【エーミールと探偵たち】少年たちの大追跡!友情と冒険の児童小説。【小学校中学年以上】

2020年10月13日

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エーミールと探偵たち 
エーリヒ・ケストナー/作 池田香代子/訳 岩波少年文庫

エーミールはお母さんと二人暮らし。休暇でおばあちゃんの家に行くことになりました。ところが、列車の中で大切なお金を盗まれてしまいます。絶対に、取り戻すんだ!ベルリンの街で、少年たちの大追跡がはじまります。

この本のイメージ 少年の友情☆☆☆☆☆ 大追跡☆☆☆☆ 母子愛☆☆☆☆

エーミールと探偵たち エーリヒ・ケストナー/作 池田香代子/訳 岩波少年文庫

エーミールと探偵たち 
エーリヒ・ケストナー/作 池田香代子/訳 岩波少年文庫

 「お金のことを話さないってことは、お金があるってことだよ、きっと」。

 これは作中でエーミールが言う言葉。「うちは、母さんとぼくとでしょっちゅうお金の話ばっかりだよ」と続きます。
 エーミールは、貧しい母子家庭。お母さんは美容師さんで、近所の方の散髪やシャンプーをして働いています。

 お母さんはエーミールが大好きだし、エーミールもお母さんが大好き。
 ある日、エーミールは休暇でおばあさんの家に行くことになります。ポケットには、お母さんが必死で働いて貯めた140マルク(一か月分の売り上げ相当)が封筒に入れてありました。この140マルクが事件の発端になるのです。

 列車の中でエーミールは、つい居眠りをしてしまいます。
 気がついたときには、ポケットのお金が無い!隣の席にいた山高帽の男に盗られたんだ!エーミールは、列車を降りて急いで彼を追います。

 見知らぬ駅、見知らぬ街、でも、お母さんが必死に貯めた140マルクを絶対に取り戻さないといけない、その想いで、エーミールは山高帽の男グルントアイスを追いかけるのです。

 途中でグスタフという少年に出会った時から、この事件は大きく動き始めます。ガキ大将のグスタフは、エーミールを気の毒に思い、一肌脱ごうと近所の少年たちを集めてくれました。

 「教授」と呼ばれる眼鏡の男の子が中心となって、山高帽の男グルントアイスからエーミールのお金を取り戻す、少年たちだけの大作戦が始まります。

 ケストナーの話はファンタジーではありません。たいていが現実に根ざしているのですが、「現実にできるかな、できないかな」というぎりぎりの「突拍子もなさ」が描かれているのが魅力です。

 少年たちはエーミールを助けようとおどろくようなチームワークを見せますが、「お母さんに夜遅くまで外に出てもいいか聞いてくる」と言って家に行ったきり戻ってこない子とか、気分しだいで約束の持ち場を離れちゃう子とか、適当な子がいるのもリアル。

 最後は、見事、山高帽の男を捕まえることができ、お母さんのお金も取り戻します。

 スマートフォンや携帯電話がなかったころ、家の固定電話と公衆電話だけでちゃんと連絡を取り合っている子どもたち。いまの子にはぴんとこないかもしれませんが、昔は、最先端の機器がある子の家は、友達が集まる場所になったものです。

 作中で、「火曜日くん」ことディーンスタークがとても立派な少年として描かれているところが大好きです。実際のところ、どんな場所でもこういう「縁の下の力持ち」が、とても重要なのです。
ゲーム開発の現場だと、テスターとか、デバッガーとか。場合によっては開発者のテロップに名前が入らないかもしれない立場の人たちなんですが、この方々が優秀かどうかで、結果がかなり違ってくるものです。

 著者ケストナーが、ディーンスタークくんがどれだけ立派かをページを割いているところや、エーミールがお母さんをどんなに大切にしているかを丁寧に描いているところで、これは単なる「子どもが大人をやりこめる話」ではないことがわかります。

 弱い立場の者でも、理不尽な目に遭ったらあきらめちゃいけない、きっと手助けしてくれる人たちは現れるから。
 そういうことだと思うんです。

 たとえ、どんなに突飛で荒唐無稽に思われても、諦めなければきっと大丈夫。ガキ大将のグスタフや作戦参謀の「教授」よりも、粘り強くグルントアイスを追い続けるエーミールや、真面目にお留守番するディーンスタークをきちんと書いているところが、この作品のいちばん大切なところだと感じます。

 男女ともに楽しめる作品ですが、男の子におすすめ。地方からやってきたエーミールが、都会の男の子たちにすんなりと受け入れられ助けられる展開は、とてもすがすがしい気持ちになります。

 難しい漢字には振り仮名がふってありますし、字も程よい大きさなので、読みやすい。大人でも楽しめる作品です。
 仕事で疲れたときなんかに、どうぞ親子で楽しんでくださいね。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。「少年探偵団」みたいな、明るくてさわやかな児童小説です。少年たちの熱い友情に、古きよき時代を感じます。男の子におすすめですが、女の子も大人も、楽しめます。のんびりした休日の午後に。カフォオレや、プレッツェルをご用意くださいね。

ケストナーの作品はこちらもあります。

いつもありがとうございます

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