【グリーン・ノウ物語】グリーン・ノウを狙う魔女と少年たちの戦い。屋敷は守りきれるのか?【グリーン・ノウの魔女】【小学校中学年以上】

2024年2月12日

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グリーン・ノウの魔女 グリーン・ノウ物語5 ルーシー・M・ボストン/作 亀井俊介/訳 評論社

突然訪ねてきた謎の女メラニーは、グリーン・ノウを手に入れようとする邪悪な魔女でした。トーリーとピンは協力して彼女の攻撃からグリーン・ノウとオールドノウ夫人を守るために戦います。はたして、二人は屋敷とおばあちゃんを守りきれるでしょうか……

この本のイメージ 魔術戦☆☆☆☆☆ 少年の友情☆☆☆☆☆ ゴリラ成分あり☆☆☆

グリーン・ノウの魔女 グリーン・ノウ物語5 ルーシー・M・ボストン/作 亀井俊介/訳 評論社

<ルーシー・M・ボストン>
英国の女性児童文学作家。ランカシャー州(現マージーサイド州)サウスポートにルーシー・ウッドとして生まれ、サセックス海岸の女子寄宿学校に学ぶ。1917年ハロルド・ボストンと結婚、夫と別れた後、1939年にケンブリッジシャー州ヘミングフォード・グレイのマナーハウスに転居。60歳を過ぎてから「グリーン・ノウ」シリーズを書き始める。『グリーン・ノウのお客さま』でカーネギー賞を受賞。林望が英国に留学した際、ボストンの家に下宿していたことでも知られる。(Wikipediaより)

 グリーン・ノウシリーズは、毎回ちょっとずつテイストが違います。1巻はオカルトファンタジー。2巻はハンディキャップを乗り越える成長物語。3巻はファンタジーと現実の混じった友情もの、4巻はファンタジー色のない児童小説、そして5巻はなんと、少年漫画的な魔術戦です。

 「グリーン・ノウシリーズ」第5巻。ついにシリーズクライマックスです。

 1巻と2巻の主人公、オールド・ノウ夫人の曾孫トーリーと、3巻で登場し4巻でグリーン・ノウに養子として引き取られたピンはすっかり大親友になっていました。

 やさしいオールド・ノウ夫人と三人で、グリーン・ノウでの楽しい日々を過ごしていましたが、あるとき、メラニー・デリア・パワーズと名乗る怪しい哲学博士が訪ねてきます。彼女は、グリーン・ノウをとても気に入っていて、中を見せてほしいと言います。

 ところが、実は彼女は魔女で、グリーン・ノウを手に入れようと陰謀を企てていたのでした。
 あの手この手で攻撃してくるメラニーに、トーリーとピンが協力して立ち向かいます。

 はたして、彼らはグリーン・ノウを守りきれるでしょうか。と言うのが今回のあらすじ。

 トーリーとピンがすっかり仲良くなって二人で出かけたキャンプからグリーン・ノウに戻ってくるところからお話が始まっています。この二人が大親友になれて、ほんとうによかった!

 おそらく、当時のイギリスの風習だとピンはオールド・ノウ夫人の養子とは言えども、家を継ぐのは直系のトーリーなのでしょうね。そんな記述があります。でも、そんなことはまったく気にしないで本当の兄弟のように仲良くなった二人がほほえましい。
 オールド・ノウ夫人も一人暮らしだったのに、一気に屋敷がにぎやかになってうれしそうです。

 そんなとき、現れたのがメラニー。この人がもう、にこやかにしているけれどあきらかに禍々しい雰囲気なのです。彼女の狙いは、1630年頃にグリーン・ノウに住んでいた錬金術士フォーゲル博士が持っていた魔術書で、彼女自身も魔女だったのです。

 そこからはいきなり少年漫画みたいな展開になり、グリーン・ノウを狙うメラニーの魔法攻撃に対して、トーリーとピンが力を合わせて立ち向かうことになります。メラニーは手ごわく一筋縄ではゆかない敵ですが、知恵と勇気でふたりは戦います。

 メラニーの使う魔術は錬金術士の使うような人工的な魔術で、オールド・ノウ陣はドルイドなどの自然霊というイメージ。メラニーは、「ハリー・ポッター」のアンブリッジ先生にちょっと似ています。もしかしたら、ローリングがこの作品からインスパイアされたのかもしれません。

 そうそう、「グリーン・ノウのお客さま」で登場したゴリラのハンノーの魂も、ピンを守るためにやってきてくれます。たのもしいゴリラの守護神です。

 さて、どうなるのかは読んでみてのお楽しみ。ラストはおどろきのハッピーエンド。
 そうか、トーリーのパパがビルマに出張してたのは、伏線だったのか……と、ここで気づくのでした。

 字はほどよい大きさで読みやすく、ボリュームもほどほどです。子どもも大人も楽しめるファンタジーです。
 1冊ずつ、それぞれお話は完結していますが、1巻から続けて読むと、様々な伏線が5巻に合流しているのに気づき、より楽しめます。おうち期間に、ぜひシリーズ読破してみてください。「グリーン・ノウ」シリーズは、残りあと1冊、番外編的なお話があるようです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 哀しいシーンはありません。4巻の哀しみは、この巻で少し報われます。うじ虫と蛇が大量に出てくるシーンがあるので、そこが少し気持ち悪いかも。それと、猫が悪役なので、猫好きな人はちょっと傷つくかも。そこが乗り越えられるなら、文句なしに面白いファンタジーです。
 オールド・ノウ夫人の作るサンドイッチが最高においしそうなので、読み終わったら濃い紅茶とサンドイッチでティータイムはいかがでしょう。週末の静かな午後に、ぜひどうぞ。

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