【ビッケと赤目のバイキング】もうすぐ映画化!愉快なバイキングの物語再び。「小さなバイキング」の続編です。【小さなバイキングビッケ】【小学校中学年以上】

2024年2月12日

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ビッケと赤目のバイキング ルーネル・ヨンソン/作 エーヴェット・カールソン/絵 石渡利康/訳 評論社

今から千年ほど前、スウェーデンやノルウェーの海岸には「バイキング」と呼ばれる人たちが住んでいました。この物語は、ビッケという風変わりな、闘わないバイキングの少年の物語です。ビッケシリーズの2冊目。

この本のイメージ とんちが効いてる☆☆☆☆☆ かわいい☆☆☆☆☆ バイキング時代を知る☆☆☆☆

ビッケと赤目のバイキング ルーネル・ヨンソン/作 エーヴェット・カールソン/絵 石渡利康/訳 評論社

<ルーネル・ヨンソン>
1916年~2006年。スウェーデンのニーブロに生まれる。スウェーデンのジャーナリストにして児童文学作家。1963年に、『小さなバイキングビッケ』を刊行、1965年ドイツ児童図書賞を受賞。

 「小さなバイキング ビッケ」の続編です。
 このお話でも、ビッケは闘わずに知恵だけで問題を解決してゆきます。

 さて、今回のあらすじは…

 イギリスに略奪の旅に出たフラーケ一族でしたが、そこは一足先に残酷な「赤目のバイキング」が占領していました。
 罠にはまって、捕まってしまったハルバルたち。

 ところで、今回、ビッケはお留守番でした。突き指をしていて、ひとり戦線離脱していたスノーレは、命からがら逃げ帰ります。女たちに大ブーイングを受けるスノーレですが、「ビッケならみんなを助けてくれるはず」と信じてハルバルたちの危機を知らせに来たのです。

 さあ、ビッケとフラーケの女たちとスノーレの、一族救出作戦のはじまりです。

 今回のテーマはおそらく「思い込み」。

 フラーケのバイキングたちが赤目のバイキングたちに負けてしまった理由は、赤目のバイキング、ブローレたちの目が潮風で充血して真っ赤になっていて怖かったからです。
 ハルバルがあまり気にせず闘えたのは、片目で相手の目の赤さがよくわからなかったから。

 ビッケは、ありえないほど不利な状況からハルバル父さんたちを救出し、状況をひっくり返しますが、それもかなり「思い込みの力」を借りています。

 「思い込み」は、自分を奮い立たせてくれたり、恐怖ですくませたり、いいほうにも悪いほうにも働くのです。

 今回も、ビッケはほとんど闘うことなく、仲間を助け出したり富を手に入れたりして問題を解決しました。
 また、自分にも思い込みがなかったか反省したり、敵対していた人でも助けるやさしさを見せたりもします。これは、イルバ母さんの教育のたまものでしょう。イルバ母さんの優しさは、海より深いのです。

 荒っぽくて、わりとダメダメなところもあるフラーケのバイキングたちですが、かしこいビッケとやさしいイルバかあさんの支えで、他の地方よりずっと豊かに暮らせるようになりました。

 今回、いいなあと思ったところはここ。

 スペルケルは、もっとずうっと前に、頭に石をぶつけて、らんぼうになってしまったのだとは思いませんか。きっとそのせいで、かれは人殺しや、どろぼうをしたにちがいありません。ところが、ビッケと戦って石にほら穴を作ったときに、また本当のやさしいスベルケルにもどったのです。
 悪い人って、きっと頭を何かにぶっつけてそうなった人だ、と考えることにしませんか。だって、そう考えれば、悪い人を見ても、あんまり腹も立たないし、むしろかわいそうに思えるでしょう。
 そして、腹を立てなければ、それだけ気持ちよくほがらかになれるのです。(p182)

 今回のお話では、とても乱暴で意地悪だった人が、あるきっかけでとてもやさしくいい人になってしまったりするお話がオムニバスで書かれています。おそらく、これが二つ目のテーマ。

 「思い込み」の力が強ければ、「思い込み」の力で人は善人にもなるし、自分の頭の中でも「きっと本当はいい人なんだ」と思うことによって、トラブルを少なくすることができる、という事なんでしょう。

 荒々しく乱暴にぶつかり合うだけではない解決方法を、いつもビッケは提案します。そして、ビッケが「ずるがしこい卑怯者」にならないのは、知恵を使う時はいつも利己的な理由ではなく大切な人を守るため、そして、最終的には敵味方関係なく関る人々全員に優しくできるから。

 どうすれば、争わなくてすむか。
 どうすれば、ほがらかに暮らせるか。

 そんな疑問に対するこたえを、そっと教えてくれる物語なのです。

 今は、様々な困難が波のように押し寄せてきて、どうしても気持ちも暗く沈みがちです。
 こんなとき、物語の力を借りてみてはいかがでしょう。
 親子でビッケを読んでみてください。きっと、あたたかい気持ちになれますし、もしかしたら、身近な生活を楽しくするアイディアも出てくるかもしれません。

 字は大きく、文章も平易で読みやすく、むずかしい漢字には振り仮名がふってあります。小さいエピソードが三つくらい入っている形式なので、読み聞かせにもおすすめです。

 大海原をまたにかける、愉快な海賊の冒険をお楽しみくださいね。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素がほとんどありません。クスっとして、愉快でなごむ、風変わりなバイキングの物語です。ファンタジーではないので、魔法などは出てきませんが、面白おかしいとんち話は満載です。
 ストレスいっぱいでお疲れの時には、ビッケを読んで心を軽くしてくださいね。
 もしかしたら、いいアイディアが浮かんでくるかもしれません。

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