【だれも知らない小さな国】日本発ファンタジーの不朽の名作。小さな小さな人たちの王国【小学校中学年以上】

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だれも知らない小さな国 コロボックル物語1 佐藤さとる/作 村上勉/絵 講談社

小学校三年生のとき、「ぼく」は、もちの木を探して近所の小山で、いずみのある美しい三角地を見つけた。そして、その近くの小川で、驚くようなものを見たんだ……

だれも知らない小さな国 コロボックル物語1 佐藤さとる/作 村上勉/絵 講談社

だれも知らない小さな国 コロボックル物語1 佐藤さとる/作 村上勉/絵 講談社

 初読です。読もう読もうと思っていて、恥ずかしながらいままで読んでいませんでした。けれども、今これをまとめて読むことが出来る幸せを噛み締めています。

 日本ファンタジー界と児童文学を代表する名作であり、不思議なもの、美しいものを愛する人なら、大人になっても、いくつになっても読むべき本です。

 わたしは、本を読むのが大好きですが、本にもいろいろとあります。相性の悪い本や、どうしても読みきれない本もあります。それに反して、面白くてあっという間に読んでしまう本や、読んでいると幸せなのでいつまでも読んでいたい本もありますし、得したなあと思う本もあります。

 この本は、いままで読んでいなくて損していたなあ、って本でした。

 でも、今ゆっくり読むことが出来て得したなあ、とも思うのです。
 この本に書かれていることは、子どもの頃なら「へええ」とか「ふーん」で読み流してしまっただろうところで、今読むと深く感動できたり同意できたりすることが多いからです。

 さて、このお話のあらすじは、

 主人公の「ぼく」は、近所の小山の上にある、神聖な雰囲気のする三角地に魅せられて、通うようになります。ある日、その近くの小川を流れてゆく運動靴の上に小さな小さな人たちが乗っているのを見ました。

 その時から、「ぼく」は、この世には花や豆ほどの大きさの小さな人たちがいるのだと信じ、彼らのことをひそかに「コロボックル」と呼ぶようになります。

 「ぼく」はいつしか、その小山を自分のものにしたいと思うようになり、地主さんを調べて会いにゆきます。そして、地主さんとの交流が始まり、そして、ついに「小法師さま」と呼ばれる小さい人たちとも再会し、交流するようになるのでした。

 ところが、その小山に大変な危機が訪れて……

 後半は、「ぼく」が小法師さまたちと力を合わせて、小山を守る大作戦です。これがなかなか面白くて、魔法の力とかじゃなくて、ずいぶんと「科学的な」方法なのです。

 でも、これがうまく効を奏し、小法師さまたちの世界は守られました、というお話。

 「ぼく」が、時間をかけてゆっくりと小法師様たちと交流してゆく過程や、「ぼく」の心の中で、小法師さまたちとの世界が共有され、夢が大きく育ってゆく様子が丁寧に描かれ、そのわくわくした気持ちが清水のように読む人の心にも沁みわたってくるのです。

 確かに大きな危機はあるのですが、ドロドロとしたところがひとつもなく、終始、清らかな好奇心に満ちた、少年らしい楽しさで困難を乗り越えてゆくお話です。

 こんな乗り越え方もあるんだなあ、と心が洗われるようでした。

 この物語の時代設定は、第二次世界大戦直後です。戦争の影響はあまりなかった片田舎の小さな山が舞台ですが、人々の心は自然の癒しを求めていました。世の中はまだまだ困難が多く貧しかったけれども、不思議なものや見たこともないものを信じる人も多かった時代です。

 「ぼく」と小法師さまたちの出会いは、偶然ではなく、小法師さまも「ぼく」も、お互いを選んだのだ、と言う設定が最高です。偶然のように見えたけれども、互いが互いを認めなければ、その偶然の出会いはなかったのです。

 ラストは「えっ」と言う感じで、いちばん大きな問題が解決します。でも、それも「こういうのは、案外こういうものかもしれないな」と納得できるのです。

 どこかで目に見えない力が働いていて、ちょうどいいように調節されている。そんなことがあるのかもしれません。そして、それは、見たこともないものや不思議なものに心を開くことができ、自分たちとぜんぜん違う、まったく異質の存在とも手を取り合うことができた人へのご褒美なのかもしれません。

 不思議なこと、目に見えないもの、可愛らしくて美しいものが好きなすべての人におすすめです。

繊細な方へ(HSPの方へのブックガイド)

 ネガティブな要素はまったくありません。良質なファンタジーです。異世界ものではなく、異世界のほうが現実世界に流入してくるタイプの物語です。
 大人も子どもも楽しめる、夢と好奇心に満ちたお話です。休日の午後に、日向ぼっこしながら読むのがおすすめ。緑の多い公園で読むのも楽しそうです。

いつもありがとうございます

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