【都会のトム&ソーヤ】天才とサバイバル少年の冒険譚第2巻。謎のゲームクリエイターを探せ【乱!RUN!ラン!】【小学校高学年以上】
自称「ふつうの中学生」内藤内人と、竜王グループの御曹司竜王創也は、ひょんなことから相棒になりました。創也には、「究極のゲームを作りたい」と言う目標があったのです。その目標を達成するうえでの最大のライバルは覆面ゲームクリエイター「栗井英太」。創也は栗井の謎を解こうとしますが……
都会のトム&ソーヤ2 乱!RUN!ラン! はやみねかおる/作 講談社
はやみねかおる先生のロングセラー少年冒険小説第2巻です。映画はこの夏公開予定です。
主人公の「ぼく」こと内藤内人は、ひょんなことからクラスの優等生、竜王創也と親しくなり、コンビを組むことになりました。コンビと言っても漫才ではなく、「究極のゲーム」を作るための相棒です。
創也は、巨大財閥「竜王グループ」の御曹司でしたが、「究極のゲーム」を作りたいという夢を持ち、日々努力していたのです。その創也が意識しているのが、謎の覆面ゲームクリエイター「栗井英太」。栗井を超えることが創也の目標なのです。
この巻は、短編がふたつと、そのふたつの短編をつなぐ超短編がひとつ、収録されています。
ふたつの短編は、どちらも創也の無鉄砲に内人が巻き込まれるいつものパターン。
しかし、だんだん「栗井英太」の正体にせまっていきます。
謎解きの要素もあり、内人お得意のサバイバル要素もあり、今回もわくわくどきどきのうちに、あっと言う間に読み切ってしまいました。
内人が「おばあちゃんから教わった」と言って、数々のサバイバル技術を駆使するのがこの物語の魅力の一つ。「いったいどんなおばあちゃんなのよ、ARMSのお母さんかよ」と思ったりしていたのですが、今回は、創也の「お母さんから教わった」も飛び出してきて、創也の家族もやっぱり規格外だったらしいとわかります。
CLAMP先生の漫画や、荒木飛呂彦先生の漫画がお好きな方なら、ストライクのはず。
次から次へと、特殊能力を持った濃いキャラたちが登場します。
うまいなあ、と思うのは創也の描写で、「天才的に頭が切れるけれどどこか抜けている」と言う設定なのですが、この難しい設定を見事に表現しています。これ、設定書に一行こう書くのは簡単ですけど、表現するのは難しいですよ。さすがです。
また、主人公の内人が、言葉では御曹司で天才の創也にコンプレックスがあるような言い方をしながら、実は彼自身も相当な能力者。そのうえ、かなり精神的にも安定してずぶとい、根っこのところにはちゃんとした自信がある子だとわかってきます。
「創也にくらべて俺は……トホホ……」みたいなことを言っていますが、なんのなんの、かなりの強メンタル。
この凸凹コンビに、お目付け役の卓也さんが加わって、絶妙のトリオになります。卓也さんは、「保育士になりたい凄腕ボディーガード」と言う、ちょっと盛りすぎな設定なのですが、主人公コンビが規格外すぎるので、これくらいの人じゃなければ大人ポジションをとれません。
この巻では、ついに「栗井英太」の謎が解けるのですが、こちらもなかなか。
突拍子も無いキャラが多数登場する、謎解き冒険小説がお好きな方は、たまらないと思います。
少年漫画が好きな少年少女におすすめ。
「ゲーム」とか「プログラマー」とか言うと、テレビ番組や小説ではとかくネガティブなイメージになりがちなので、こんなにもストレートにあこがれを描いてくれるとうれしくなります。
ゲーム好きのお子様も、わくわくして読むことができるんじゃないでしょうか。
シリーズ小説ではなく、完全な続き物なので、第1巻から順番にお読みになることをおすすめします。(ただし、お話自体は、各巻で完結しています)
ゲーム、謎解き、冒険、サバイバル、友情と男の子が大好きな要素が全部盛りのてんこもり冒険小説です。おでかけできない休日のお供にぜひどうぞ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
アクションシーンなどは注意深く書かれており、暴力描写や流血シーンなどはおどろくほどありません。残酷シーンは苦手だけど、アクションものは読みたい人にはおすすめです。
濃いキャラがたくさん出てくるタイプの少年漫画がお好きな方なら、楽しいはず。
老若男女、幅広い方々に楽しんでいただける、読みやすい文体です。
創也がダージリンティーをおいしく淹れるシーンがたびたび出てきますので、おいしい紅茶とお好きなお茶菓子をご用意くださいね。
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