【天と地の方程式】黄泉の世界と戦う神の使者。古事記を題材にした和ファンタジー第1巻【小学校高学年以上】

2024年3月16日

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天と地の方程式 1    富安陽子/作  五十嵐大介/画  講談社

アレイこと田代有礼は、しゃべる猿に「くるすの丘へ来い」と言われる不思議な夢を見た。その後、突然、家の都合で来栖の丘学園というニュータウンの小中学校に転校がきまる。そこで知り合ったQとともに、異空間に閉じ込められたアレイは、自分たちがここに呼ばれたことを知るのだった……

この本のイメージ 異能者もの☆☆☆☆☆ 古事記☆☆☆☆☆ 物語のはじまり☆☆☆☆☆

天と地の方程式 1 (あめとつちのほうていしき)    富安陽子/作  五十嵐大介/画  講談社

<富安陽子>
富安 陽子(とみやす ようこ、1959年2月15日~)は、日本の児童文学作家。東京都生まれ。和光大学人文学部卒業。25歳でデビューし、1989年「クヌギ林のザワザワ荘」で日本児童文学者協会新人賞、小学館文学賞、1997年「小さなスズナ姫」シリーズで新美南吉児童文学賞、2000年「空へつづく神話」でサンケイ児童出版文化賞を受賞。「やまんば山のモッコたち」はIBBYオナーリスト2002文学作品に選出。2011年、「盆まねき」で第49回野間児童文芸賞、第59回産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞。2021年、「さくらの谷」で第52回講談社絵本賞を受賞。(wikipediaより)

<五十嵐大介>
五十嵐 大介(いがらし だいすけ、1969年4月2日~)は、日本の漫画家。埼玉県熊谷市出身。神奈川県鎌倉市在住。多摩美術大学美術学部絵画学科卒業。
1993年に『月刊アフタヌーン』にてデビュー。高い画力と繊細な描写で自然世界を描く。2004年、『魔女』により文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を、2009年、『海獣の子供』により第38回日本漫画家協会賞優秀賞、第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。

 古事記をベースにした、異能者ファンタジー第1巻です。初版は2015年。
 「シノダ!」シリーズの富安陽子先生のお話ですが、こちらはかなり本格的なオカルトファンタジー。しかも、この巻では完結していなくて、完全に「引き」がついた状態で終わっています。連載ものの第一回と言う感じ。

 ストーリーは……

 アレイこと田代有礼は、歩く歩数を無意識に数えていたり、使う食器や食べるもののルーティンがきっちり決まっていたりする、変わり者。じつは、見たものはすべて瞬間記憶できる卓越した記憶力があったのです。
 ある日、アレイは、人語をしゃべる猿から「くるすの丘へ来い」と誘われる奇妙な夢を見ます。

 突然、親の都合で来栖台ニュータウンに引越しすることになったアレイ。そして、入学した小中一貫校「来栖の丘学園」で、数学の天才でほかはちゃらんぽらんなQこと厩舎修と出会うのでした。。

 ふたりは突然、異空間に閉じ込められ、ともに脱出した後、しゃべる猿から驚きの真相を告げられます。

 来栖台ニュータウン開拓のために、切り崩された封印が解かれ、黄泉ツ国への扉が開かれようとしている。
 彼らは、神から選ばれた「カンナギ」(巫)。黄泉ツ国の侵攻とともに生まれる「カクレド」と言う異空間を封じ込めるために、天つ神から選ばれた七つの「柱」のうちの二人だったのでした。「柱」は、猿とアレイとQ、そして残り4人。

 残りの柱を集めて、日々生まれ育つ「カクレド」を破壊しなければなりません。

 はたして、彼らは黄泉ツ国の侵攻を止められるのでしょうか。

 ……と、言うのがあらすじ。

 右足から左足からと、出す足を決めていたり、歩数を数えていたりと、アレイ君、陰陽師みたいだな、と思っていたら古事記ファンタジーでした。アレイは、稗田阿礼にちなんで、自分で決めた愛称という設定。(本名はありのり)

 Qこと厩舎君は、数学の天才で数字大好きっ子なのですが、数学以外はちゃらんぽらんという、かなりぶっとんだ子です。

 この巻で残り4人の「柱」のうち、二人が登場します。一人は、怪力の大石ハルコちゃん。見た目は小さくてかわいい女の子ですが、自動車も持ち上げられるほどの力持ちです。もうひとりは音楽の天才少女、岡倉ヒカル。

 この柱、それぞれ対応する天ツ神がいそうです。

 黄泉ツ国の侵攻は、白い霧の形をとって現れ、「カクレド」と言う異空間をつくり、そこで黄泉の兵士や生き物を生み出して増殖させます。その異空間を破壊する役目として、天ツ神たちが集めた「カンナギ」が、アレイたちだったのでした。

 アレイたちの異能は、天ツ神が与えたものだったのです。

 設定とキャラクターの面白さで、ぐいぐい読ませます。それぞれのキャラクターの個性が強く、ぶっとんでいるので、最初に登場したアレイ君がもともと変人なのにもかかわらず、まともに見えてくる不思議。残りのふたりも楽しみです。

 スピード感がある文章で、息もつかせぬ展開なので、すいすい読めます。
 ただ、完全な続き物なので、この巻では終わっていません。三部作らしいので、完結が楽しみです。

 難しい字にしか振り仮名がふられておらず、主人公が中学生なので、中学生から。けれども、かしこい子なら小学校高学年から読めると思います。Qの言葉が理解できるのは中学生からでしょう。

 古事記がモチーフなので、読み終わったら古事記を読んでみるのも楽しいと思います。日本神話は、ユニークなキャラクターの神様ばかりなので、古事記を読んだことのないお子様には、ぜひ、読んでいただきたい。

 男の子も女の子も楽しめる、オカルトアクションファンタジーです。
 異能者ものがお好きなら、ぜひどうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ちょっぴり怖いお話ですが、残酷シーンなどはありません。蜘蛛がたくさん出てくるシーンがあるので、苦手な方はご注意。
 純粋に楽しめる、オカルトアクションファンタジーです。
 読後は、古事記を調べてみてくださいね。意外な発見があるかも。

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