【クリスマスのあかり】この季節にぴったりのチェコのクリスマス物語。読み聞かせにも【絵本】【5歳 6歳 7歳 8歳 9歳】

2020年11月22日

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クリスマスのあかり ~チェコのイブのできごと~ レンカ・ロジノフスカー/作 出久根育/絵 木村有子/訳 福音館

1年生になったばかりのフランタは、待ちに待ったクリスマスイブに、ちいさな冒険をすることになりました。途中で知り合った気の毒なおじいさんのために、自分にできることはないだろうかと必死で考えるフランタ。彼の努力はどうなったでしょうか……

この本のイメージ はじめてのおつかい☆☆☆☆☆ わかりあうすばらしさ☆☆☆☆☆ チェコのクリスマス☆☆☆☆☆

クリスマスのあかり ~チェコのイブのできごと~ レンカ・ロジノフスカー/作 出久根育/絵 木村有子/訳 福音館

<レンカ・ロジノフスカー>
1972年、チェコ生まれ。児童文学作家。パラツキー大学教育学部でチェコごと公教育を専攻、教師をしながら児童文学雑誌に児童向けの童話を書く。(この本より引用。略)

<出久根育でくね いく>
東京生まれ。武蔵野美術大学油絵科版画専攻卒業。グリム童話『あめふらし』(偕成社)でブラチスラヴァ国際絵本原画展グランプリ受賞。絵を手がけたロシア民話『マーシャと白い鳥』(偕成社)が日本絵本大賞、『もりのおとぶくろ』(のら書店)が産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞。絵本、挿絵作品多数。2017年、チェコに暮らす日々を綴ったエッセイ『チェコの十二ヶ月―おとぎの国に暮らす』(理論社)を刊行。近年はチェコの児童書の絵、挿絵も手がけており、本作品『クリスマスのあかり』も原著の挿絵を担当。2002年よりチェコ、プラハ在住。(この本より引用)

<木村有子>
東京生まれ。幼いころチェコのプラハに暮らし、3年間現地の小学校に通う。大学卒業後、チェコスロヴァキア政府給費留学生としてプラハ・カレル大学に留学。以後、チェコ映画の字幕翻訳をはじめる。現在は、チェコの児童書の翻訳、エッセイ、通訳、講演等を通して、チェコ文化を日本に紹介している。訳書に、「もぐらくんの絵本」シリーズ、『どうぶつたちがねむるとき』(偕成社)、『こいぬとこねこのおかしな話』『金色の髪のお姫さま チェコの昔話集』(岩波書店)、『ひよことむぎばたけ』(ひさかたチャイルド)、『ちびとらちゃん』(アットアームズ)など多数。東京都在住。 (この本より引用)

クリスマスのあかり ~チェコのイブのできごと~ レンカ・ロジノフスカー/作 出久根育/絵 木村有子/訳 福音館

 クリスマスシーズン向けの絵本を探していて出会った本です。かなり文章のボリュームがあるので、読解力のあるお子様向け。
 むしろ、読み聞かせ向けだと思います。

 チェコでは、クリスマスイブに子どもたちにプレゼントを届けてくれるのは、サンタクロースのおじいさんではなくて「小さいイエス様」と呼ばれる小人のような存在だそうです。

 まだ小さいフランタ少年は、小さいイエス様が待ち遠しくて仕方がありません。

 さて、チェコにはもうひとつ、クリスマスの風習があって、「ベツレヘムのあかり」と言う、ベツレヘムから分けてもらった聖火のようなものを、教会にもらいに行くならわしがありました。
 今年は、この「ベツレヘムのあかり」をフランタがひとりでもらいに行くことになったのです。

 小さいフランタの、はじめてのおつかいでした。

 家からランプを持って教会に行き、火をもらって帰ってくるだけでも、小さいフランタにとっては大冒険です。そして、そのお使いの途中で思わぬ事件に出会ってしまいます。

 貧しいドブレイシカおじさんが、奥さんのお墓にそなえようとしていたカーネーションの花束が、誰かに盗まれてしまったというのです。気の毒に思って、なんとかしようとするフランタ。ところが、このフランタの行為が思わぬ方向に転がって……

