を表明し、世界のどこにいても手紙が届く、(と言っても、作中で語られる「世界」はイギリスとアフリカのみですが)渡り鳥リレー配達網を作り上げるわけです。
まさに、鳥インターネット。
この、類を見ない高速通信網により、いきなりファンティポ王国の郵便システムは世界一となってしまうわけですが…。
そこで、ドリトル先生はさらにいろんな試みをします。
出来上がった鳥インターネット情報網により、ドリトル先生は世界中の天気を知ることが出来ました。それで、世界中の天気を予報する無人気象台を作り、希望する人に天気予報を手紙で教えてあげるわけです。
次に、先生は、世界中の動物たちから送られてくる悩み相談や質問に答えて、通信教育を始めました。今で言うメール相談と言う奴ですね。
そして、次には、仲間の動物たちと、めいめいで面白いお話を提供させて「動物雑誌」を発行することにしました。つまり、メルマガです。
こんな感じで、ドリトル先生は、渡り鳥たちの鳥インターネットでたくさんの楽しい試みをするのです。
子供の頃読んだときも、わくわくするお話でしたが、今読むと、すべてがインターネットの成長と似ていて、今のほうが面白く読めます。インターネットと共に育ってきた世代は、さまざまなことが懐かしく楽しく感じられると思います。
ドリトル先生の物語はどれも面白いのですが、この本がひときわ魅力的なのは、文明が育っていくすがたを描いているからのように思います。文明は、ときには動物を追い詰めますが、著者が文明に否定的でないのは、この素敵な郵便システムにたくさんの動物たちが参加して楽しんでいる様子を描いていることからもわかります。
文明と自然は、必ずしも対立し戦いあうものではないような気がするのです。
親子で読みながら、お父様お母様は、インターネットの成長の歴史をあわせてお話されると、親子で会話が盛り上がるように思います。本当に便利になりましたよね。
「ドリトル先生の郵便局」は、ぜひ紙の本でお楽しみいただきたいのですが、電子書籍でも読むことが出来ます。
この物語の後半で出てきた亀のドロンゴは、彼の語った物語として、また別の物語がありますので、どうぞお楽しみに。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。楽しくゆかいな動物ファンタジーです。おいしい英国紅茶と、ビスケットをお供に、ぜひどうぞ。
最近のコメント