【鏡のなかの幽霊】魔法の鏡をめぐる、時を越えた魔女と少女の大冒険【ルイスと不思議の時計 4】【小学校中学年以上】

2021年4月23日

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鏡のなかの幽霊 ルイスと不思議の時計 4   ジョン・べレアーズ/作 三辺律子/訳 静山社ペガサス文庫

魔力を失ってしまったツィマーマン夫人のもとに、古い鏡を通じて今は亡き恩師からメッセージが届きます。ふたりは、魔力を取り戻す旅に出ますが、トンネルを抜けたとき、なんとそこは……  

この本のイメージ 女の子の冒険☆☆☆☆☆ 時を超えた冒険☆☆☆☆☆ 魔力の回復☆☆☆☆☆

鏡のなかの幽霊 ルイスと不思議の時計 4   ジョン・べレアーズ/作 三辺律子/訳 静山社ペガサス文庫

<ジョン・べレアーズ>
ジョン・ベレアーズ(John Anthony Bellairs、1938年1月17日 ~1991年3月8日)は、アメリカの小説家。児童向けのファンタジー小説を得意とした。代表作として『霜のなかの顔』、「ルイスと不思議の時計」シリーズ、「ジョニー・ディクソン」シリーズなど。

 突然ですが、週末の全日本フィギュアスケート選手権、
 羽生選手、紀平選手おめでとうございます!

 羽生選手はさすがの調整力と言うか、ここぞというときにあわせてくる底力の強さを感じました。振り付けはリモート指導であとはセルフだったと知ってびっくり。
 困難に対する対応力の高さが並外れていますね。以前から、羽生選手は勝った試合より失敗してリカバリーした試合のほうが印象に残ると言っていたのですが、今回はパーフェクトでかつ記憶に残る演技でした。圧巻。

 紀平選手は、四回転成功おめでとうございます! やっぱり、日本女子のクワドは安藤選手の系譜、サルコウなんですね! 女子がプログラムにクワドとトリプルアクセルを入れる時代になるとは! これからは空中戦の時代になるのでしょうか。楽しみでなりません。女子はロシアが高難度ジャンプ時代に突入していますが、日本もまったく引けを取らずに対抗できそうです。
 スケート女子、強い! すごい時代になりました。

鏡のなかの幽霊 ルイスと不思議の時計 4   ジョン・べレアーズ/作 三辺律子/訳 静山社ペガサス文庫

 さて、本日ご紹介する本は「鏡のなかの幽霊」。「ルイスと不思議の時計」シリーズの第4巻です。(前説が長いよ)
 こちらも、極寒のなか、女子が大活躍するお話です。(そうつなぐ?) じつはこのお話、原作者のジョン・べレアーズが三作目を書いた後死去しており、遺稿をもとにしてSF作家、ブラッド・ストリックランドが書き上げたものだそうです。

 ジョン・べレアーズの「ルイスと不思議の時計」シリーズには、独特の持ち味があります。
 この本の原作は1993年に出版されており、1973年にシリーズ第1巻「壁の中の時計」が出版されてから、20年近く続いていた人気シリーズなのですが、一貫して流れているテーマがあるのです。

 物語の中で「内向的な男の子の成長」とともに「女の子の自己実現」について真正面から取り組んでおり、これがどう表現されているのか個人的には気になるところでした。しかし、読んでみて、さほど違和感はなく、「ルイス」の世界観がスムーズに引き継がれているような気がします。

 今回も、前回の「魔法の指輪」に引き続き、ローズ・リタとツィマーマン夫人の冒険物語です。
 ルイスを助けるためにほとんどの魔力を失ってしまったツィマーマン夫人でしたが、昔、骨董屋で買った鏡から、今は亡き恩師が現れ、魔力を取り戻すヒントをくれるのです。

 それは、彼女と出合った「はじまりの場所まで戻り、“大いなる不正”を正せ」と言うメッセージでした。

 大いなる不正とは何なのでしょうか。
 恩師ヒルダ・ウェザビーと最初に出会った場所まで行こうとしたツィマーマン夫人とローズ・リタは、なんと彼女と出会った1898年どころではなく、1828年にタイムスリップしていたのでした。

