【E.ネズビット】姉と弟が古城でタイムトラベル?ハリー・ポッターの作者がこよなく愛した不思議ファンタジー【アーデン城の宝物】【小学校高学年以上】
お父さんとおじさんが南米で行方不明になり、死んだと知らせが来た後……ふとしたことから、エドレッドは自分がアーデン家の跡継ぎでアーデン城を受け継ぐことになると知らされます……
この本のイメージ 不思議☆☆☆☆☆ 歴史ミステリー☆☆☆☆☆ 家族愛☆☆☆☆
アーデン城の宝物 E.ネズビット/作 井辻朱美 永島憲江/訳 東京創元社
サミアどんこと「砂の妖精」でおなじみのE.ネズビットのタイムトラベルファンタジーです。
解説には、「J.K.ローリングがこよなく愛した」とあるので、多大な影響を受けたのでしょう。ハリー・ポッターシリーズの中にも、タイムトラベルをするアイテム「逆転時計」が登場します。
エドレッド、突然、アーデン卿になる
遠い南米でお父さんとおじさんを失ったエドレットは、ひょんなことから、自分たちがかつての名家アーデン家の跡継ぎになったと知ります。そう、アーデン卿になってしまったのです。
アーデン卿の居城、アーデン城には
「アーデン卿いまだ十にならざるが 九つはすでにすぎしとき、宵のうちにアーデン卿を アーデン塚に立たしめよ 呪文をとなえるわざあらば 宝みつかり幸あらん」
という不思議な言い伝えがあります。
そして、エドレッドは九歳にはなっていましたが、まだ十歳ではありませんでした。
エドレットは、呪文を探し当て、唱えます。
出現したのはアーデン家の象徴、白いモグラのモルディワープ。彼は人の言葉を話す、魔法のモグラだったのです。モルディワープに導かれ、エドレットとエルフリダは、様々な時代にタイムトラベルできるようになります。幼いきょうだいの、秘密の大冒険がはじまりました。
失われた宝をさがして
タイムトラベルの入り口になるのが、城の奥の古い屋根裏部屋です。
そこに並べられたいくつもの衣装箱は、そのときそのときで開くものと開かないものがあり、そこに収められている衣装を着るとふたりはその服の時代にタイムトラベルします。
だから、現代の服で過去に行ってしまい、「あんた誰?」みたいにならないのです。なんと親切設計なタイムマシン!
女性作家のファンタジーらしく、服や装飾品、建物や植物の描写が美しく、読んでいてきらびやかな映像が目に浮かびます。
ふたりは、古くなったアーデン城を修復するため、大昔に盗賊に盗まれて、どこかに隠された宝物を探そうと決心します。そしてタイムトラベルのたびに事件に巻き込まれ、最終的に驚くような宝物が手に入る…というお話。
タイムトラベル中の出会い
きょうだいは、過去の時代で、自分と同じように現代からタイムトラベルしてきたらしい、リチャード(ディック)と言う少年と出会います。
この謎の多いリチャード少年とは再び続編で出会えるようです。
エルフリダは、お父さんそっくりの過去のアーデン卿と楽しい日々をすごしたり、エドレットはウォルター・ローリーなど歴史上の人物と仲良くなったりします。はたまた、ロンドン塔に幽閉されたり王様の兵隊に追われたりと、 ふたりは いいことも悪いこともたくさん体験して、大きく成長していきます。
歴史ファンタジーならではの魅力として、歴史上の事件に何度も巻き込まれるので、日本で言えば、さしずめ陰陽師と出会ったり、戦国武将と出会ったり、八丈島に行ったりってところでしょうか。学校で習ったばかりの事件だったりすると、楽しくてたまらないと思います。
宝のゆくえは?
最後は、驚きのどんでん返しが待っています。
「おお~っ、そうきたか!」と言う意外な展開なので、ぜひ、読んでみてくださいね。ネズビットの小説はどれも、家族愛にあふれていて、さわやかで、心が癒されます。
「砂の妖精」サミアドもそうでしたが、今回の白いモグラ、モルディワープも毒舌です。でも、ぶーぶー文句は言うのに困ったときは絶対助けてくれる頼りになる精霊なんです。ネズビットの描く妖精と子どもたちの関係が、お互い悪態をつきあいながらも、だんだん縮まっていくのがとっても良い感じ。
あっと驚くハッピーエンドが待っていますので、ぜひ読んでみてください。
作品中で何度着替えるかわからないほどの衣装チェンジがあり、そこもお楽しみの一つ。映画化したら、すっごく楽しい作品になりそうです。ぜひ美少女美少年で作ってもらいたいなあ……
ラストは日本人が好きなタイプの、温かな気持ちになるハッピーエンド。装丁も美しく、雰囲気たっぷりの本なので、ぜひ、休日の午後にゆったりした気分でお楽しみください。
(今、確認したら市場には中古しかないようです。購入が難しい場合は図書館か、電子書籍でお求めください。また、 Kindle Unlimited に登録すると、無料で読むことが出来ます。)すごくいい本なので、出版社様、再版してください!
このお話は、「ディッキーの幸運」へと続きます。
※電子書籍で読む場合、端末は、読書専用、Kindle キッズモデルがおすすめ。ゲーム、動画、広告などは一切なく、読書に集中できますから、ママも安心ですよ!
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。心温まるハッピーエンドです。主人公は男の子ですが、とてもきらびやかなお話なので、女の子にもおすすめ。ファンタジー好き、世界史好きの大人にもおすすめします。
あつあつのアッサムティーとビスケットかスコーンをお供に、ぜひどうぞ。
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