【ナンシー・ドルーミステリ】90年前から愛されてきた少女探偵の大冒険。レッド・ゲート農場の秘密に挑戦【レッド・ゲート農場の秘密】【電子書籍】【小学校高学年以上】

2022年7月25日

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レッド・ゲート農場の秘密  キャロリン・キーン/作 渡部庸子/訳  創元推理文庫

ナンシーの親友ベスが買った香水、「ブルー・ジェイド」の香りが危険な事件へとナンシーをいざなう。買い物帰りの列車のなかで偶然出会った薄倖の少女ジョアンを助けることになったナンシー。彼女と香水は、不思議な運命の糸でつながっていて……

この本のイメージ 農場を救え☆☆☆☆☆ 潜入捜査☆☆☆☆☆ 危機一髪☆☆☆☆☆

レッド・ゲート農場の秘密  キャロリン・キーン/作 渡部庸子/訳  創元推理文庫

<キャロリン・キーン>
エドワード・ストラテマイヤーが設立した、「ストラテマイヤー工房(シンジケート)」が生み出した作家チームのペンネーム。チームには、エドワードの娘ハリエットを含めた複数の作家が所属している。

レッド・ゲート農場の秘密  キャロリン・キーン/作 渡部庸子/訳  創元推理文庫

 

 チーム「キャロリン・キーン」が贈る、少女探偵ナンシー・ドルーシリーズの第六巻。原題はThe secret of Red Gate Farm. 初版は1931年です。

 「ナンシー・ドルー」シリーズは、アメリカの人気作家エドワード・ストラテマイヤーが「キャロリン・キーン」名義で執筆しようとしていた矢先に死去したため、そのアイディアをもとにして、複数の作家で世に出したシリーズだと言われています。

 1人の総合監督が全体設計を作り、設定書やあらすじを共有して複数の作家がシリーズを執筆する方法は、テレビドラマシリーズの手法によく見られます。

 アメリカの長期連続テレビドラマシリーズでは、「ショーランナー」と言う、全体構成とあらすじを決める作家がいて、その全体構成にあわせて、複数のシナリオライターが執筆する形になっています。

 小説の世界ではドイツの「宇宙英雄ペリー・ローダンシリーズ」や、アメリカの「サーティナイン・クルーズ」などで行われている手法です。日本では、「グインサーガ」が作者の死後、この手法で続行中です。

 今回のお話は、ナンシー、ナンシーの親友の女の子らしいベス、ボーイッシュなジョージの女子三人組が街で買い物をしているとき、ベスが気に入って買ったとある香水が事件の発端になります。

 列車の中で体調不良に苦しむジョアンという少女を助けたナンシー。ところが、車内で、見知らぬ男に声をかけられます。どうやらベスが買った香水「ブルー・ジェイド」に秘密があるようです。

 ジョアンは、レッド・ゲート農場のあるじの孫娘。苦しくなった農場経営を助けようと、街に仕事を探しに行く途中でした。ジョアンの窮状を聞き、ほっとけなくなったナンシーは、彼女と親しくなります。

 しかし、このレッド・ゲート農場、どうやら、よからぬ輩たちに目をつけられたようで……。
 ジョアンを守るため、そして危険なバカンスを楽しむために、レッド・ゲート農場に休暇をすごしに来た、ナンシー、ジョージ、ベス。

 ところが事態は思わぬ方向に転がって……

 と、言うのが今回のあらすじ。

 事態は二転三転し、まったく関わりがないと思われた事件と事件がつながって、大きな絵が見えてきます。

 後半は、無鉄砲なナンシーたちが、事件の核心に迫ろうと危険に飛び込み、大活躍。……それにしても、無謀なお嬢さんたちです。ナンシーはともかく、ジョージとベスはふつうのお嬢さんと思いきや、ボーイッシュなジョージどころかベスまでも付き合っちゃう。
 これで友情が壊れないのだから、本当にいい親友です。