 そこには、まだ少女の恩師ヒルダ・ヴァイスがいて、彼女の祖父であり偉大な善き魔法使いのドレクセル・ヴァイスを「悪の魔法使い」とののしる村人たちから苦しめられていました。このままだと、ヴァイス一家は村を追い出され、優しいドレクセルじいさまは、もうすぐ死んでしまうのです。

 はるか過去に閉じ込められてしまった二人。ローズ・リタはこの時代のことをよく知らず、ツィマーマン夫人は魔力がほとんどありません。さて、ふたりはこの難局を乗り越え、ヴァイス一家の濡れ衣をはらし、ドレクセルじいさまを死の運命から救い出せるのでしょうか。

 と、いうのが今回のあらすじ。

 ルイスとジョナサンはふたりでヨーロッパに出かけてしまったので、前回に引き続き、ローズ・リタが大活躍します。
 前回「魔法の指輪」では、ツィマーマン夫人が魔女にめんどりに変えられてしまったので、最後はローズ・リタが大奮闘したのですが、今回も、ツィマーマン夫人が記憶の混乱により寝込んでしまい戦線離脱してしまうので、ローズ・リタが頑張ります。

 ローズ・リタの頑張り方は、いつも猪突猛進なので、慎重で引っ込み思案のルイスとは正反対。また、正義感が強いため、義憤にかられて突っ走ってしまうこともしばしば。そして、そんなときにかぎって、ブレーキ役のツィマーマン夫人は倒れてるんです。

 でも、ローズ・リタ自身もそれは自覚していて、事件が解決したあとはちゃんと反省しているのです。
「わたしはなにもかもやりそこなったのよ! それで自分じゃ賢いつもりだった」(引用p211)

しかし、「わたしにはひとりでなにかする資格なんてない」と落ち込むローズ・リタにツィマーマン夫人は言います。

「くだらない。いい、よく聞きなさい。一度しか言いませんからね。あなたがやったことはぜんぶ、ドレクセルじいさまやヴァイスさんたちやわたしを助けようとしてやったことでしょ。計画したとおりにうまくいかなかったからってそれがなに? あなたはやろうとしたのよ━それが大切なんじゃない! それにすべてが悪い方向にいったときも、あなたは立ち向かった」(引用p212)

 これは、とても印象深いやりとりでした。

 失敗した子供に「あなたには1人であれこれする資格なんてない。これからは、何もかもわかった人の指示をうけて行動しなさい」と言う大人や、そう思い込む子供も多いけど、ツィマーマン夫人の主張は正反対なんですね。行動したんだから、それでいいんだ、と言いきる。

 こう言ってくれる大人が傍にいてくれるかどうかは、子供にとってとても重要な気がします。ローズ・リタにとって、それは親でなくてもよかった。ローズ・リタの両親は、慎重で冒険を避ける、常識的なタイプです。

 けれど、ツィマーマン夫人がいるだけで━彼女が冒険に連れ出し、そして「タイミングがいいときに」行方不明になったり力を失ったりすることで━ローズ・リタはどんどん成長してゆくのです。

 二度の冒険を乗り越えることで、大親友となったツィマーマン夫人とローズ・リタ。もう、名コンビです。

 そして、ジョナサンとルイスもヨーロッパから戻ってきました。こちらも、たくさんの冒険を乗り越えてきたようです。
 次巻からは、ルイスたちの冒険譚になりそう。楽しみです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネカティブな要素はほとんどありません。主人公は女の子ですが、良質で正統派の冒険ファンタジーです。最後は、気持ちのいいハッピーエンド。この話だけでも充分話が理解でき、楽しめますが、一巻から順に読んだほうがわかりやすいでしょう。

 今回は、ドイツからの移民の村での生活が続き、食事シーンもおいしそうです。読後にはドイツのお菓子や熱い紅茶がおすすめです。

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