【パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々】神の子パーシーの大冒険第2巻。魔海への冒険の旅【魔海の冒険】【小学校高学年以上】

2024年3月2日

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パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 2  魔海の冒険  リック・リオーダン/作 金原瑞人・小林みき/訳 ほるぷ出版

ある日パーシーは学校で怪物に襲われ、訓練所にもどるとタレイアの松は枯れかけていました。そして、グローバーはどこかに囚われているようです。アナベルとともに、黄金の羊毛を探しに冒険の旅に出るパーシーでしたが……

この本のイメージ ギリシャ神話☆☆☆☆☆ 少年の冒険☆☆☆☆☆ 新たな仲間と謎☆☆☆☆☆

パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 2  魔海の冒険  リック・リオーダン/作 金原瑞人・小林みき/訳 ほるぷ出版

<リック・リオーダン>
リチャード・ラッセル・ライアダン・ジュニア(Richard Russell Riordan, Jr.、1964年6月5日 – )はアメリカ合衆国の推理作家、児童文学作家、ファンタジー作家。通称リック・ライアダン(Rick Riordan)。日本ではリック・リオーダンあるいはリック・ライオダンとも呼ばれている。代表作は「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」。

 ギリシャ神話が現代によみがえる冒険ファンタジー「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」シリーズ第2巻を読了。かなり昔に出版された冒険ファンタジーシリーズだと思うのですが、わたしは個人的事情で長い期間読書ができなかったので、未読だったのです。あいかわらず、おもしろいお話です。

 第2巻は、起承転結の承にあたる物語で、新キャラが出てきたりはしますが、新しい問題が次々と起きて、巻末ではあからさまに「引き」で終わっています。つまり、「次巻につづく」状態だという事です。

 この世界で言う、ビッグスリー つまり、ゼウス、ポセイドン、ハデスは、神々の中でも特に強い力を持つために、人間との間に子どもをつくることを互いに禁止する協定を結んでいました。

 ところが、その協定を破って生まれてきた子どもがいます。それがパーシーです。

 パーシーたちが集められる「訓練所」は、人間と神様との混血ばかりが集められ、日々有事にそなえて訓練を続ける場所でした。今回は、その訓練所に危機が訪れ、問題を解決するためにパーシーとアテナの娘アナベルが冒険の旅に出る物語です。

 たいへん緻密に計算されたお話なので、少しでもストーリーにかかわることを書いてしまうとネタバレになってしまい、なかなか難しいのですが、今回はパーシーの海に関する様々な能力が覚醒します。

 また、新しい仲間と言うか、パーシーの異母きょうだい(神と精霊の間の子ども)も登場、心強い仲間になります。

 今回のお話でテーマになっているのは、強大すぎる親と子どもの確執、そして、異質なものとの友情です。

 パーシーたちの親は神々なので、彼らの力はあまりにも強大です。ハーフ訓練所の子どもたちは、みな、神様とふつうの人間のあいだに生まれた子どもです。つまり、ふつうの人間の感性と神様の力を持った、とても不安定な存在なのです。

 彼らはいつも、「神である親は自分を愛しているのか」と言う不安とともに生きています。人間のほうの親が愛情あふれるまともな親の場合はいいのですが、人間の側の親がまともでない場合もあり(神様なんだからそのへんは選ぼうよ)、このあたりが彼らの苦しみとなっています。

 結局、親の愛情に実感が持てないルークはパーシーと敵対することになってしまいますが、この問題について、親は親であると同時に神でもあるので介入できない、と言うのが、このお話の軸になっています。

 あれですね、人間が足元の蟻を一匹だけ助けようとすると、他の蟻をつぶしてしまいかねないので、かえって難しい、というやつなのでしょう。神様側の苦悩も、ほんのり見えてきます。

 また、神とニンフ(妖精)のあいだに生まれたキュクロプスは、大きな力を持つが姿がみにくいので親に捨てられて育ち、それをパーシーたちが受け入れられるかどうかという試練もあります。
 物語の中には、悪いキュクロプスと善良なキュクロプスが出てくるのですが、パーシーたちが善良なキュクロプスを受け入れるのにずいぶん時間がかかるのです。

 このお話は、もともと、ADHDなどなんらかの障害を持った子どもは、オリンポスの神の子である、と言う設定があります。今回も、醜く生まれ、親に捨てられてホームレスとして育った子どもは実は神の子だった、と言う設定でした。これについては賛否両論あるとは思いますが、わたしは好きです。

 しかし、同じように子どもの頃から辛い思いをしてきたパーシーたちが、だからといってすぐに打ち解けられるかと言うと、意味もなく抵抗感がある、と言うのも描かれており、難しい問題に正面からとりくんでいると感じます。

 最初は衝突ばかりしていたクラリサとは、仲良くなれそうな予感がしますし、今回登場するタイソンももちろん、パーシーはだんだん仲間を増やしてゆきます。

 そして、大きな事件を解決し、これで落着?と思いきや、衝撃の新キャラ登場というところで、次巻に続きます。見事です。これは続きを読みたくなりますね!

 ジェットコースターみたいな冒険物語です。スカっとしたい時にはおすすめです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 冒険物語なので、危険なシーンはあるのですが、気をつけて書いてあるので残酷なシーンはおどろくほどありません。少し昔の少年漫画みたいな感じです。第1巻に比べてギリシャ神話についても詳しく解説が書かれており、わかりやすくなっています。
 まっすくでさわやかな、疾走感あふれるヤングアダルト小説です。

※ほるぷ出版からハードカバー版が、静山社ペガサス文庫から上下巻にわかれて新書版が出版されています。お好みに合わせてどうぞ。

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