 ナンシードルーミステリは「ミステリ」と言いながら、推理するシーンは少なく、ナンシーの潜入捜査やアクションがメインのシリーズです。しかし、今回は珍しく「暗号解読」と言う、ミステリならではの謎解き展開があり、これは謎解き好きには楽しいかもしれません。

 事件に対しては、例によって直感に従って行動していると、玉突き事故のように事件に巻き込まれ、真相が暴かれてゆきます。
 ナンシーは、事件を暴いてしまう運を持ってる女の子なのです。

 ※ちなみに、同時代の作品で、ちゃんと推理をするお話が読みたい方は、アガサ・クリスティの「ミス・マープル」シリーズがおすすめです。(こちらは、殺人事件がメインなので、人はバンバン死にます)

 それにしても、ナンシーの「困った人はほっとかない」というポリシーは、いろんな意味で便利です。この彼女の善良な気質はシリーズ全体を通して貫かれていて、これがナンシーのさわやかな魅力を引き立てると同時に、「どういうわけか、いつでもどこでも事件に巻き込まれてしまう」彼女の探偵体質にうまくマッチしているのです。

 今回はお話の筋が複雑で、それがパズル的面白さがあり、「どうなるのかな、どうなるのかな」とわくわくして読んでいるうちに、どんどん読めてしまったのでした。

 登場人物が多く、展開が複雑なので、今回はイケメン要素は少なめ。後半に、思い出したように、若い男性が活躍するシーンがあります。
 「あ、忘れてた。そうそう、これも書いとかなくちゃ」くらいの感じでイケメンの登場シーンがあるのは、ちょっと笑ってしまいました。

 ナンシーのシリーズでは、恋愛シーンや胸キュンシーンは皆無に近く、そこはまったくメインではないんです。
 今回は、残念ながらナンシーのおしゃれシーンも少なく、とにかく、冒険冒険の連続。(ただし、そんなときでもおいしいものを食べるシーンは忘れない)

 とはいえ、ナンシーは男性に対抗意識があるわけでもなく、ツンツンしていたり怖い女の子というわけでもなく、おしゃれで快活でやさしく美しい女の子。お誘いがあればデートもします。(事件が優先なんですけどね)

 そして、事件がおきると無鉄砲にも自分自身で飛び込んでしまい、解決してしまうのでした。
 ラストは、事件解決だけでなく、プロモーターとしての才能も見せるナンシー。なんでもできる、スーパーお嬢さんです。

 ヒラリー・クリントンなど現在アメリカで活躍している有名な女性たちは、みんな小さな頃にこの「ナンシー・ドルー」シリーズを読んだと言うのですから、その影響力は計り知れません。

 日本では入手困難なことが多いこのシリーズですが、アメリカでは知らない人もいないくらいのミステリなのですから、教養として一度読んでおくのも悪くないと思います。

 かしこい子なら小学校高学年以上から。そんなにボリュームは無いので、すんなり読めます。ただし、難しい漢字にふりがながふっていないので、漢字をたくさん知っているお子様向け。 紙の本は入手困難ですが、電子書籍があります。
 端末は、専用の電子読書リーダーがおすすめです。メール機能やプッシュ機能が無く、読書だけに集中できます。

 さて、このナンシードルーシリーズ。現在日本では、八巻までしか翻訳されていないようです。続きの刊行を望む声もありますから、翻訳を再開なんてことになったら、本当にうれしいですね。よろしくお願いします!(と、テレパシー)

 ハラハラドキドキはするけど、残虐なシーンはない、良質なミステリです。
 人の死なないミステリが読みたいときは、ナンシードルーミステリをどうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はまったくありません。少年少女のために作られた、良質なミステリ小説です。もちろん、大人の方にも面白く、そして安心してお楽しみいただけます。人が死ぬシーンが無いので、お見舞いなどにもOKです。

 農場のレモンメレンゲパイがとてもおいしそうなので、読後はレモンメレンゲパイでティータイムを。

この本の続きは

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