【魔女がいっぱい】祝・映画化!ロアルド・ダールのブラックユーモアファンタジー【小学校中学年以上】

2024年2月28日

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魔女がいっぱい ロアルド・ダール/作 クエンティン・ブレイク/絵 清水達也/鶴見敏/訳 評論社

7歳のときに自動車事故で両親を亡くした「ぼく」。ノルウェーのおばあちゃんに引き取られて幸せに暮らしていたけれど、イギリスに引っ越すことになりました。ところが、おばあちゃんの療養先のホテルで、とんでもない事件に出会ってしまい…

この本のイメージ ブラック・ユーモア☆☆☆☆☆ 不思議な冒険☆☆☆☆☆ かなり強烈☆☆☆☆☆

魔女がいっぱい ロアルド・ダール/作 クエンティン・ブレイク/絵 清水達也/鶴見敏/訳 評論社

<ロアルド・ダール>
イギリスの作家。サウス・ウェールズに生まれ、パブリック・スクール卒業後、シェル石油に。第二次世界大戦で、イギリス空軍の戦闘機パイロットとし生死の境をさまよった経験から作家になる。

 ブラックユーモアファンタジーでおなじみ、ロアルド・ダールの「魔女がいっぱい」です。
 うーん、最初に申し上げますが、これは、好き嫌いが別れる本だと思います。

 「チョコレート工場の秘密」より、ずっとずっと、ブラックな方向に強烈なんです。わたしがいままで読んだダールの作品の中で、いちばん万人向けでおすすめなのは「マチルダは小さな大天才」なのですが、あれだって、相当強烈ですからね……。

 この本は、ハッピーエンドなんですが、普通の人ならハッピーエンドだとは思わないかもしれないハッピーエンドなのです。けれど、本人たちは幸せなので、ハッピーなのかもしれない……そういうお話です。もしかしたら、映画ではそのところを変更しているかもしれません。

 主人公の「ぼく」は、パパもママもノルウェー人でしたが、イギリスで暮らしていました。7歳のある日、ノルウェーのおばあちゃんのもとへ休暇で向かう途中、自動車事故で両親を失ってしまいました。

 ノルウェーのおばあちゃんに引き取られた「ぼく」ですが、父の遺言でイギリスに移り住みます。おばあちゃんの療養で滞在したリゾートホテルで、偶然、「英国児童愛護協会」と言うかくれみので活動する魔女たちと遭遇、魔女たちの陰謀を聞いてしまいます。
 しかし、魔女たちに見つかった「ぼく」は、とんでもない姿に……

 さて、「ぼく」とおばあちゃんのコンビは、魔女たちの陰謀をくじくため、戦うことになります。
 はたして、魔女たちを倒せるのでしょうか?

 と、言うのがあらすじ。

 お話はスピーディで面白く、強くてかしこいおばあちゃんはかっこいいですし、主人公の「ぼく」も勇気があります。しかし、あまりにも展開がブラックユーモアすぎるので、受け付けない人はいるかもしれません。

 ちなみに、魔女集会のシーンがあるのですが、そこでの大魔女さまのふるまいは、あの有名な無残さまの旅館でのシーンに酷似していて、パワハラ上司ってどこでもあんな感じ?と思ってしまいました。今も昔も変わらないんですね。

 もちろん勧善懲悪ですし、正義は勝ちますし、「ぼく」もおばあちゃんも幸せなんですけど、読んだ後「これでいいのか?」と疑問符でいっぱいになってしまう、ダールワールド。
 イギリスの子どもたちは、こんな強烈なものを読んで育つのか……そりゃ、メアリー・ポピンズなんて天使だわ……と、妙に納得してしまいました。

 ダール作品をまったく読んだことがない方は、まず最初にこれを読むのはおすすめしません。悪い事は言わないから、まずは「マチルダは小さな大天才」から、読んでみてください。その後は、「チョコレート工場の秘密」「ガラスの大エレベーター」あたりが無難です。

 ロアルド・ダールの独特なノリに慣れてきたら、この「魔女がいっぱい」を。ダールの一筋縄では行かない展開に耐性がついてから読むのがおすすめ。

 けれど、映画を見に行く予定の方は、いきなり映画を見て衝撃をうけるより、先に本を読んでおいたほうがいいかもしれません。「うちの子は、よその子よりちょっと傷つきやすい」と言う方は、まず、保護者の方がお読みになってみてください。
 何度も申し上げますが、ハッピーエンドです。

 ハッピーエンドなのに、ここまでレビューで念を押さざるを得ないダールのブラックさよ……

 ほのぼのハートフルストーリーを求めている方にはおすすめできませんが、ピリリとしたファンタジーが読みたい方にはおすすめです。

 でも、作者は絶対、ほのぼのハートフルストーリーを書いたつもりだと思います。おそるべし。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 人を選びます。まず「ロアルド・ダールの感覚でのほのぼのハッピーエンド」なのを前提で、お楽しみください。

 お子様にプレゼントされる場合は、まず保護者の方がお読みになってみてください。小説としてはたいへん面白く、展開は抜群にうまく、スピーディに話がどんどんすすみます。まったく問題なく、面白く読める人がほとんどだと思いますが、感受性の強いお子様がもしかしたらびっくりしてしまうかもしれません。
 映画が原作どおりなら、まず小説で予習しておくことをおすすめします。

 

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