【ナンシー・ドルーミステリ】90年前から愛されているアメリカのミステリー児童小説。ナンシーの事件簿【古時計の秘密】【電子書籍】【小学校高学年以上】

2024年2月13日

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古時計の秘密 
ナンシー・ドルーミステリ 1   キャロリン・キーン/作 渡辺庸子/訳 創元推理文庫

弁護士の娘、ナンシー・ドルーは18歳。正義感が強く直感に優れた少女です。ある日、偶然知り合った老姉妹の生活の窮状を聞くと、それまで援助の手を差し伸べてくれていた富豪が亡くなり、欲深な一家がその遺産を独占してしまったというのですが……

この本のイメージ  かっこいいヒロイン☆☆☆☆☆ ピンチに次ぐピンチ☆☆☆☆☆ 一件落着☆☆☆☆☆

古時計の秘密 ナンシー・ドルーミステリ 1   キャロリン・キーン/作 渡辺庸子/訳 創元推理文庫

 1930年に出版されてから、アメリカで今なお愛される「ナンシー・ドルーミステリ」記念すべき第一巻です。キャロリン・キーンは個人ではなく、チーム名だそうです。矢立肇みたいなものでしょうか。

 主人公は、ナンシー・ドルー。敏腕弁護士カーソン・ドルーの娘です。18歳の魅力的なお嬢さんで、お気に入りのダークブルーのコンバーチブル(幌つきのオープンカー)を乗り回しています。

 ある日、偶然知り合った貧しい老姉妹。古い家具を古道具屋に売ったところ、彼らに銀食器を盗まれてしまいます。偶然、その直後に居合わせたナンシーは、彼女たちの窮状と、そして最近亡くなられたジョサイア・クローリーの相続問題に巻き込まれていきます。

 正義感の強いナンシーが、ターナー姉妹を救おうと立ち上がります。
ターナー姉妹からフーバー姉妹、そして、一人暮らしのアビーおばあさんへと、手がかりをたどっていき、最終的にジョサイアの遺言状へとたどり着くお話です。

 ナンシーは元気で明るく快活。正義感が強く、直観力にすぐれ、そして頭も運動神経もよく、美人です。何から何まで揃ったパーフェクトな女の子。しかも、運転手つきじゃなくて自分で車を運転してどこへでも行ってしまう。
女の子のあこがれが全部詰まったような子です。第一巻出版は1930年ですから、当時、颯爽とコンバーチブルを乗り回す18歳の女の子がどれだけ画期的だったか。

 途中で、たった一人で疑惑に立ち向かうナンシーは、命の危機にさらされますが、知恵を使って絶体絶命の窮地を脱出します。救いをもとめてかっこいい男子の助けを待つこともなく、なにからなにまで自分で解決するナンシー。
 何度も繰り返しますが、90年前です。

 日本で言うと、「少年探偵団」より早いのです。
 その時代に、アメリカでは少女探偵ナンシーが大活躍していたわけです。

 こういうとこが、「かなわない」と感じてしまうところでしょうか。

 さて、初期のナンシー・ドルーシリーズ56作品は「オリジナル・クラシック」と呼ばれ、時代を越えて愛されています。殺人などの残酷シーンが無く、ナンシーの生活範囲の回りの事件を勧善懲悪で解決していきます。
それは、キャロリン・キーンを生み出したストラテマイヤー工房が「これは子どものための本である」と言う強い信念で生み出したものだから、とのこと。

 推理小説とは、子どもの思考力を育てるためにはとてもよい知育小説なのだそうです。ただし、推理ものやアクションものは、殺人や流血シーンをどの程度許容するかが、悩みどころ。その点、このタイプのお話なら、お子様にも安心です。

 実は、最近、わたし自身が、精神的に疲れているときは、バッドエンドやアンハッピーエンド、残虐描写や流血描写などをもはや受け付けなくなってしまったんです。若くて元気があったときは、神経が太くて菊池秀行だろうが平井和正だろうが、平気で読めた気がします。ああいうの、読むには気力体力が充実してないとだめなんですね。残念ながらもう無理です。(「吸血鬼ハンターD」などは、たいへん美しい小説なので心身ともに元気なら今でも読み返したい)

 あれですね、若い頃はステーキやとんかつなどボリュームがある食事が好きでも、歳をとってくると鍋や煮物がおいしく感じられてくるように、読書も、児童文学やジュブナイルのような、純粋なものが読みたくなるようです。

 「古時計の秘密」のストーリーは本格的な「推理もの」ではないので、実はナンシーは推理をしません。「直感」を働かせて次のアクションを決めるとそれが、どんぴしゃで当たるという、どちらかというと「持ってる」女の子。
 なので、推理小説というより「事件簿もの」のジャンルです。

 けれど、ナンシーはとてもかっこよく魅力的なので、30年代の香りを感じるとともに、ぜひ彼女の大冒険をお楽しみいただきたい。

 スマートフォンもインターネットもない時代、高速の連絡手段が無いもどかしさのなか、ナンシーはダークブルーのオープンカーを駆って謎を追います。いまよりずっと原始的な時代ですが、物語はスピード感あふれ、ナンシーの魅力が生き生きと伝わってきます。

 かしこい子なら小学校高学年以上から。そんなにボリュームは無いので、すんなり読めます。ただし、難しい漢字にふりがななどがふっていないので、漢字をたくさん知っているお子様向けです。
 これからも、ナンシーのシリーズは、こつこつ読んでいくつもりです。

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また、Kindle Unlimited に登録するとこの本が無料で読めます。端末は、機能が読書に限定された、キッズモデルがおすすめ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はまったくありません。子どものために作られた、良質なミステリ小説です。もちろん、大人の方も安心してお楽しみいただけます。表紙イラストも今風でかわいらしく、女の子へのプレゼントにおすすめ。もちろん、男の子にも楽しく読めると思います。
 おいしい紅茶をお供に、休日の午後にお楽しみください。

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この本の続きはこちら

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