 と言うお話。

 フランタの巻き込まれるトラブルは、わりと子ども時代あるあるの展開です。フランタ自身としては筋が通った善行をしているのですが、それを他人に説明する能力がまだ乏しいために、誤解が誤解を呼んでしまうのです。

 しかし、フランタのおぼつかない説明に辛抱強く耳を傾け、理解してくれた教会の管理人さんのおかげで、誤解は解けて、大問題にならずにすみました。そして、フランタは無事、ドブレイシカおじさんを助けて上げられたのです。

 わりと複雑なお話で、子供向けの絵本らしい単純な「めでたしめでたし」的お話ではないので、ちょっと迷ったのですが(ハッピーエンドです)、幼児期に子どもが巻き込まれるトラブルとしては、かなりありがちな気がしたため、親子でこの絵本を読めば、何かあったときに「ほら、フランタのお話みたいなことなんだよ」と小さな子どもが説明しやすくなるかもしれない、と思い、レビューを書くことにしました。

 クリスマスの物語のように見えて、小さな子どもにとって大切なことがたくさん書かれています。

 たとえば、「ベツレヘムのあかり」を取りに行くフランタに「さいしょからやらないよりも、しっぱいしたって10回やったほうがいい」と言うお父さんや、「フランタや、フランタ。ここはおとぎ話の世界じゃない。目をつぶっているあいだに、ねがいごとがかなう、まほうの世界とはちがうんだよ」と言う、フランタの心の中から聞こえるささやきなど。

 でも、いざ行動したフランタはおもわぬ問題にぶつかります。それを、周囲の大人たちが、きちんと受け止めて、助けてくれる様子が頼もしく、心温まるのです。

 子どもが子どもらしく行動したときに、大人がちゃんと大人としてしっかりと受け止めてくれる。それは、なんと心強いことでしょうか。

 この物語は、かなり高度な問題を取り上げているので、小さなお子様が全部を理解する事は難しいかもしれません。けれども、物語の本質を本能的に理解する事はできると思います。

 「本人の中では筋が通っていて、まったく悪い事はしていないことでも、他人から見た場面場面の切り取りでは、とんでもない悪事に見えてしまう」ことは、誰の身にもおこりうるトラブルです。

 しかも、本人にきちんとした説明能力と、相手の「理解しよう」とする気持ちがなければ、簡単にひどい結果になってしまいます。ましてや、小さな子どもには、充分な説明能力がありません。

 これがうまく解決できないと、「行動して傷つくより行動しないほうがまし」と言う結論になってしまうわけです。

 これは子どもの世界だけでなく、大人の世界にもよくあることです。「余計なことをするからトラブルに巻き込まれるのだ。さわらぬ神に祟りなし」と言う風潮は、ひと昔前より、いまのほうが強く感じられます。
 だからこそ、「失敗したって何度もやってみることが大切なんだ」と言う言葉の裏には、チャレンジする人たちへのサポート体制が不可欠だと思うのです。(もちろん、挑戦しない人には挑戦しないことを責め、挑戦して失敗した人には失敗を責めるようなのは論外ですが)

 クリスマスという神聖な行事を前にして、たくさんの大切なことを教えてくれる絵本です。
 地味なストーリーですが、小さな子ども時代の「あるある」がたっぷり詰まっており、親子での読み聞かせだけでなく幼稚園や学校など、大人と子どもが出会う場所で一緒に読むのにおすすめしたい。これは、子どもと大人がコミュニケーションの壁を乗り越える話だからです。

 「楽しさ」「面白さ」と言う意味では少し足りないのですが、温かみのある挿絵と人情味あふれる物語は、心にじーんと染み入ります。  ※文章がややわかりにくかったので修正しました(2020.11.22)

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 内容的に、情緒の成熟を必要とする部分があるので、むしろ内向的な方や、HSP、HSCにおすすめの絵本です。大人の和みというより、大人と子どものコミュニケーションの壁を越える物語です。ほんのりあたたかい内容ですが、知育要素もあるので、そのような本をお探しのときにはおすすめです。また、お子様へのクリスマスプレゼントにも。

 チェコのおいしいクリスマス料理なども登場します。読後は親子であたたかいココアをどうぞ。

クリスマスの絵本にはこんなものもあります。

いつもありがとうございます

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