【アラジンと魔法のランプ】「ルドルフとイッパイアッテナ」の作者が描くアラビアンナイト第2巻!アラジンのびっくり立身出世物語【アラビアン・ナイトシリーズ】【小学校中学年以上】

2020年12月7日

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アラジンは貧しい仕立て屋の息子でしたが、馬に乗ったりちゃんばらごっこのほうが好きなやんちゃ坊主でした。父親が死んだ後、正体不明の「おじさん」がアラジンを訪ねてきます。実はこの人、悪い魔法使いで、アラジンを利用してある宝物を手に入れようとしていました。

この本のイメージ 奇想天外☆☆☆☆☆ 異国情緒☆☆☆☆☆ 立身出世☆☆☆☆☆

アラジンと魔法のランプ  アラビアン・ナイト 斉藤洋/作 一徳/画 偕成社

<斉藤洋>
日本のドイツ文学者、児童文学作家。亜細亜大学経営学部教授。作家として活動するときは斉藤 洋と表記する。代表作は「ルドルフとイッパイアッテナ」「白狐魔記」など。

アラジンと魔法のランプ アラビアン・ナイト 斉藤洋/作 一徳/画 偕成社

 「ルドルフとイッパイアッテナ」「白狐魔記」の斉藤洋先生が書き下ろしたアラビアン・ナイトシリーズの第2巻は、今、なにかと話題の「アラジンと魔法のランプ」。
 ディズニーで、アニメでも実写でも映像化もされたことのある、有名なお話です。

 最初に申し上げておきます。すごく面白い本ですが、一部の方にはお知らせしておかないといけないことがあります。

 この本、対象年齢としては小学校中学年以上なのですが、なにしろ「アラビアンナイト」を児童小説化したものなので、もともとのお話からすると100倍以上マイルドになってはいますが、暴力要素やお色気要素は当然、あります。
 とは言っても、「ルパン三世」程度の健康的なものなので、まったく問題はないと思うのですが、かしこい子だと低学年辺りから読めてしまうので気にされる方もいるかもしれないし、読み聞かせは難しいかもしれないので前もってお知らせしておきます。

 けれど、原作つきといえども、いつもの斉藤節とも言うべき独特の持ち味は健在。ユーモアにあふれつつも奥深い要素もあり、面白いのです。

 「シンドバッドの冒険」も「アラジンと魔法のランプ」も、立身出世の物語なのですが、アラジンはシンドバッドに比べると、あんまり苦労はしていません。悪い魔法使いと戦うようになってからは陥れられて苦労しますが、出世して栄光を掴むまでは、ほぼ魔神の力です。

 日本だと、艱難辛苦を耐え抜いた人間でなければ富や名声を得ることは許されないという風潮があり、偶然の幸運で苦労なく成功したり豊かになったりした人は、評価されない傾向があります。

アラジン ディズニーアニメ
アラジンと魔法のランプ アラビアン・ナイト 斉藤洋/作 一徳/画 偕成社

 これは文化の違いなのでしょうが、物語を読んでいて感じたのは、アラビアでは「富を手に入れるまでに苦労をしたかどうか」ではなく、「手に入れた富を貧しい人々に分け与えたかどうか」のほうが大切なのだな、と言うことです。

 どちらも「富を持つ資格」についてのこだわりだと思うのですが、「その人が富を得るまでにどれだけ苦労や努力をしたか」に重きを置くか「手に入れた富をどう使うか」に重きを置くか、なのでしょう。

 ですので、日本人の感覚だと、魔法でとんとん拍子に出世してゆくアラジンのお話がぴんと来ない人もいると思います。でも、宝石でできた果物だとか、一夜で完成する宮殿など、ダイナミックで華やかな雰囲気が楽しく、わくわくした楽しさいっぱいのお話です。この豪快さは、中国のファンタジーに少し似ているかも。

アラジン ディズニー映画
アラジンと魔法のランプ アラビアン・ナイト 斉藤洋/作 一徳/画 偕成社

 また、バドル・アル・ブズル姫の描写も面白く、あまりの美貌に、「なみはずれて美しいものは化け物以上におそろしい」と表現しています。つまり、美しすぎておそろしくなるほど美しいと言うのです。

 そこまで美しい姫様なのに、そんなに偉ぶっていなくておくゆかしく、かわいらしい。いじわるなところも、ひとつもありません。

 ところが、生きるか死ぬか、愛するアラジンを守れるか否かと言うところでは、なかなかにしたたかに振舞います。自分が超弩級に美しいことには、どうやら自覚があったようです。

 こう言うキャラクターは、斉藤ワールドではおなじみのヒロインです。ふだんは爪の先ほども悪意も見せず大人しく振舞っているけれど、大切な人を守るためならなりふりかまいませんよ、と盛大に牙をむく美女。それが嫌味なく、魅力的なのです。

 もともとのお話が面白いだけでなく、絶妙のアレンジでわくわく感を広げ、文章はわかりやすく読みやすいので、あっと言う間に読めます。多少の教訓は、もちろんありますが、純粋に面白楽しい冒険譚です。

 どちらかと言うと男の子向けですが、金銀財宝がきらびやかでお姫様は美しいしアラジンは美男子という設定なので、女の子も楽しく読めるでしょう。大人の読み直しにも、おすすめです。

 読後は、アニメーションや映画を見て比べてみるのも楽しそう。
 これからは寒い季節なので、暑い国のおとぎ話を読んで寒さを忘れるのもいいかもしれませんね。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 最初に申し上げましたが、殺人シーンやお色気シーンはあります。ただ、気をつけて書いてあるので、描写はマイルドです。「そういうシーンがあるのだな」と前もってわかっていればだいじょうぶな方にはおすすめです。面白いです。

 読後は、トロピカルフルーツやドライフルーツ、ハイビスカスのお茶なんていいかも。お部屋をあたたかくして、暑い国のファンタジーをお楽しみください。

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