【ムーミン】ムーミン谷の仲間たちの日常を描いた短編集。シリーズ六作目【ムーミン谷の仲間たち】【小学校中学年以上】

2024年3月17日

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ムーミン谷の仲間たち トーベ・ヤンソン/作 山室静/訳 講談社

小さなはい虫と交流するスナフキン、遊園地みたいな庭を造ってしまったヘムレンさん、嫌なことばかりいわれて姿が消えてしまったニンニ……、ムーミン谷の仲間たちの素敵な日常

この本のイメージ 短編集☆☆☆☆☆ 哲学☆☆☆☆☆ 癒し☆☆☆☆☆

ムーミン谷の仲間たち トーベ・ヤンソン/作 山室静/訳 講談社

<トーベ・ヤンソン>
(Tove Marika Jansson 女性、1914年8月9日 ~2001年6月27日)は、フィンランドのヘルシンキに生まれたスウェーデン語系フィンランド人の画家、小説家、ファンタジー作家、児童文学作家。代表作は「ムーミンシリーズ」

 講談社のムーミン全集六冊目、「ムーミン谷の仲間たち」です。

 この本は、短編集で、

 ・春のしらべ
 ・ぞっとする話
 ・この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ
 ・世界でいちばん最後の竜
 ・静かなのが好きなヘムレンさん
 ・目に見えない子
 ・ニョロニョロのひみつ
 ・スニフとセドリックのこと
 ・もみの木

 の9本です。

 印象に残ったお話は、姿の見えない子、ニンニのお話。
 育ての親のおばさんがずっとニンニに冷たい皮肉を言い続けたために、ニンニは姿が消えてしまったのでした。

 人を恐れて姿まで消えてしまったニンニですが、ムーミン一家にあたたかく迎えられて、だんだんと姿が見えるようになってきます。

 さいごは、自分にやさしくしてくれたムーミンママを守るために強くなり、立ち上がるのでした。

 この「ムーミン一家に受け入れられて心が癒されるニンニ」→「心の傷を回復したニンニが自分以外の人のために強さを出す」の物語の流れがすばらしく、癒しの力に満ちています。

 「楽しいムーミン一家」の飛行おにのエピソードでも、「願い事は自分のためではなく、他人のための願い事のほうがかなう」と言うことを描いていますが、力って、自分のためではなく他人のためのほうが出るものです。

 やさしいニンニは、自分がおばさんにいじめられているときは、おばさんと戦うこともなく、ただ泣きながら消えていったのですが、ムーミンママのためには戦えたし、強くなれたのです。

 静かなのが好きなヘムレンさんも、自分は美しい静かな庭で、ひとりで過ごすのが大好きなのに、閉鎖された遊園地の部品が次々と運び込まれると、遊園地が大好きな子どもたちのために、遊具を使って楽しい庭を造ります。自分はハンモックでゆっくり寝るのが楽しいだけなのにね。でも、なんだかんだと、ゆかいで楽しくなった庭で、満足して眠るのでした。

 誰かと一緒なら、そして誰かのためなら、とても力が出る。

 もちろんそれだけでなく、スナフキンみたいに、一人で旅立つことも重要。ムーミンの物語には、そのどちらもが丁寧に描かれています。

 さいごの「もみの木」は、このエピソードだけ独立して、クリスマスの絵本にもなっています。絵本のお話のほうがかわいくて、ほのぼのとしていますが、だいたいの流れは同じ。

 ふだんは冬眠しているので、クリスマスをまったく知らないムーミン一家がクリスマスを「こわいもの」として恐れているのがかわいい。

 文章は平易で、難しい漢字には振り仮名が振ってありますので、小学校中学年から。
大人の和み読書にもおすすめです。

 短編なので、電車の中やカフェなどで少しずつ読んでも。忙しい日常、ムーミンで癒されましょう。

※ムーミン全集は電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 おすすめです。ニンニのお話など、しみじみと感じるものもあるし、スナフキンとはい虫のように、哲学的なお話もあります。
 考えさせるエピソードが多いので、HSPやHSCのほうが、多くのことを受け取れると思います。
 読後は、パンケーキとハーブティでティータイムを。

 

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