【パイがふたつあったおはなし】猫と犬ととぼけたお茶会。猫好きさんに犬好きさんにもおすすめの絵本【ピーターラビットの絵本】【4歳 5歳 6歳 7歳】
ねこのリビーは、犬のダッチェスをお茶に招待しました。手料理は、心をこめて作った、ねずみのパイでした。ねずみのパイを食べたくなかったダッチェスは、自分のパイをリビーのオーブンに……
この本のイメージ 猫かわいい☆☆☆☆☆ 犬かわいい☆☆☆☆☆ パイおいしそう☆☆☆☆☆
パイがふたつあったおはなし ビアトリクス・ポター/作・絵 いしい ももこ/訳 ピーターラビットの絵本 福音館書店
<ビアトリクス・ポター>
イギリスの絵本作家。ヴィクトリア時代の上位中産階級に生まれ、遊び相手も少ない孤独な環境で育ち、学校に通うことは無かった。幼いころから絵を描くことを好み、多くのスケッチを残している。代表作は「ピーターラビット」シリーズ。
ビアトリクス・ポターの絵本には、さまざまな動物たちが登場します。
「ピーター・ラビットの絵本」と言うシリーズ名になっていますが、ピーターたちうさぎ以外の動物たちのお話のほうが多いのです。
ピーター・ラビットシリーズの動物たちは、リアルな動物らしさを表現しながら、二足歩行でビクトリア時代の服装をしており、それがまたかわいらしい。リアルとディフォルメのちょうどいい、絶妙ミックスです。
今回ご紹介するのは「パイがふたつあったおはなし」。ダツチェスという、愛嬌のある犬が主人公です。
原題はThe Tale of the Pie and the Patty-Pan(パイとパティパンの物語). 初版は1905年。
犬のダッチェスの友人として、猫のタビタさんのいとこのリビーが登場します。
猫のリビーは、犬のダッチェスをお茶にご招待しようと手紙を書きました。手料理はねずみのパイ。偶然ですが、じつはダッチェスもリビーをお茶に招待しようと子牛とハムのパイを作っていました。
ダッチェスは、よろこんでうかがいますと返事をしましたが、ねずみのパイを食べさせられるのではないかと気が気ではありません。そこで、自分の作ったパイをこっそり、リビーのオーブンに入れておくことを思いつきました。
うまくリビーの家に忍び込んでパイをオーブンにいれたのはいいのですが、リビーのオーブンは上の段と下の段があり、下の段の扉はあけにくかったことから、下の段に入っていたねずみのパイを、ダッチェスはみつけることができませんでした。
そんなわけで、お茶の時間に、ダッチェスは、ねずみのパイを自分のパイだと思い込んで食べてしまったのです。
ダッチェスは自分のパイの中には、パイがへこまないように真ん中に焼き型をいれてあったので、間違えて飲み込んでしまったのだと勘違いして気分が悪くなってしまいます。
心配したリビーは、お医者を呼びますが、騒動のあいだに、ダッチェスは自分のパイはまだオーブンの中にあると知ります。自分はねずみのパイを食べたことで、気分が悪くなったと知り、さらにはずかしくなってしまったダッチェスは……
と、いうのがあらすじ。
なんともゆかいなどたばた劇なのですが、この犬のダッチェスが、表情ゆたかで本当にかわいいのです。
真っ黒のコリーのような犬なのですが、真っ黒のコリーっているのかな。雑種でしょうか。ボーダーコリー?(犬に詳しい人、教えてください!)
お手紙を注意深く読んでいる様子、かごを抱えて歩いている姿や、不安げにパイを食べている様子など、どれもこれも、人間の仕草と犬の可愛らしさの配合が絶妙。
犬好きさんにはたまらないはずです。
おもてなしするほうの猫のリビーも、かいがいしく働く仕草がかわいく、猫の愛らしさが存分に表現されています。
ビアトリクス・ポターは、とにかく動物全般が好きだったらしく、どんな生き物も、リアルとディフォルメの具合がすばらしく魅力的です。
こんな犬ほしいな、こんな猫飼いたいなと、誰もが思ってしまうのか、犬の名前に「ダッチェス」とつける人や、猫に「タビタ」や「リビー」とつける人はいまでも多いようです。
ストーリーがいささか複雑なので、文章はややボリュームがあります。
しかし、文章は平易で読みやすく、漢字にはすべてふりがながふってあるので、ひらがなが読めれば全部読めるはず。読み聞かせにも最適です。
挿絵はフルカラーの挿絵だけでなく、白黒のかわいらしい挿絵もふくまれていて、動物たちのかわいい仕草が描かれています。
ピーターラビットの絵本はどれも、少しちいさめで、お子さまが持ち歩くのにとっても便利。いつも一緒にいることができます。
表紙のかごを抱えたダッチェスがとってもかわいいので、犬好きさんへのプレゼントにもおすすめです。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。とにかく、犬と猫がかわいい絵本です。ダッチェスが愛嬌があり、目がくりくりと輝いていて、いろんな表情を見せてくれるので、犬好きさんはぜひ。
お子様へのプレゼントはもちろん、大人のなごみ絵本としてもおすすめです。
読後は、熱い紅茶とお好きなパイで、ティータイムを。
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