【都会のトム&ソーヤ】もうすぐ映画化。本当に作るの?究極のゲーム。少年たちの大冒険第4巻【四重奏】【小学校高学年以上】

2024年3月9日

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都会のトム&ソーヤ 4  四重奏カルテット  はやみねかおる/作 にしけいこ/画   講談社

ぼくは内藤内人、ふつうの中学生。親友は竜王創也。竜王グループの御曹司で天才という、ふつうでない中学生。ぼくたち二人は、「究極のゲーム」を目指してる。さて今回の冒険は、友達を助けるために走るへんてこマラソンと、幽霊屋敷の怪。

この本のイメージ 高校生の非日常☆☆☆☆☆ 冒険野郎☆☆☆☆☆ わりとサスペンス☆☆☆☆☆

都会のトム&ソーヤ 4  四重奏カルテット  はやみねかおる/作 にしけいこ/画   講談社

<はやみね かおる>
日本の男性小説家(1964年4月16日~ )。三重県伊勢市出身。代表作は「都会のトム&ソーヤ」「怪盗クイーンシリーズ」「名探偵夢水清志朗シリーズ」など

 

 はやみねかおる先生のヤングアダルト(ライトノベル)小説、「都会(まち)のトム&ソーヤ」の第4巻です。

 主人公は自称「ふつうの中学生」内藤内人。しかし、実は、異常なサバイバル能力のある中学生です。
 彼にサバイバルを仕込んだのはおばあちゃん。この名前も出てこない謎だらけの「おばあちゃんの豆知識」が、常に内人を助けます。

 「仮面ライダーカブト」のおばあちゃんと言うよりは、どっちかというと「ARMS」のお母さんみたいな。いや「冒険野郎マクガイバー」みたいな。(どれも古すぎ) 

 ところが今回、かなり有名な(わたしですら憶えている)「マクガイバー」ネタで乗り切るシーンがあり、やはり「おばあちゃんはマクガイバー」説が濃厚になりました。(「マクガイバー」はヒットした当時、真似する子どもが続出したため、厳密には「できそうでできない」ネタに切り替えられたそうです。だから、よい子のみんなは真似しちゃだめですよ)

 そういえば、「マクガイバー」は新しくリブート作品ができたんですよね。一度見ておかなくては!

 
 親友の竜王創也は、大財閥竜王グループの御曹司。天才的頭脳と、どこか抜けている天然風味をあわせもつ、スーパー中学生です。

 この二人がコンビを組んで「究極のゲーム」を目指すというのが、このお話のメインストーリー。

 前回のお話から「頭脳集団(プランナ)」と言う、悪役グループも登場して、三つ巴の戦いになろうとしてきました。

 そうは言っても、彼らはふつうの(?)中学生。彼らなりのスクールライフ、中学生の悪ガキライフもしっかりと描かれています。

 子どもたち同士の秘密の悪だくみ、子どもたちだけの秘密の合図や、秘密基地など、本気で読んだら「ねーよ」と思えるようなことを、リアリティを交えて楽しく描く。そして明るい。タイトルに「都会の」を入れて、テーマに「ゲーム」を選んだ意図もだんだんわかってきました。

 近所に林や土手がなくなっても、町に「空き地」がなくなっても、少年たちの心は何も変わらない。今も昔も彼らはかわらず冒険をする。そういうお話を書きたかったのですね。

 頭がいいのにどこか抜けている創也と、いつもぬけているのにいざとなったら頼りになる内人の最強コンビが都会のコンクリートジャングルを野山のように駆け巡ります。

 そして、大人も曲者ばかり。

 まずは、最強のサラリーマン、二階堂卓也さん。
 今回、確信しましたけど、この人のモデル、ターミネーターですね。創也は在りし日のエドワード・ファーロングのジョン・コナー(この場合の「在りし日」は「エドワード・ファーロング」ではなく「ジョン・コナー」にかかります)

 究極のゲームを目指すゲームクリエイター集団「栗井英太(くりいえいた)」。

 新たに登場した、謎だらけの悪役「頭脳集団(プランナ)」。

 彼らが入り乱れて、創也と内人が様々な事件に巻き込まれ、解決してゆくストーリーです。

 今回のお話は、クラスメイトの届け物をするために奇妙なマラソンをする内人たちのお話、ジュリアスのショートストーリー、そして、幽霊屋敷にまつわる大冒険の三本です。

 「ふつうでない大人」堀越美晴ちゃんのお父さん(この人、レギュラーキャラだったんだ……)も大活躍。この方、「二十六人のゆかいな部下たち」と呼ばれるアルファベットの名前のついた部下がいるんです。年寄りならピンとくる、「エーベルバッハ少佐」ですよ。(お父さんの性格は少佐とは似ても似つかないのですが……) こう言うネタが容赦なくバンバン入ってくる。

 今回のハイライトは「眠っている卓也さん」。この、「眠っている卓也さん」が幸せそうで怖かわいいのですが、このシーン、異様に長いのです。いや、幸せなのはわかるけど、断固として寝すぎでしょ。っていうか、このお話って、時折、内人と創也がかすむくらい、大人がオカシイ

 はやみね作品の大人って、子どもがピンチのときに絶対に助けてくれる、頼りになる強さはあるのですが、普段の生活が、圧倒的に壊れているのです。これは、わざとかもしれませんね。

 大人がいい感じに壊れていないと、子どもものびのびと冒険できません。内人と創也が存在を許される世界とはこういう世界なのかも。

 明るくてポップで、でも根っこのリアリティはあるので、逸脱しすぎない。ちょうどいい感じが楽しい、良質のジュブナイルです。

 いつも心に冒険心を秘めた少年少女、心に少年を宿したすべての大人におすすめです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はほぼありません。カラッと明るい、ユーモアにあふれた、テンポのいい都会派冒険小説です。
 創也のカリスマと内人のサバイバル能力が合わさって、どういうわけだかコンビ漫才みたいになってしまうところが楽しい。

 創也がダージリンティーをいれるのが得意という設定なので、読後はぜひ、ダージリンティーでティータイムを。

 

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