【魔女バジル】努力の魔女第4の試練。失われた水晶と闇の魔女【魔女バジルと闇の魔女】【小学校低学年以上】

2024年3月11日

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バジルは七魔が山に暮らす魔女です。彼女が人に授けられる力は三つ。「努力」「根気」「若いときの苦労」。そんなバジルのもとにクリスタル王国から招待状が届きます……

この本のイメージ 魔女☆☆☆☆☆ 冒険☆☆☆☆☆ 成長☆☆☆☆☆

魔女バジルと闇の魔女   茂市久美子/作 よしざわけいこ/絵 講談社

<茂市久美子> 岩手県生まれ。会社勤務をへて執筆活動に入り、「おちばおちばとんでいけ」で、ひろすけ童話賞受賞。ほかの作品に「ゆうすげ村の小さな旅館」「おいなり山のひみつ」「つるばら村シリーズ」など。

<よしざわけいこ>
東京都生まれ。多摩美術大学染色デザイン科卒業。テキスタイルデザインをへて、絵本・イラスト・童話を中心に活動中。1985年、KFSアートコンテスト特別賞受賞。2001年、初の絵本作品『ライオンは そよかぜの なかで』は、ブラティスラヴァ世界絵本原画展に出品。

 茂市久美子先生の魔女バジルシリーズ、第4巻です。
 ひとに「努力」の力を授ける魔女として、文字通り努力を続けてきたバジルですが、ようやくそれが多くの人に認められるようになりました。

 前回、「魔女バジルと黒い魔法」で、金の鷲王国の王妃様から息子のために「若いときの苦労」の魔法を望まれたバジルですが、今回はクリスタル王国の成人式に招かれます。新成人に「努力」「根気」「若いときの苦労」を送ってほしいと頼まれたのです。

 一応、ここで説明されていますが、クリスタル王国では成人年齢が18歳と言う設定。新成人を若いととるかどうかは意見が分かれるところですが、18歳は若い範囲に入ると思います。

 バジルの魔法は、「幸運」や「希望」「健康」などに比べると地味な能力で、いままで他人からぜひにと求められることはありませんでした。しかし、今回は、クリスタル王国の新成人全員が彼女の魔法を望んでくれたのです。

 バジルのいままでの地道な努力がみとめられて、彼女の成長を見守っていた読者として本当にうれしいできごとでした。

 ひとに「努力」と「根気」の力を送る魔法って、どんな魔法なのでしょう。もしそれが、「努力が楽しくて楽しくてとまらなくなる魔法」だったら、絶対かけてもらいたい!

 だって、人間、いちばん強いのは「努力が楽しい人」じゃありませんか?

 学校の成績だって、「勉強するのが楽しくて仕方がない」と言う人がいちばん成績がいいのです。辛さをこらえている人は、楽しんでいる人にはどうしても勝てないものです。

 普通の人が辛くて辛くてたまらないと思うことが、楽しくて楽しくてしょうがないなら、その人は無敵です。バジルの魔法は、強力になってゆけば、人を無敵にしてくれる魔法になるのかもしれません。

 物語の後半では、いままでの事件の裏に潜んでいた「闇の魔女」があらわれ、魔女たちと戦いになります。
また、人が嫌っている癖の強いハーブが、治療薬として大活躍したりと、この物語のテーマが表れ出てきます。

 つまり、人から嫌がられているものや、嫌われている人に、宝が隠されている、ということ。

 そう、短所は長所です。

 短気な人はフットワークが軽く行動的で、臆病な人は仕事が丁寧で慎重です。神経が太い人はデリカシーが無いけど勝負強い。悩みがちで傷つきやすい人は、感受性が高くてクリエイティブです。

 融通が効かない人は正義感が強いし、大雑把な人はいいかげんだけれど柔軟性があります。周囲を気にする人は協調性があるし、他人に合わせない人にはユニークな発想力があります。

 それぞれの要素はただの個性。現れ方で、良くも悪くもなるのです。

 バジルの持つ魔法の力は、最初は敬遠されていたけれど、彼女の地道な成長にしたがって、だんだん価値を認められるようになりました。そして、バジル自身も、コリアンダーやドクダミのような、癖の強い薬草の価値がわかるようになってきたのです。

 これは、バジルの成長物語でもあり、そして読んでいる子どもたちの価値観をひろげ、多様性を描く物語なのかもしれません。

 字は程よく大きく、難しい漢字は使われておらず、すべての漢字にふりがながふってあるので、ひらがなさえ読めればコツコツ読めます。ただ、固有名詞に「七魔が」がつくものが多いので、本を読みなれていないお子様は混乱しないようにメモをとりながら読むといいかもしれません。
 読書メモは読書をするさいにとても役に立ってくれるので、小さなお子様は読書ノートをつけるのもおすすめです。

 バジルの物語はまだ続きます。続きが楽しみです。そうそう、電子書籍もありますよ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 内向的な魔女の成長物語なので、HSPHSCにおすすめです。
 ネガティブな要素はあまりありませんが、固有名詞が少しややこしいので、巻末の地図を確認しながら読むのがおすすめ。

 読後は、おいしいハーブティーでリラックスタイムを。

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