【都会のトム&ソーヤ】祝映画化!天才とサバイバル少年の名コンビ。究極のゲームを目指す物語【小学校高学年以上】
ぼくは内藤内人。塾通いに追われるふつうの中学生。ある日、夜の街で忽然と消えた同級生の竜王創也。彼が「消える」のを見たときから、ぼくと創也の不思議な関係がはじまった。そう、「究極のゲーム」を作る冒険が。
この本のイメージ 謎解き☆☆☆☆☆ サバイバル☆☆☆☆☆ 冒険☆☆☆☆☆
都会のトム&ソーヤ1 はやみねかおる/作 講談社
このブログ運営にあたり、周囲に「好きな児童文学おしえて」と聞きまくった結果、知人のプログラマーからすすめられたロングセラー少年小説がこれ。
白い心で読むために、ほとんど予備知識なしで読みました。これは面白い。
どうやら、もうすぐ映画化されるようです。
テーマは「現代のトム・ソーヤー」なのですが、初版は2003年なので、現代ものと言ってもテクノロジー的には少し古めになってしまいました。それでも、面白いのです。
主人公の「ぼく」、内藤内人は、自称「ふつうの中学生」。
塾と学校をいったりきたりするだけの、平凡で味気ない毎日を送っていました。
ある日、夜の街でクラスメイトの竜王創也を見かけ、彼が忽然と消えるのを目撃したときから、内人と創也の奇妙な友情が始まります。
竜王創也は、竜王グループという大企業グループの後継者で頭脳明晰な天才少年。彼には秘密の夢があり、それを達成するために相棒を探していたのです。そのお眼鏡に叶ったのが内人でした。
創也の作った「砦」で、過ごすようになった二人。
二人は伝説のゲームクリエイター、「栗井栄太」を探す冒険を始めます。
CLAMP先生の少女漫画とかが好きだとハマるかも知れません。超絶大金持ちの大天才、ふつうだと思ったら異能の少年、保育士になりたい用心棒、伝説の覆面ゲームクリエイターなどなど、ちょっと突き抜けた設定のキャラクターたちの物語です。
とくに主人公の内人くんが、自称「ふつうの中学生」なのですが、ぜんぜんふつうではない。
彼が繰り出す「おばあちゃんの知恵」が、ふつうのおばあちゃんの知恵をはるかに超えたサバイバル術ばかりなのです。
なんなの、この子のおばあちゃん、何者ですか。最初は「仮面ライダーカブト」のおばあちゃん系かと思っていたら、どうやら「ARMS」のお母さん系のようです。(知らない人にはわかんないですよ)
あれです、わかりやすく言うと「冒険野郎マクガイバー」みたいな。(さらにわかんないですよ)
いや、わたしもマクガイバー全部見たわけじゃないけど。
超天才御曹司スーパー中学生創也くんと仲良くできる内人くんは、ごくふつうの地味な中学生と思いきや、彼自身もスーパー中学生でした、と言うお話。
個人的にこの本でのハイライトは、内向的な堀越美晴ちゃんが、「自分に正直になったらいいのに」と言われ、ついに「自分に正直になる」と決め、右こぶしを固めると、全体重をのせ、まっすぐ目標をぶち抜くように打ったところ。
心の中で何度もうなずきながら拍手してしまいました。そうそう、そうよね。こういう、「わかってる」展開、大好きです。
かなり長期にわたって続いているようなので、キャラクターが歳をとらないサザエさん時空に入っているのでしょうか?そして、「究極のゲーム」はできるのでしょうか。
「ゲーム制作」にこれほど夢があるお話はないんじゃないかと思います。
「ゲーム」とか「プログラマー」とか言うと、とかく悪者にされがちですが、こんなにどストレートにわくわくする設定だとうれしいですね。
文章はテンポよく、展開はスピーディでどきどきしながら最後まで読めます。
よくよく考えると、まともな人が1人も出てこないような気がするのですが(一番の変人が、あとから出てくる美晴ちゃんのお父さんだという……モブキャラが強烈すぎる)キャラクターの個性がぶつかり合う話は、今風で、小さいお子さまにも喜ばれると思います。
児童文学とライトノベルの中間くらいの位置づけで、カバー絵や挿絵は今風でかっこよく、男の子も女の子も楽しく読めそう。恋愛成分が少なめで冒険成分が多めなのも好みです。男女問わず親子二代で楽しめるタイプの小説です。
読後感はさわやかで、ポジティブな気持ちにさせてくれます。
ちょっと息苦しさを感じるときにはおすすめの、少年向け冒険小説です。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はほとんどありません。さわやかでわくわくする冒険小説です。創也がダージリンティーが好きなので、読後は飲みたくなるかも。ちょっと上等なダージリンと、お気に入りのカップを用意して週末に読書はいかがでしょう。
ゲームが好きで、あまり本を読まないお子様にも、おすすめですよ。
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