【サーティーナイン・クルーズ】39の手がかりを探す、遺産争奪戦、第3巻。日本での冒険は?【奪われた刀】【小学校中学年以上】

2024年3月2日

広告

サーティーナイン・クルーズ 3 奪われた刀  ピーター・ルランジス/著 小浜杳/訳  メディアファクトリー KADOKAWA

歴史の裏で重要な役割を担っていたケイヒル一族。グレース・ケイヒルの遺言と遺産をめぐって、一族の面々が39個の手がかりを探す、アメリカのヤングアダルト小説。主人公のエイミーとダンは、今回は日本へやってきます。

この本のイメージ 宝探し☆☆☆☆☆ やっぱり少しなんちゃって日本☆☆☆☆☆ 冒険に継ぐ冒険☆☆☆☆☆

サーティーナイン・クルーズ 3 奪われた刀  ピーター・ルランジス/著 小浜杳/訳  メディアファクトリー KADOKAWA

<ピーター・ルランジス>
150万部以上を売り上げ、33の異なる言語に翻訳された160冊以上の本の著者。 これらには、ニューヨークタイムズのベストセラーSeven Wondersシリーズの5冊、The Colossus Rises、Lost in Babylon、The Tomb of Shadows、The Curse of the King、The Legend of the Rift、および39Cluesシリーズの3冊が含まれる。ニューヨーク在住。

 アメリカからやってきた、ヤングアダルトアドベンチャー小説、「サーティーナイン・クルーズ」シリーズです。かなり古いシリーズで、時々入手困難な巻もありますが、図書館なら楽しめると思います。

 原題はThe 39Clues : Sword Thief. 原書初版は2009年。日本語版初版も2009年です。

 全体構成と第1巻を「パーシー・ジャクソンシリーズ」のリック・リオーダンが作り、それぞれの巻は別々の作家が担当するという集団創作方式をとっています。アメリカのロングランテレビドラマみたいですね。

 アメリカの長期連続テレビドラマは「ショーランナー」と言う全体構成や世界観、キャラクターの基本設定を決める作家がいて、その人が創った世界観やあらすじをもとにして、多数のシナリオライターが分業する方式をとっています。これによって、全体の世界観やテイストの統一をはかっているのです。

 小説の世界でも、この「サーティーナイン・クルーズ」のほかにも、アメリカで90年以上愛されている少女探偵「ナンシー・ドルーミステリ」や、ドイツのSF「宇宙英雄ローダンシリーズ」などがこの方式で継続中です。

 さて、今回、主人公のエイミーとダンは日本にやってきます。

 「歴史に名を残した偉人は、なんらかの形でケイヒル一族の血を引いている」と言う設定のこの冒険小説、フランクリン、モーツァルトと続いて、今回は豊臣秀吉です。

 確かに外国人から見ても、題材になる不思議な存在かもしれません。

 どこの誰かもわからない農民の息子がどんどん上り詰めて太閤までになったものの、幻のように消えてしまったのですから。

 秀吉が「刀狩り」をしたことや、海外に派兵したことなど、かなり調べて書いてありました。
 ただ、秀吉の血筋は根絶やしになっていることは、日本では時代ドラマなどで何度も放映され、かなり有名な史実なので「秀吉の子孫がヤクザになって生き残っている」と言う設定は現実味が感じられなくて、そこだけは残念でした。

 しかし、日本にも豊臣生存伝説がないわけではありません。

 大阪夏の陣で真田幸村が豊臣秀頼の手を引き、大阪城を脱出し鹿児島へ落ち延びたという言い伝えは根強くあり、当時、京では『花のやうなる秀頼様を、鬼のやうなる真田がつれて退きも退きたり加護島(鹿児島)へ』というわらべ唄が流行したそうです。

 また、九州のどこかの地方に「ただものではなさそうな老武士が、お金の使い方を知らない若い武士の面倒をみていた」と言う、不思議な言い伝えがあったと言い、これは都市伝説かもしれませんが、ロマンがありますね。

 その後、豊臣秀頼の子が天草四朗となったと言う歴史ミステリーもありますが、そのあたりはさだかではありません。もしそうだったとしても、その時点で豊臣は絶滅していますが……

 と言うわけで、日本人が読むと違和感は否めないのですが、物語自体はスピーディーにどんどん進み、エイミーとダンは謎にせまってゆきます。ほかの挑戦者たちとの関係も、徐々に変化してきており、協力したり裏切ったりと、人間模様も複雑。

 そして、だんだん「39個の手がかり」の意味も解明されてゆきます。

 物語の最後で、次の手がかりが見つかります。
 次はエジプト。さて、エイミーとダンの運命は?

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 アクションシーンや危険なシーンはありますが、気をつけて書かれているのでされほど残酷ではありません。次から次へと事件が起きる、映画のような冒険小説です。歴史ミステリーを題材にしているので、読後お子様の興味が歴史関係の本へと横展開することが期待できます。

 今回の本は「なんちゃって日本」の要素が少しあるので、そこらへんは割りきりが必要かもしれません。
 けれども、お話としては面白いので、休日のエンタメとしておすすめのシリーズです。

商品紹介ページはこちら

この本の続きはちら

お気に入り登録をしてくださればうれしいです。また遊びに来てくださいね。
応援してくださると励みになります。

にほんブログ村 本ブログへ

広告