【サーティーナイン・クルーズ】39のてがかりを集め世界中を旅するアドベンチャー。第6巻はオーストラリア【遠い記憶】【小学校中学年以上】

2021年9月3日

広告

サーティーナイン・クルーズ6 遠い記憶  ジュード・ワトソン/著 小浜杳/訳 HACCAN/イラスト メディアファクトリー KADAKAWA

エイミーとダンは、ロシアで手に入れた手がかりをもとに、シドニーに来ていた。そこで出会ったおばさんに、エイミーはグレースのペンダントを盗まれてしまう。父のはとこのシェプおじさんと合流したエイミーたちは、両親の遺品から手がかりへのヒントを知るが…… 歴史を裏で動かす「ケイヒル」一族の謎をめぐり、世界を旅するアドベンチャー第6巻。

この本のイメージ  新たなる敵☆☆☆☆☆ 蘇る記憶☆☆☆☆☆ 歴史ミステリー☆☆☆

サーティーナイン・クルーズ6 遠い記憶  ジュード・ワトソン/著 小浜杳/訳 HACCAN/イラスト メディアファクトリー KADAKAWA

<ジュード・ワトソン>
スター・ウォーズのジュニア小説シリーズで名高い人気作家。2008年には、本名のジュディ・ブランデル名で書いた小説『ホワット・アイ・ソウ・アンド・ハウ・アイ・ライド』で、ナショナル・ブック・アワードの児童文学賞を受賞している。アメリカ・ニューヨークで、夫と娘とともに暮らす。

<小浜杳>
1973年横浜市生まれ。東京大学英語英米文学科卒。書籍の翻訳以外に、映画字幕翻訳も手がける。訳書に「ゴール」「ゴール!2」(イーストプレス)「ジョージとの日々」(ダイヤモンド社)ほか。

サーティーナイン・クルーズ6 遠い記憶  ジュード・ワトソン/著 小浜杳/訳 HACCAN/イラスト メディアファクトリー KADAKAWA

 アメリカからやってきた、ヤングアダルトアドベンチャー小説、「サーティーナイン・クルーズ」シリーズの第6巻。原書タイトルはThe 39 Clues  : In Too Deep.初版は2009年。日本語版初版は2010年です。

 この物語は、全体構成と第1巻を「パーシー・ジャクソンシリーズ」のリック・リオーダンが作り、それぞれの巻は別々の作家が担当するという集団創作方式。アメリカのテレビドラマみたいですね。

 アメリカの長期連続テレビドラマは「ショーランナー」と言う作家が、全体構成や世界観、キャラクターの基本設定を決め、その人が創った世界観やあらすじをもとにして、多数のシナリオライターが分業する方式をとっています。これによって、全体の世界観やテイストの統一をはかります。

 小説では、この「サーティーナイン・クルーズ」のほかにも、アメリカで90年以上愛されている少女探偵「ナンシー・ドルーミステリ」や、ドイツのSF「宇宙英雄ローダンシリーズ」、日本では「グイン・サーガ」シリーズが作者の死後この方式で継続中です。

 さて、今回のストーリーは……

 歴史の影で、人類を進化、発展させてきた特別な一族、「ケイヒル」。ケイヒルは、ルシアン、トマス、エカテリーナ、ジェイナスの四つの分家に分かれています。歴史上の偉人のほとんどは、この「ケイヒル」一族なのです。

 グレース・ケイヒルの遺言により、一族の中の怖いもの知らずたちは、36の手がかりを探すレースに参加して世界中を旅しています。そのなかには、孤児のエイミーとダンもいました。
 ライバルたちは、湯水のように資金を使える大金持ちばかり。お金も無く、協力者は世話係のネリーしかいないエイミーとダンは、圧倒的不利な状況からレースの勝利を目指します。

 ロシアで出会ったミステリアスな女性ナタリアの協力で、両親のことを少しずつ知るエイミーたち。ふたりは、両親の持っていたオーストラリアの偽造パスポートの秘密を追って、オーストラリアに来ていました。

 父のはとこのシェパード・トレントのもとに身を寄せ、両親の秘密にせまるふたり。
 そこへ、カブラ兄妹の母親イザベルがレースに参戦。イリーナ・スパスキーは、エイミーにイザベルとの接触を避けるよう、再三忠告する。

 誰が敵で、誰が味方なのか……?

