【テディ・ロビンソンとサンタクロース】とぼけたクマのぬいぐるみのクリスマス。「思い出のマーニー」の作者の描くメルヘンファンタジー【テディ・ロビンソンシリーズ】【小学校低学年以上】

2021年2月17日

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テディ・ロビンソンとサンタクロース ジョーン・G・ロビンソン/作 絵 小宮由/訳 岩波書店

テディ・ロビンソンはクマのぬいぐるみです。テディ・ロビンソンは、デボラが大好き。そして、デボラもテディ・ロビンソンが大好きです。さて、デボラたちが暮らす街にも、冬がやってきました。冬って、たしか、うきうきするような素敵なことがあったはず……

この本のイメージ ぬいぐるみファンタジー☆☆☆☆☆ かわいい☆☆☆☆☆ クリスマス☆☆☆☆☆

テディ・ロビンソンとサンタクロース ジョーン・G・ロビンソン/作 絵 小宮由/訳 岩波書店

<ジョーン・ロビンソン>
Joan Gale Robinson、(1910年2月10日 ~ 1988年8月20日)はイギリスの児童文学作家。バッキンガムシャー州生まれ。イラストレーターとしての教育を受け、小説とイラストの両方を手がけた。代表作は「思い出のマーニー」「くまのテディ・ロビンソン」など。

テディ・ロビンソンとサンタクロース ジョーン・G・ロビンソン/作 絵 小宮由/訳 岩波書店

 「思い出のマーニー」で知られる、ジョーン・ロビンソンの子供向けメルヘンファンタジーです。挿絵も本人が描いています。

 小さな短編のオムニバスですが、今回は冬のエピソード。サンタクロースも登場するので、この季節にぴったりです。

 テディ・ロビンソンは、デボラと会話できるだけでなく、詩を作ったり歌を歌ったりできるので(テディ・ロビンソンの声は同じ人形同士や動物とデボラには聞こえますが、ふつうの人間には聞こえない)、クマのプーさんよりは少しだけかしこく(とは言え、プーさんもめちゃくちゃな歌をたまに歌います)、くまのパディントン(こっちはほんものの生きたクマ)よりはお行儀のよいクマです。

 テディ・ロビンソンも考えなしに行動して問題をおこすことはあるのですが、たいていは自分自身がひどい目に遭うだけで、かつ、テディ・ロビンソンが楽天的なので、わりと平和です。パディントンの場合は、本人が気がつかないうちに周囲で大惨事が起きるタイプ。(でも、不思議と丸くおさまる)

 さて、今回は、冬のお話なので、クリスマスを中心に、ファンタジックで心温まるエピソードがたくさん詰まっています。サンタクロースにはプレゼントをもらいますし、妖精たちに誘われて楽しくダンスを踊ったりもします。

 間違えられてバザーで売られてしまう話も、短い話ながらすごくうまくまとまっていて、ラストでは「おおっ」って感じで感動しました。ぬいぐるみの物語では、ぬいぐるみが自分の意思で動くことがないため、周囲が動くことで物語が転がるのですが、逆に、「自力で動けない」不自由さが意外な方向に展開することもあります。

 よくよく考えると、けっこうあぶない目に遭っているのですが、テディ・ロビンソンが常に楽天的で「なんとかなる」と思っているために、まったく暗い雰囲気がありません。
 そして、デボラとの仲良しぶりも健在。デボラがどんなに大きくなっても、ずっと一緒にいると信じて疑わないテディ・ロビンソンですが、おそらくこのデボラなら、お嫁に行くときもテディ・ロビンソンを連れてゆくでしょう。

 自分大好き、デボラ大好きのナルシストのクマのぬいぐるみの巻き起こす、ドタバタファンタジーです。
 でも、基本的に愛情あふれるクマなので、妖精さんに「みんなが幸せなクリスマスをすごせますように」とお願いする優しいところもあります。そして、どんなにやんちゃで冒険好きでも、デボラの隣にいる時がいちばん幸せ。

 自分以外の人にいじわるなナルシストは困るけれど、テディ・ロビンソンは自己肯定感が高くて愛情深いタイプのナルシストなので、何が起きても楽しく、ゆかいで、さわやかなのです。こんなに楽天的だと、毎日楽しいだろうなあ。

 そんなテディ・ロビンソンがいつもそばにいるからか、デボラも明るく楽天的な女の子です。ジョーン・ロビンソンは「思い出のマーニー」で、沈み込みがちな女の子の心理を描いていますから、悩みやすい子の心がわからない人ではないので、このコンビが底抜けに明るいのは、わざとでしょう。小さな子どもたちに、自己肯定感を持って明るく生きてほしいのだと思います。

 ナルシストで自分を人間のように思っているテディ・ロビンソンも強メンタルですが、そんなテディ・ロビンソンを人間の友達のように扱うデボラと、そして、そんなデボラを自然に受け入れている周囲の大人たちの関係が、ほほえましいだけでなく頼もしい。

 なにしろ、デボラのママは「テディ・ロビンソンのたんじょう日」で、テディ・ロビンソンの本を手づくりしようとして失敗してしまったデボラに、本の作り方なら近所のプロの絵本作家に教えてもらえばいいわよと、ド直球のアドバイスしたお方です。
子どもの感性をばかにせず、真正面から本気で受け入れる大人たちばかりなんですね。でも、そこがいい。

 子どもが想像したこと、したいと感じたことを「何をばかなことを」とスルーして取り合わないことは簡単だけど、こんなふうに受け入れられたらどんなに素敵でしょうか。もちろん、現実にはなかなか難しいことですが、本の中でそんなお話を読むことが出来たら、元気が出てきます。

 明るくやんちゃな、ぬいぐるみファンタジーです。ぬいぐるみ好きのお子様なら、男女問わずおすすめ。いぐるまーの心の癒しにも、大人の和みタイムにも、ぴったりです。
 そして、もちろん、クリスマスプレゼントにもね。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はいっさいありません。ほのぼのとした、ハートフルなぬいぐるみファンタジーです。サンタクロースや妖精が登場するので、クリスマスプレゼントにぴったり、短いお話のオムニバスなので、読み聞かせにもおすすめです。

 温かいお部屋で、熱々の紅茶をお供に、ぜひどうぞ。

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