【魔女の宅急便】スタジオジブリで映画化された名作児童小説。空飛ぶ魔女の宅急便【小学校中学年以上】

2024年2月2日

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魔女の宅急便 角野栄子/作 林明子/画 福音館書店

オキノさんと魔女のコキリさんのあいだに生まれ、愛されてすくすく育ったキキは魔女です。そんなキキにも、13歳の独り立ちの時がきました。相棒のジジと一緒に、自分が住む町を探して、旅立つのです。 (魔女の宅急便 角野栄子/作 林明子/画 福音館書店)

この本のイメージ 空飛ぶ☆☆☆☆☆ 様々な出会い☆☆☆☆ 魔法☆☆☆

魔女の宅急便 角野栄子/作 林明子/画 福音館書店

 宮崎駿監督によってアニメーション映画化されたこともある名作です。
 原作のほうがテーマがわかりやすく、オムニバス形式で、さまざまな仕事、さまざまな生き方の女性が出てきます。魔女のキキが独り立ちし、1人で生きているたくさんの女性と知り合う物語です。

 アニメに出てくるおソノさんや、絵描きさんも魅力的ですが、まにあわせのもので生活するまにあわせ屋のすみれさんとか、何にでも腹巻を作ってあげちゃうおばあさんとか、みんな自分なりのスタイルで毎日を楽しんで生きているんです。

 最初は、街の人たちに魔女を受け入れてもらえるかどうか不安なキキでしたが、この街の個性的な面々を見ていると、どんな生き方していても案外大丈夫なんじゃないかと思えてくるほどです。

 現実社会においても、今はむしろ、「こうじゃなければならない」という力のほうが強い時代です。この作品が世に出た頃は、もっと社会はのんびりしていたのです。そして、若い人たちが、将来に無限の夢を持てる時代でした。
 そういう意味では、わたしたち大人はいい時代に若い時代をすごせたのでしょうね。

 今の若い人や、子供たちは、本当に大変です。乗り越えなきゃいけない問題が山積みで、天変地異や伝染病さえもある。

 それでも、今の子どもたちには、この小説を読んで「どんな生き方をしてもいいじゃないか」と言う気持ちを心の片隅に抱いてもらいたいのです。たとえ、今はそれが難しいとしても。

 生活のすべてを「まにあわせ」ですませている「まにあわせ屋」さんなんて、とってもエコだけど、どう考えても杓子定規な世界では生きて行かれないような人です。でも、彼女は楽しそうに桶で洗濯をして、魔女に洗濯物をかわかしてもらってる。にこにこしてて幸せそう。

 ちょっと偏屈で気難しそうなのぎくさんも、彼女なりの幸せを満喫しているように思います。登場する人たちはみんな、心の奥にしっかりした芯のようなものがあって、それを大切にしている人たちなのです。

 「こうじゃなければならない」なんてどこにもない世界で、飛ぶことだけがとりえのキキが、のびやかに生きて、ごく自然に街に受け入れられていくお話は、映画のようなダイナミックさはありませんが、じんわりと心にしみてきます。
ふわっとしたやさしい雰囲気なのに、静かな強さがあるのです。

 もう一つ、この話が好きなところは、「魔女はあんまり大きな街では受け入れてもらえない」と言われていたのに、その固定観念を破ってキキが大きめの街でうまくやっていくところ。「エーミールと探偵たち」で、田舎育ちのエーミールが大都会ベルリンで災難にあったときに、都会の子どもたちが気持ちよく助けてくれたところと通じるものがあります。

 都会の人たちを優しく描いているところが好きなのです。確かに、都会って、変わり者を見逃してくれるくらいの懐の深さがあります。よく見ると変わり者だらけだったりしますからね。

 ちょっと元気が無いときに、背中を押してくれるおはなしです。毎日がままならなくて辛い気持ちの小さい女の子には、読んでいただきたいです。もちろん、大人の方の心の中の小さい女の子にも。

 世の中が大きく動くとき、心の中のちっちゃい女の子はなすすべもなく押し切られがちです。大きな流れの中では、ぐっと我慢するしかないときもあります。

 でも、たまには心の中の大空をキキのように飛ばせてあげたいものです。物語の力を借りて。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 HSCにおすすめの物語です。ネガティブな要素がまったくありません。自己肯定感に満ちており、かつ、誰のことも否定せず、失敗する人たちはいるけれど悪者がいない世界の物語です。

 働く女性やがんばっているお母さんにもおすすめ。どうぞ、読み聞かせしてあげてください。

 週末にリラックスして、お楽しみください。絶対におなかがすくので、ビスケットかおいしいパンをご用意くださいね。

商品ページはこち

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