 やがて、エイミーは両親が死んだ「あの夜」のことを思い出して……

 ……と、いうのが今回のあらすじ。

 繊細でしっかりもののエイミーは、少し臆病だけれど観察力や洞察力にすぐれ、やんちゃなダンは運動神経抜群な上に驚異的な瞬間記憶力がある天才です。このふたりが、支えあいながら、旅をします。

 今回登場する歴史ミステリーは「マーク・トウェイン」と「アメリア・エアハート」。オーストラリアでおきたマーク・トウェイン襲撃事件の謎と、行方不明になった女性飛行士アメリア・エアハートの消息の謎を「サーティナイン・クルーズ」流に料理します。

 ジェットコースターのような冒険物語の中に、歴史ミステリーがちりばめられており、子どもたちが歴史への興味をもつように作られているので、読後はマーク・トウェインやアメリア・エアハートについてインターネットで調べる横展開が楽しそうです。

 そして、この巻で、悪女イザベルが登場。
 ついに、本格的な敵が現れたという感じです。

 いままでのレースのライバルは、それぞれちょっと間抜けたところのある大金持ちばかり。意地の悪いカブラ兄妹はともかくとして、ホルト一家はわりと気のいい脳筋ファミリーですし、ジョナはただのナルシスト、アリステアは強欲ですが親切なところもあります。

 しかし、イザベルは残酷で容赦がない。4巻で登場したアリステアの叔父ペイ・オウも残酷でしたが、親世代のほうが恐ろしいですね。

 グレースが最初にレースのメンバーからはずしていたのには、理由がありそうです。グレースが死んだ後に、レース参戦を宣言するあたり……イザベルは油断がならない相手のよう。

 最も恐ろしい敵だと思われていたイリーナが、今回はエイミーたちに有益なヒントを与えてくれます。そして、それがきっかけで、だんだんと昔のことを思い出すエイミー。そこには、忘れてしまいたいような辛い記憶がありました……

 あらたな敵が登場することで、物語はターニングポイントを迎えます。そして、メインキャラの中ではじめて死者が。
 これからは、いままでよりずっとハードな展開になりそう。

 また、頼りになる世話係(オペア)、ネリー姐さんに何か秘密がありそうなことがわかってきました。ネリーはいったい、何者なのでしょうか。

 オーストラリアからインドネシアへとわたり、ふたりは、このレースの目的を新たに見つけます。最初はグレースの期待にこたえるための冒険でした。しかし、これからは、両親の死の真相を探る旅になります。負けられない戦いになりました。

 ジェットコースターのようなめまぐるしい展開で、映像的です。文章は平易で読みやすく、難しい漢字には振り仮名が振ってありますので、小学校中学年からお楽しみいただけます。巻末に「エイミーのリサーチノート」として、マーク・トウェインやアメリア・エアハート、そして、オーストラリアやジャカルタの地理についてのメモが入っていて、歴史や地理への興味をかきたてます。

 冒険好きなら、男の子にも女の子にも。長いシリーズなので、当分楽しめます。
 次は、南アフリカです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 今回は、わりと残酷なシーンがあります。人も死にます。これから、だんだんハードモードになる予感です。「そういうシーンがあるのだな」と身構えて読めば大丈夫な方なら、おすすめです。ジェットコースター展開の、アドベンチャー&アクション小説です。
 ネリーが食べている、オーストラリアのお菓子、ラミントンがおいしそう。
 読後は、ラミントンでティータイムを。

お気に入り登録をしてくださればうれしいです。また遊びに来てくださいね。
応援してくださると励みになります。

にほんブログ村 本ブログへ

広告