【かさじぞう】大晦日の夜の奇跡。日本のむかしむかしのお話の絵本。【4歳 5歳 6歳 7歳】

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かさじぞう 松谷みよ子/文 黒井健/絵 童心社

むかしむかし、やまのおくに、じいとばあがふたりでくらしておりました。ふたりのあいだには6人のこどもができたけど、ちいさいころに 死んでしまい、ずっとふたりぐらしでした……

この本のイメージ 大晦日の奇跡☆☆☆☆☆ やさしくて☆☆☆☆☆ 少しせつない☆☆☆☆

かさじぞう 松谷みよ子/文 黒井健/絵 童心社

かさじぞう 松谷みよ子/文 黒井健/絵 童心社

 西洋だとクリスマスイブに近いイメージで奇跡が起きる夜として、日本では大晦日の夜があります。
 「かさじぞう」は大晦日の夜の奇跡を伝えた、日本の古い昔話。この季節にぴったりなので、本日ご紹介します。

 この民話には、さまざまなバージョンがあり、地蔵さまの数が違ったり、おじいさんが地蔵様にあげるものも少しずつ違ったりします。

 この絵本のお話は、

 あるところに、じいとばあが二人で暮らしていました。
 ふたりの間には、6人子供が出来ましたが、6人とも、まだ小さな頃に死んでしまいました。

 大晦日の夜、食料も尽きてしまい、困ったじいは、自分が作った「笠」(スゲという草を編んで作った、頭にかぶる丸くて平たい麦藁帽子のようなもの)を売りに町に出かけました。売ったお金で、なんとか正月の食べ物を買おうとしたのです。

 しかし、笠は売れませんでした。
 降りしきる雪のなか、とぼとぼと帰る帰り道に、じいは、6体のお地蔵様が並んでいるところに通りかかります。

 頭に雪が積もっていて、寒そうなお地蔵様たちに、じいは、思わず積もった雪を払い、売れ残った笠をお地蔵様の頭にかぶせてあげました。笠は5つしかなかったので、足りないぶんは、じいの手ぬぐいをお地蔵様にほっかむりのようにかぶせてあげました。

 正月のもちも買えずに、帰ってきたじいでしたが、その話をするとばあは、「それはよいことをしました」と満足そう。

 その夜更け、ふたりがうとうとした頃に、玄関先で大きな音がします。
あやしんで様子を見に行くと、玄関先には、もちや正月の食べ物、米俵、金銀財宝が山と積まれていました。

 見ると、6体のお地蔵様たちが去ってゆきます。みんなじいの笠をかぶって、さいごのお地蔵様は手ぬぐいをほっかむりにしていました。

 「じいもばあもまめでなあ」とお地蔵様たちの声がして、じいとばあは、手を合わせて見送りました。
 そして、じいとばあは、仲良く長生きしました。めでたしめでたし

 と、言うお話。

 

 自分の話で恐縮なんですが、わたしがまだ小さな子供のころ「親孝行」と言う言葉をはじめて覚えたとき、祖母に「親孝行ってなに?」と訊ねたことがあります。
 祖母は、かなり真剣な顔で、「長生きすることだよ」と言いました。
 「親って言うのは、子供に長生きしてほしいものなんだよ。親より早く死ぬのが、いちばんの親不孝だからね」

 祖母は、この「笠地蔵」の時代のようなことを、肌で知っている世代だったと思います。

 「笠地蔵」は、子供を育てきることが困難だった時代の物語です。

 幼くして死んだ子供たちが6人だったこと、お地蔵様が6体だったことから、このお地蔵様と死んだ子供たちの関係を匂わせています。
 じいとばあの視点で読むと、正直に生きることが報われる話に読めますが、お地蔵様が死んだ子供たちだとすると、お地蔵様視点では両親に親孝行をしに来た子供たちのお話にも読めます。

 また、民話によっては、この笠地蔵のラストは、お地蔵様たちがお爺さんとお婆さんのふたりを、極楽浄土に送り届けると言うバージョンもあるようです。(つまり、ふたりは死んでしまったという話に……) それだと、ちょっとマッチ売りの少女みたいで悲しすぎますね……

 この絵本では、じいとばあは、お地蔵様がくれた食べ物やお金で、末永く仲良く暮らしたようです。(ホッ)

 朝起きたら奇跡が起きていて……と、いうファンタジーはクリスマス関係では西洋でよく見られます。
 日本ではこの手の話は、あまりないのですが、この「かさじぞう」は、心温まるし、お地蔵様たちがちょっとドジでかわいい。

 大きな音を立ててお爺さん夫婦を起こしてしまい、あわてて去ってゆくお地蔵様たちがなんだかとっても愛嬌があるんです。

 サンタクロースみたいに空も飛べないし、えっちらおっちら歩いて来たんだ……米俵を持って。なんてけなげなんでしょう。そして、おじいさんの笠や手ぬぐいは気に入ったらしく、かぶったまま。

 たしか、わたしが子供の頃に読んだバージョンでは、「笠の代金を払いに来た」っていうタイプのお話もあったはず。でも、この絵本では、「じいとばあもまめでなあ」と健康を祈っているところから、やっぱり死んだ子供たちがあの世で仏様になって見守っていると言う設定なのでしょう。

 日本の昔話は、すこし残酷だったり悲哀があったりすることが多いのですが、この絵本では、こころあたたまるいいお話になっています。雪深い山奥のじいとばあの暮らしも、貧しいながらも仲良く暮らしているようすが伺えます。

 この季節におすすめの絵本です。
 年末年始と、伝統行事も多い季節ですから、日本の昔話に触れるにぴったりな時期。
 温かいコタツでみかんを食べながらの読み聞かせに、おすすめです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 しみじみといいお話です。地蔵様の数や、じいとばあの設定などから、様々なことが想像されますが、あえて詳しくは書かれていないので、背景も含めてじっくり味わうことが出来ます。大人の和み絵本というよりは、お子さまに。
 「うちはクリスマスはやらないが、お正月はちゃんとやる」と言う方は、プレゼントにおすすめです。

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