【ノーチラス号の冒険】ドイツからやってきた「海底二万里」の後継冒険小説。ファン必読の名作【忘れられた島】【入手困難】【重版希望】【小学校高学年以上】

2024年3月11日

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ノーチラス号の冒険 1  忘れられた島 ヴォルフガング・ホールバイン/作 平井吉夫/訳 創元社

イギリスの上流階級寄宿学校アンダラ・ハウスで学ぶマイクはインド人の父とイギリス人の母のあいだに生まれたが、なんらかの事故で幼いころに両親を亡くしていました。クリスマス休暇を学校ですごすことになった冬、友人の父ヴィンターフェルト艦長の軍艦に招待されます。しかし……

ノーチラス号の冒険 1  忘れられた島 ヴォルフガング・ホールバイン/作 平井吉夫/訳 創元社

<ヴォルフガング・ホールバイン>
ヴォルフガング・ホールバイン(Wolfgang Hohlbein、1953年8月15日~ )はドイツの小説家。ホラー、SF、ファンタジーを中心に執筆している。ノルトライン=ヴェストファーレン州ノイス在住。「パイレーツ・オブ・カリビアン」「インディー・ジョーンズ」を題材とした小説でも知られる。

 

 これは、ドイツのファンタジー作家ヴォルフガング・ホールバインが描く、「海底二万里」の続編小説。「神秘の島」の設定も多少使われていますが、設定が変更されている部分もあるので、どちらかと言うと「海底二万里」の続き、と言った感じです。

 原題は、Operation Nautilus. 第1巻タイトルは、Die Vergessene Insel.です。本国初版は1993年。日本での初版は2006年です。ジュール・ヴェルヌはフランス人ですが、ドイツにもこんなに熱いファンがいたんですね。

 さて、お話は…

 イギリスの寄宿学校「アンダラ・ハウス」で学ぶマイクは、幼いころにインド人の父とイギリス人の母を失った、天涯孤独な少年でした。

 彼は、後見人の助けでこのイギリスの学校に通っていましたが、親族はおらず、そのうえ時代は第一次世界大戦へむけて流れ始めたため、クリスマス休暇にインドにも帰れずにいました。

 そんなある日、親友パウルの父、ドイツ軍人ヴィンターフェルト艦長が自身の軍艦にマイクと友人たちを招待してくれました。喜びと期待に胸を膨らせて、軍艦レオポルド号に向かうマイクたちでしたが、その途中、モーターボートの事故で海に投げ出されてしまいます。そして、気づいたときにはマイクは囚われの身となっていました。

 彼の出生の秘密と、父が彼に遺した遺産のために…

 さて、マイクの父とは、そして残された遺産とは何なのでしょうか?

 ……と、言うのがあらすじ。

 インド人の父とイギリス人の母、と言う設定で、マイクが何者なのか、ピンと来た方もいると思います。そうです、「あの人」の息子なのです。

 この第1巻「忘れられた島」では、マイクが父の遺産が残された場所まで行き、遺産を受け取るまでが書かれています。

 ここ3年ほどのあいだにはじめて読んだ小説の中で、文句なしトップクラスに面白い冒険小説です。日本で出版されたのが2006年と、かなり昔の小説なので、入手困難ですが、ここまでの傑作を埋もれさせるのは惜しい。

 創元社は、このところ急ピッチで電子化をすすめている気配がするので、再版が難しくても、せめて電子化していただきたいです。

 「ノーチラス号の冒険」は、「海底二万里」を知らなくても、少年小説として充分面白いのですが、「海底二万里」を読んでからのほうが、より楽しめます。

 ジュール・ヴェルヌは、すぐれた博物学者だったので、海洋生物だけでなく、動植物、鉱物などの豊富な知識を駆使した表現が魅力なのですが、この小説では、そこまでマニアックな描写はありません。

 そのかわり、マイクと友人たち、ドイツ人のパウル、イギリス人のベンとクリス、フランス人のアンドレ、イタリア人のフアンなど、仲間たちとの友情が、描かれます。

 最初から最後まで、謎に満ちたノンストップの展開です。多国籍の仲間たちとの冒険は「二年間の休暇(十五少年漂流記)」の雰囲気もあり、ヴェルヌのファンが書いた、熱烈なリスペクト小説にも感じられます。

 シリーズは全部で12巻。引き続きご紹介しますよ。

 字は、難しい漢字のみ、振り仮名がふってあります。漢字に詳しければ、小学校高学年から。中学生以上ならだいたい大丈夫でしょう。原作の「海底二万里」が、いまは「中学生以上」の設定なので、「海底二万里」から読むとすると中学生以上向けでしょうか。

 もちろん、大人にもおすすめ。少年の心に戻りたくなったときは、読んでみてください。止まらなくなること請け合いです。

 現在は中古と図書館でしか楽しめませんが、名作との出会いは貴重です。ぜひ、重版、電子化していただきたいです。出版者様、おねがいします!(と、テレパシー)

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 非常に配慮されて書かれているヤングアダルト小説です。アクションシーンや危険な場面はありますが、残酷シーンや流血シーンはおどろくほどありません。

 また、キャラクターもそれぞれが個性的で癖のあるキャラクターもいますが、人間関係は健全、すがすがしい友情ものです。HSPやHSCの方でも、安心して楽しめる、健全な冒険小説です。

 読後は、熱い紅茶でティータイムを。

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「海底二万里」のレビューはこちら

「ノーチラス号の冒険」シリーズ

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