【ちゃめひめさま】おちゃめでおてんばなお姫様の宝探し。かわいくって幸せな童話です【ちゃめひめさまとあやしいたから】【小学校低学年以上】
ちゃめひめさまは、おちゃめでおてんばなお姫さま。今日は、仲良しのペピーノ王子たちと、みんなで宝探しをすることになりました。さて……
この本のイメージ 宝探し☆☆☆☆☆ かわいい☆☆☆☆☆ ほのぼの☆☆☆☆☆
ちゃめひめさまとあやしいたから ちゃめひめさまシリーズ2 たかどのほうこ/作 佐竹美保/絵 あかね書房
<たかどのほうこ>
高楼 方子(たかどの ほうこ、1955年 -)は日本の作家。主に絵本、児童書の執筆を手がけている。北海道函館市出身、札幌市在住。東京女子大学文理学部日本文学科卒。
ちゃめひめさまシリーズの第2巻です。
第1巻でペピーノ王子と仲良くなったちゃめひめさま。今日は、王子が家来のペーターと遊びにきてくれました。
そんなとき、しろひげじいやのすすめで、ちゃめひめさま、ペピーノ王子、小間使いのミミー、ペーターの四人で、竜のほらあなへ宝探しの冒険にでることに。
じつは、じいやがこっそり宝箱を用意して、近所のほらあなに隠しておいてくれたのです。
じいやが竜のほらあなまでの道順を説明してくれて、四人はちゃめひめさまとペピーノ王子、ミミーとペーターの二組に分かれて冒険の旅にでます。
ところが、じいやの説明を独自解釈したちゃめひめさまとペピーノ王子は間違った方向にずんずん進んでいってしまいました。そして、あやしいほらあなで、あやしい宝を見つけます……
と、いうのがあらすじ。
第1巻でも、おちゃめでいたずらで、お姫さまらしくないお姫さまのちゃめひめさまでしたが、今回もおてんばぶりを発揮します。
ちゃめひめさまが見つけた宝箱はかなり大きいんですが、ペピーノ王子と引きずりながら運んでしまうのです。おおう、ちゃめひめさま、力持ち!
昔は、お姫さまと言えば「箸より重いものはもてない」などと言われていましたが、ちゃめひめさまは、そんなか弱さはぜんぜんありません。
毎日、よく食べて、よく運動して、よくいたずらしているからでしょう。さすがでございます!
そして、これがまた、とんだ「宝物」で、なんとびっくりのハッピーエンドなのです。
「人の話を聞かない」「独自解釈で突っ走る」「怖いもの知らず」「あやしいと思ったら好奇心で突っ込む」など、とにかく規格外なちゃめひめさまですが、それがぜーんぶ、良い方向に転んで、とんでもない幸運を呼び寄せてしまったと言うお話。
ふつうなら、「欠点」とされてしまう、ちゃめひめさまの個性。でも、そんなちゃめひめさまだからこそ、「用意されたストーリー」をぶっちぎって思いも寄らない「宝」を発見できたのです。
現実でもそうではないでしょうか。
まじめな人たちは、予定されたことを予定通りにきちんとこなします。もちろん、それが世の中を支える人たちなのですが、予定されたことを予定通りするだけでは、新しいものが生まれてきません。
ちゃめひめさまみたいな人が、既存の枠をぶっ飛ばして突進してくれることで、想像もしなかった大発見があったり、新しい何かが生まれたりするのです。
やんちゃなちゃめひめさまとペピーノ王子。似たものどうしのふたりが、怖いもの知らずにどんどん突っ走ってゆくすがたは、のびのびとしてかわいらしく、お行儀の良いお姫さま王子さまのお話より、ずっとずっと楽しく魅力的です。
字は大きくて、文章は平易で読みやすく、ひらがなとカタカナだけで書かれているので、五十音を覚えていれば読めます。「ハウルの動く城シリーズ」などでおなじみの佐竹美保先生のかわいい挿絵がふんだんに入っていて、ちゃめひめさまたちの表情が豊かでかわいらしい。
女の子が主人公ですが、男の子が読んでも楽しいと思います。もちろん、読み聞かせにも。
お話自体は、「ちゃめひめさまとペピーノおうじ」から続いていますので、まずは第1巻からお読みになるのをおすすめします。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。むしろ、小さな悩みならふっとばしてくれそうな、豪快なお姫さまの物語です。
漢字は使われていないので、絵本を卒業したばかりのお子さまにおすすめ。
読後は、ドロップがほしくなると思うので、ご用意を。
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