【もしかしたら名探偵】とぼけた名探偵の謎解き物語。愛され続けるロングセラー【小学校低学年以上】

2024年3月16日

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もしかしたら名探偵 杉山亮/作 中川大輔/絵  偕成社

おれの名はミルキー杉山。たんていだ。いつもわくわくしていたいから、このしごとをやっている……30年前から愛されるロングセラーシリーズ開幕。ミルキー杉山と事件を解決しよう。

この本のイメージ 難事件☆☆☆☆☆ 解決編☆☆☆☆☆ 奥様も名探偵☆☆☆☆☆

もしかしたら名探偵 杉山亮/作 中川大輔/絵  偕成社

<杉山亮>
杉山亮(すぎやまあきら)。
1954年東京に生まれる。1976年より保父として、各地の保育園などに勤務。手づくりおもちゃ屋<なぞなぞ工房>を主宰。著書に「たからものくらべ」「子どものことは子どもにきく」「子どもにもらったゆかいな時間」「もしかしたら名探偵」など。

<中川大輔>
1970年神奈川県に生まれる。児童文学美術家連盟会員。おもなさし絵の仕事に、「BOOK術・子どもの本がいちばん」「魔女のよせなべ」「はらぺこ伊助と大どろぼう」「もしかしたら名探偵」など。

 児童文学に興味をもって、ブログをはじめてそろそろ一年半。ブログをやってなきゃ出会えなかったような新しい発見があるのが楽しいのです。
 これは、児童文学界(小学校低学年向け)のロングセラーシリーズ。

 1990年代というのは、日本がとても景気が良かったころなので、多くの名作が生まれ、そしてロングセラーとして残っているようです。あの頃の本屋さんは華やかでした。音楽も、当時はCDで聴く時代で、CDショップ(CD時代になっても「レコード屋さん」と呼ばれていました)も大盛況で、人は大いに音楽を聴き、本を読む時代でした。

 わたしは、CDより読書派でしたが、人生には音楽も本も絶対必要です。

 今回ご紹介するのは、杉山亮先生の「もしかしたら名探偵」。探偵ミルキー杉山の「名探偵」シリーズの記念すべき第一巻です。

 小学校低学年向けのやさしい文章で書かれた本なのですが、とはいえ、なかなかの本格派。エラリー・クイーンばりに「事件編」と「解決編」に別れ、子どもが謎解きを楽しめるつくりになっています。これが、挿絵と物語がうまく合わさっていて、楽しい。

 また、一度全部読んでしまっても、お話自体が面白いので、何度も読み返すことが出来ます。

 小さい子供向けのお話って、「わかったさん」のシリーズもそうですが、「なんでそうなるの」と言う展開が容赦なく入ってきますよね。

 この物語も、「ミルキー杉山」と言う名探偵が主人公なのですが、なんで彼の名前が「ミルキー」なのか、さっぱりわかりません。本名なのかあだ名なのかもわからない。

 また、困ったときに知恵を借りにゆく妻のたつ子さん。
 どうやら保育士をしているらしいんですが、「わけあって わかれてくらしている」とだけの説明で、くわしい説明は無し。
 ときどき家の様子を見に来てごちそうをつくってくれたりしているので、どうも仲はいいらしいのです。謎です。

 今回のお話は、名画盗難の事件と、行方不明の本の事件、そして宝石泥棒の事件の三本です。
 とくに、宝石泥棒の事件は、オリジナルの暗号を使った物語なので、読み終わったあとは、この暗号で手紙を書いてみたり、自分で暗号を作ってみたりして楽しめそうです。

 謎解きを楽しむ知育の効果だけでなく、キャラクターとお話そのものも面白いので、さすがのロングセラーと言う感じ。

 ミルキー杉山の子どもは女の子と男の子がいて、女の子はともこちゃん。男の子はたかしくんというらしい(ただし一巻では男の子の名前は出てこない)

 こういうふうに、「この男の子の名前はなんだろう」とか、「どうして奥さんは別れて暮らしているのだろう」とか、謎が残っているのがミソなんでしょうね。

 わくわくしながらページをめくり、楽しんで読むことができ、読み終わっても、第三話の宝石泥棒の暗号で長く楽しめます。

 絵本を卒業したばかりのお子さまに、親子で読み聞かせで楽しむのにぴったり。事件編を何度も読みながら、うんうん考えていると、ミルキー杉山より先に解決できるかも。
 自分が名探偵になった気分も味わえる、読者参加型の子供向けストーリーです。

 子どもの学力向上に最も効果的な方法は読書。 推理小説やSFは、子どもに論理的に考える力をつけ、ファンタジーは子どもの想像力を育むそうです。

 「もしかしたら名探偵」は知育の要素と、わくわくしたお話の両方を楽しめる、一粒で二度おいしい(古いよ)児童書です。

 ほとんどがひらがなで書かれており、とても読みやすいので小学校低学年から。かしこい子なら幼稚園から大丈夫。親子で読み聞かせしても楽しい。ミルキー杉山の一人称なので、どうぞお父さんが読んであげて下さい。

 読後は、親子で暗号の手紙を送りあっても楽しいかもしれませんね。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はいっさいありません。明るく、ゆかいな、コメディタッチの探偵物語です。事件編をじっくり読めば、犯人がわかるようになっており、文章や挿絵を楽しみながら謎解きも楽しめるようになっています。

 ミルキー杉山の設定も謎めいており、今後のシリーズで明かされるのかも? そういうところも、子どもの好奇心を刺激しています。

 読後は、中にいろんなものが入ったパンが食べたくなるかもしれません。あんパン? クリームパン? おそうざいパン? 物語に出てくる「びっくりパン」を作っても楽しそうですね。

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