【くのいち小桜忍法帖】江戸の付け火の謎を追え。キュートなくのいち忍法帖【小学校中学年以上】

広告

火の降る夜に桜舞う くのいち小桜忍法帖 斉藤洋/作 大矢正和/絵 あすなろ書房

時は元禄。ひとりの娘がおりました。あるときは薬種問屋の丁稚、あるときは愛らしい町娘、しかしてその実態は、公儀御庭役橘北家のくのいち四郎小桜なのです。今日も江戸を騒がす事件に、小桜が立ち向かいます……

火の降る夜に桜舞う くのいち小桜忍法帖 斉藤洋/作 大矢正和/絵 あすなろ書房

<斉藤 洋>
日本のドイツ文学者、児童文学作家。亜細亜大学経営学部教授。作家として活動するときは斉藤 洋と表記する。代表作は「ルドルフとイッパイアッテナ」「白狐魔記」など。

火の降る夜に桜舞う くのいち小桜忍法帖 斉藤洋/作 大矢正和/絵 あすなろ書房

 くのいち小桜忍法帖シリーズ二作目です。
 「白狐魔記」に比べると、ボリュームはそんなになく、お話もすっきりしているので読むのにそんなにたいへんではありません。お話は、元禄時代、橘北家という架空の御庭役の家と、彼らの活躍の物語です。

 主人公は、小桜。普段は薬種問屋の丁稚として働きながら、くのいちとしての修行に励む橘北家の末娘。「おつとめ」と呼ばれる任務にあわせて、少年のすがたにも少女のすがたにもなります。

 今回は、江戸の不審火を追うお話。でも、そんなに単純ではなくて、落着したかなと思ったあとに、新たな敵が現れます。これは、このシリーズのパターンのようです。一つの事件に二つの謎、みたいな。

 「白狐魔記」の世界とはクロスオーバーしていて、「白狐魔記」ではおなじみのあの方が、レギュラーキャラとして登場します。今後、小桜とどう関ってゆくのかはお楽しみ。また、今回、シェパード犬「半守」(はんす)がどうやらしゃべれるらしいと発覚。これは、何か別の正体があるかもと感じさせます。なにしろ、「白狐魔記」の姉妹世界ですからね、犬がしゃべれても不思議ではありません。

 小桜は、元気で可憐な町娘、お洒落が大好きで美しい振袖やかんざしに目がないという設定。でも、そんなお洒落なかんざしも、いざとなったら武器として使います。

 強くてかわいくて大胆、でもちょっと抜けている、そんな小桜の魅力がいっぱいにあふれている、新感覚の児童向け時代小説です。

 昔は週に何作もいろんな時代劇があって、どれもそれぞれにファンがついているくらい人気のジャンルでした。そういえば、その頃は刑事ものブームもありましたね。今は、時代劇はとんと見かけなくなりましたし、刑事ものも減りました。刑事ものは、昔は人情ものが多かったものですが、最近は時代を反映してかサイコな感じのものが増えました。

 「くのいち小桜忍法帖」は、昔ながらの時代劇の雰囲気がありつつ、今風のテイストも入っている新感覚の時代劇ファンタジーです。御庭役や忍術の設定は、オリジナルの架空の設定、大名なども架空の藩の架空の大名のようです。

 また、風俗も、小桜は娘姿のときはおかっぱ頭であったりと、正確な江戸時代ではなさそう。白狐魔記の元禄時代はかなり実際の日本史に則していたのですが、こちらはかなり自由な感じです。

 以前、「日本のジュニアノベルでは時代劇は定着しにくい、その理由は髪型にある」と聞いたことがあります。今の若い方は、月代とか桃割れ頭とかが出てくると、どうしてもそれだけで抵抗感があるようです。

 確かに、最近の時代劇だと、男性も月代がないタイプが多いですね。月代がないとたんなるポニーテールなので、そんなに抵抗がないという事かしら。女の子も髷にするよりは、おかっぱのほうが抵抗なく受け入れられるのかもしれない。たしかにゲームなどで、お侍キャラとか出てきても最近は髪型はかなり自由です。

 表紙絵がかわいらしく、挿絵は白黒ですが、ふんだんに入っており、登場人物紹介には全員にイラストが入っていることから、今後の活躍が期待できるキャラもちらほら。
 頭にイメージが浮かびやすく、読みやすい物語です。

 小桜がかわいくお洒落なので女の子にも、そしてアクション展開が面白いので男の子にもおすすめ。本格時代小説へのとっかかりにも最適です。

 時代劇に興味があったり動物が好きなお子様にはおすすめです。もちろん、親子で読んで楽しい、ジュニア向け時代小説です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 アクションシーンはありますが、描写に気をつけて書かれているので残酷ではありません。映像的に美しいシーンも多く、また、時代劇っぽい言い回しなどもあり、時代物が好きな人にはおすすめです。
 おいしい緑茶と和菓子をご用意くださいね。

いつもありがとうございます

にほんブログ村 本ブログへ

広告