【そして五人がいなくなる】名探偵VS伯爵。とぼけた名探偵のシリーズ第1巻【名探偵夢水清志郎事件ノート1】【小学校高学年以上】

2024年3月7日

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そして五人がいなくなる  名探偵夢水清志郎事件ノート1  はやみねかおる/作 村田四郎/絵 講談社青い鳥文庫

おとなりの洋館に引っ越してきた自称名探偵。表札にも名刺にも、「名探偵」と書いてある。本人が言うんだからまちがいない? とぼけた名探偵が、遊園地での子ども消失事件に挑む?!

この本のイメージ ミステリ☆☆☆☆☆ マジック☆☆☆☆☆ 子供心☆☆☆☆☆

そして五人がいなくなる  名探偵夢水清志郎事件ノート1  はやみねかおる/作 村田四郎/絵 講談社青い鳥文庫

 はやみねかおる先生の人気シリーズ「名探偵夢水清志郎事件ノート」第1巻です。
 のっけから叙述トリック(文章の書き方にトリックが含まれていて読者を誤誘導する手法)で始まるので、あらすじを書けません。

 とりあえず、大丈夫そうな範囲でご説明すると

 ・夢水清志郎という自称名探偵が主人公
 ・ライバル?は自称「伯爵」と言うマジシャン
 ・事件は、4人の子どもの消失
 ・名探偵は、事件を推理する
 ・ハッピーエンド

 という、お話です。

 結論から言うと、面白かったです。

 「教授」と呼ばれる、名探偵夢水清志郎の、だらしない、忘れっぽい、食い意地が張っている、しかし、推理力はずばぬけている、と言うキャラクターが、へんてこなのに魅力的なのです。

 冒頭は、古びた洋館に夢水清志郎が引っ越してくるところから始まるのですが、引越し屋の運び込む荷物が大量の四角いダンボールばかりで、家具などがほとんどない、と言うくだりですでに爆笑してしまいました。

 「大量の四角いダンボール」でピンと来た人、手を上げてください。
 これねえ、本好きあるあるですよね。

 わたしも、覚えがあります。若い頃、1人暮らしをしていたとき、引越し屋さんに電話して 

 引越し屋「女性の一人暮らしですか? 食器棚はありますか?」
 わたし「ありません」
 引越し屋「タンスはありますか?」
 わたし「ありません」
 引越し屋「ベッドはありますか?」
 わたし「ありません」
 引越し屋「大型の冷蔵庫や洗濯機はありますか?」
 わたし「ありません。冷蔵庫は小型です、洗濯機と布団は古くなったので処分しました」
 引越し屋「わかりました!」(るんるんな様子)

 そして、「楽勝だ!」と意気揚々とやってきた引越し屋さんが、ダンボールを一つ持ち上げようとして、顔がひきつる瞬間。

 引越し屋「これ……本ですか?」
 わたし「はい」
 引越し屋このダンボール、全部本ですか?
 わたし「はい」(笑顔)

 やられた! って顔されましたね。
 聞かれたことには全部答えたんですけれど。

 そんなに本好きだったのに、仕事が忙しくなってからはずっと読書は後回しでした。
 今は、読書できて幸せ。それでも、体力の衰えは確実にあって、昔のような集中力でハイスピードで読むことは出来ないのが悔しい。読みたい本がいっぱいあるのに……

 はやみね先生の作品は、最近知ったばかりで、読んだのは「都会のトム&ソーヤ」が最初です。
 面白くて軽くて、しゃれた感じで、そして、ちょっとレトロな雰囲気があるのが魅力。

 この本にも「三百六十五歩のマーチ」とか「小栗虫太郎」とか、何の説明も無く出てきます。(容赦ない)

 個人的には、伊集院大介(古いよ)を彷彿とさせるところもあるなあ、と思いましたが、夢水教授のほうがキャラのエッジが立っていて、パンチが効いています。

 今回のお話は、名探偵は事件を解明しますが、解決はしません。
 でも、みんなが幸せになります。

 事件を解決するためだけに欲求があるような人ではなくて、自分は事件を推理はするけれど、関わる人たちみんなの幸せのほうが大事、と言う夢水清志郎の選択が、彼の人間性をあらわしています。だから、名探偵なんですね。

 子ども向け小説らしく、推理や謎解きの面白さはたっぷりだけど、やさしさに満ちたお話です。
 児童文学のあたたかさと推理小説のわくわくどきどきが合体した、ユニークなミステリです。

 このシリーズはかなりあるようなので、これからコツコツ読んでゆくつもりです。楽しみです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 残酷シーンや流血シーンはありません。
 子どものための、わくわくドキドキの本格推理小説です。
 名探偵は、事件を解明しますが解決しません。けれども、関わる人たちは全員幸せになります。
 悪人の出てこない、あたたかみのあるミステリです。HSCのお子さまにおすすめ。大人も充分楽しめます。

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