【魔女バジル】努力の魔女第5の冒険。失われた水晶と闇の魔女【魔女バジルと魔法の剣】【小学校低学年以上】

2021年6月1日

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魔女バジルと魔法の剣   茂市久美子/作 よしざわけいこ/絵 講談社

バジルは七魔が山に暮らす魔女。「努力」「根気」「若いときの苦労」の三つの力をひとにおくることができます。あるとき、バジルは、未来を見る魔女ペッパーの予言の詩のなかから、気になる詩をみつけます。

この本のイメージ 魔女☆☆☆☆☆ 冒険☆☆☆☆☆ 成長☆☆☆☆☆

魔女バジルと魔法の剣   茂市久美子/作 よしざわけいこ/絵 講談社

<茂市久美子> 
岩手県生まれ。会社勤務をへて執筆活動に入り、「おちばおちばとんでいけ」で、ひろすけ童話賞受賞。ほかの作品に「ゆうすげ村の小さな旅館」

<よしざわけいこ>
東京都生まれ。多摩美術大学染色デザイン科卒業。テキスタイルデザインをへて、絵本・イラスト・童話を中心に活動中。1985年、KFSアートコンテスト特別賞受賞。2001年、初の絵本作品『ライオンは そよかぜの なかで』は、ブラティスラヴァ世界絵本原画展に出品。

魔女バジルと魔法の剣   茂市久美子/作 よしざわけいこ/絵 講談社

 「努力」の魔女、バジルシリーズ第5巻です。
 この本がでてから、しばらく続編が出ていません。完結しているのかと思ったら、そうではないようです。

 お話は……

 ある日、バジルは予言の魔女ペッパーの残した詩から、七月に遠い国から自分に迎えが来るかもしれないと知ります。やがて、ヒソップと言う少年が、遠い遠いリブラの国から天馬に乗ってやってきます。その国は、王様と、女神アストレイアの巫女がおさめる平和な国でしたが、ある日、アレスという男が王様の家臣になってから、おかしくなってしまったというのです。

 バジルは、予言の言葉に従い、隠されていたアストレイアの剣を探し出し、アストレイアの巫女のもとへとどけに、ほうきに乗ってリブラへ向かいました。

 リブラの王を惑わせていたアレスという男は、じつは、魔女たちと何度も戦ったあの男だったのです……

 と、いうのがあらすじ。

 今回の悪役と、前回の悪役、闇の魔女エリスと意外なつながりがあったとわかります。こんなところでつながっていたのですね。これは、ゆくゆくは続編があって、最終決戦があるのかと思われますが……

 今回も、バジルはひとりで遠い国まで冒険し、知らない人に協力してもらい、見習い魔女の頃には太刀打ちできなかった強敵とも渡り合います。いにしえの魔女、タイムとペッパーの想いや、セイボリーとマジョラムの想いを受け継いでバジルが着実に成長しているのを見るのはうれしい。

 わたしはこの「若いときの苦労」と言う魔法は、個人的には、「若者に苦労をさせる魔法」ではないと思っています。

 人に苦労を与える魔法と言うより、若いときの苦労が生きてくる魔法、だと解釈しているのです。(個人の解釈ですが)

 人間、生きていればたいへんなことはあります。いっさいの苦労無しで生きることは、そのほうが難しいので、どんな状況の人にも辛いことや悲しいことがあるはず。でも、難しいのはそれを「生かす」ことです。

 わたし自身、できているかどうかはわかりませんが、成長している人、成功している人はみんな、過去の苦労を「あの苦労があるから今の自分がある」と肯定しています。
 なかなかできることではないけれど、苦しみさえ肯定することができたからこそ、その先へその先へとすすんでゆけたのでしょう。

 バジルの「若いときの苦労」と言う魔法は、そういうものだと思っています。

 苦しみや哀しみを肯定するのは難しいことです。できないほうが自然です。だから、それができない人をむやみに否定したくはありません。
 それよりも、苦しみ哀しみを肯定して、受け入れ、乗り越えてゆけるように後押しする力なら、それは誰もがほしいものでしょう。

 そして、それはまさに、「魔法」だと言えます。

 今回、バジルは「剣」を得ました。剣とは武器です。
 おっとりした、見習い魔女だったバジルが、白い魔法である「努力」と「根気」の力を得て、そして、次は黒い魔法である「若いときの苦労」の力を得て、そして武器であるアストレイアの剣を得ました。

 人を支える白い魔法、人を強くする黒い魔法の両方を得たバジルは、次に「剣」を得ます。おっとりした見習い魔女だったバジルが、清濁併せ呑みつつ成長してゆきます。

 これから、彼女にどんな冒険が待っているのでしょうか。

 物語はこれで終わっているようにも見えるし、続きの冒険を期待させる終わり方でもあります。敵はまだ消えてはいないようなので、バジルの新しい冒険も予定されているのではないでしょうか。続きを楽しみに待ちたいと思います。

 字は大きく、読みやすく、簡単な漢字以外には振り仮名がふってあるので、小学校低学年から。
 キャラクターの名前が全部、ハーブやスパイスの名前なので、「これはどんなハーブかな」と、書き出して調べながら読むと楽しいんじゃないかと思います。お料理のときにも話がはずみそうです。

 バジルは、いろんな料理に使えて、とても親しみのあるハーブです。親友のコリアンダーは、葉も種もおいしくて、わたしは大好きです。これからは、バジルを育てるのにいい季節ですから、おうちで育ててみるのも楽しいかもしれません。

 楽しく読めて、ハーブへの興味も広がるファンタジーです。
 女の子にも男の子にもおすすめです。電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 内向的な魔女の成長物語なので、HSPHSCにおすすめです。
 ネガティブな要素はあまりありませんが、固有名詞が少しややこしいので、名前を書き出したり、巻末の地図を確認したりして読むのがおすすめ。キャラクターの名前がハーブの名前なので、あとでインターネットで調べてみましょう。

 読後は、おいしいハーブティーでリラックスタイムを。

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