【ミス・ビアンカ】美しき白ねずみの大冒険! イギリスからやってきた名作児童小説【くらやみ城の冒険】【小学校中学年以上】

2024年3月9日

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ミス・ビアンカ くらやみ城の冒険  マージョリー・シャープ/作 渡辺茂男/訳 岩波少年文庫

囚人友の会のねずみたちは、くらやみ城に囚われた詩人を助ける会議をしていました。詩人を助けるためには、ある特別なねずみの力を借りなければならない、それが、外の世界を知らずに育った美しい白ねずみ、ミス・ビアンカでした……

この本のイメージ 動物ファンタジー☆☆☆☆☆ プリズンブレイク☆☆☆☆☆ かわいい☆☆☆☆☆

ミス・ビアンカ くらやみ城の冒険  マージョリー・シャープ/作 渡辺茂男/訳 岩波少年文庫

<マージョリー・シャープ>
マージョリー・シャープ(1905~1991)は、イギリス・ソールズベリー生まれ。ロンドン大学卒業、21才のとき「パンチ」に作品が掲載される。1930年「しゃくなげのパイ」で作家デビュー。代表作は「ミス・ビアンカ」シリーズ

<渡部茂男>
渡辺 茂男(わたなべ しげお、1928年3月20日 – 2006年11月18日)は、日本の児童文学者、翻訳家。昭和時代戦後から平成時代にかけて、児童文学を多数創作したほか、英米の絵本や童話を中心とした児童文学や海外の児童文学理論の翻訳を手がけた。代表作は「しょうぼうじどうしゃ じぷた」など。

 

 楽しいシリーズのご紹介です。
 1959年に発表されたミス・ビアンカシリーズの第一作、「くらやみ城の冒険」。原題は"The Rescuers".
イラストはGarth Williams.

 お話は、ある時代(ちょっと昔)、ある国で。ねずみたちの集会「囚人友の会」の総会が開かれていました。ねずみたちは囚人の友なのです。そして、このとき、とある囚人を、おそろしい「くらやみ城」から助け出そうとしていました。

 彼は詩人で、自由詩を書くので囚われていたのでした。

 しかし、彼はノルウェー人だったので、誰もこの詩人と会話できません。それで、ノルウェーから最も勇敢なねずみを連れてくる必要があったのです。
 誰がノルウェーまで行き、その任務をはたすことができるでしょうか。

 議長は、外交官のぼうやが飼っているねずみ、ミス・ビアンカに伝令を頼むことを提案します。
 その外交官は、近々、ノルウェーに赴任することが決定していて、ミス・ビアンカは飛行機に乗って一緒にノルウェーにゆくことになっているからです。

 ミス・ビアンカを説得する役目には、勇気あるねずみバーナードが選ばれました。

 バーナードは、みごとミス・ビアンカを説得し、協力を取り付けます。ミス・ビアンカはノルウェーで、船乗りねずみニルスに協力を頼みました。快諾してくれるニルス。ここまでで、ミス・ビアンカの役目はおわるはずでした。けれど、ミス・ビアンカは、なんと、ニルスと一緒にゆくことにしたのです。

 そして、ニルスとバーナード、ミス・ビアンカは、くらやみ城の救出作戦にむかうことになったのでした。

 ……と言うのがあらすじ。

 表紙のかっこよく微笑むミス・ビアンカから、「強いお姐さんねずみなのかな」と想像していたら、まったく逆で、たいへん上品な、お嬢様ねずみでした。
 しかも、外交官のぼうやの美しいかごから一度も出たこともない、箱入り娘だったのです。

 外交官のぼうやと一緒に暮らしていたミス・ビアンカの特技は、人間の書いた書物が読めることと、人間の文化に精通していること。
 と同時に、たいへんな箱入りねずみなので、ふつうのねずみが知っているような、外界の常識をまったく知りません。

 天然お嬢様のミス・ビアンカにとって、外の世界ははじめて見るものばかり。でも、持ち前の機知と魅力でミス・ビアンカは困難を解決してゆきます。

 この物語は、勇敢なねずみバーナード、荒くれねずみのニルス、そして美しく賢いけれど、世間知らずで、時々突拍子もないことをするお嬢様ねずみのミス・ビアンカのでこぼこトリオが、難攻不落のくらやみ城から詩人を脱出させるべく奮闘する、プリズンブレイク動物ファンタジーなのです。(謎のジャンルだ……)

 翻訳は、「しょうぼうじどうしゃ じぷた」の渡辺茂男先生。ミス・ビアンカの育ちのよさや品のよさ、そしてちょっと抜けていて可愛いところが伝わる翻訳で、これは訳が違ったら、彼女の魅力は半減してしまっただろうと思える名訳です。

 ミス・ビアンカの上品さが、嫌味で気取った感じではなく、たおやかでやさしげに表現されているのがすばらしい。
 宝塚のお姫様みたいなかわいらしさなんです。

 お話自体は、正統派の冒険ファンタジーで、困難に向けて3匹が立ち向かってゆく、楽しくゆかいで、ハラハラドキドキの物語。怖くて乱暴な悪役ねこも出てきます。

 文章は平易で読みやすく、難しい漢字にはすべて振り仮名がふってありますので、小学校中学年から。
 男の子にも、女の子にもおすすめです。

 かわいくって、楽しい、冒険ファンタジーです。60年以上前に書かれた物語ですが、新鮮で、古びたところがまったくありません。動物ファンタジーが好きな方にはおすすめです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はほとんどありません。わくわくドキドキの冒険物語です。冒険ものと動物ファンタジーの魅力がプラスされて、面白さも二倍。

 かわいくて楽しい物語なので、お子様との読み聞かせだけでなく、大人の和みタイムにも。
 週末のリラックスタイムにぜひ。

 読後は、おいしいチーズまたはチーズケーキと紅茶でティータイムを。

 

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