【まよなかの魔女の秘密】日本のムーミン谷? こそあどの森のほのぼのストーリー【こそあどの森の物語】【小学校中学年以上】
ある日、ポットさんが行方不明になりました。愛妻のトマトさんは心配して夜も眠れず、森のみんなの大捜索が始まりました。そんなとき、スキッパーは森でジバシリフクロウを拾い、自分の家「ウニマル」に連れて帰りますが……
この本のイメージ 大捜索☆☆☆☆☆ 魔女☆☆☆☆☆ 夫婦愛☆☆☆☆☆
まよなかの魔女の秘密 こそあどの森の物語 2 岡田淳/作 理論社
<岡田淳>
日本の児童文学作家。著書『雨やどりはすべり台の下で』で産経児童出版文化賞を、『こそあどの森の物語』で野間児童文芸賞を受賞し国際アンデルセン賞の国際児童図書評議会(IBBY) オナーリストに選ばれた。翻訳家、挿絵・イラスト作家、エッセイストでもある。
「日本のムーミン谷」と呼ばれる「こそあどの森」のシリーズ第2巻です。初版は1997年。
今回のお話は……
こそあどの森のラブラブ夫婦、ポットさんとトマトさん。ところが、ポットさんはある日、トワイエさんとの飲み会のあと、行方不明になってしまいました。
心配で夜も眠れないトマトさん。
森のみんなの大捜索が始まります。
そんとき、スキッパーは、森でジバシリフクロウを拾います。あんまりかわいいので、ホースケと名前をつけて家で飼うことにしたスキッパー。ところが、このフクロウ、人間の言葉がわかるようなのです。
スキッパーと一緒にポットさんを探すふたごのシナモンとミルクは(以前はアップルとレモンと名乗っていた)、フクロウと交流するうちに、とんでもないことに気づきます……
と、言うあらすじ。
ふしぎな実の事件で、森のみんなと打ち解けたスキッパーは、今回は森のみんなと協力して行方不明のポットさんを探します。
今回のお話は、ちょっとオカルト風味。
でも、スキッパーとシナモン、ミルクは、このたいへんな事件を解決します。
でも最後に解決するのは、愛の力。ポットさんとトマトさんの愛の力は、どちらも深かった。それが、事件を解決する力となるのでした。
冒頭からは想像もつかない展開なので、どきどきわくわくします。
途中は、「いったいどう解決するんだろう」と不安になりますが、そこは「こそあどの森」。ちゃんと、ほんわかなハッピーエンドなのです。
ポットさんとトマトさんのおうち、「湯沸しの家」はやかんを横倒しにして注ぎ口を煙突にしたような形をしています。
これは「コロボックル物語」の4巻「ふしぎな目をした男の子」のツムジイの家のオマージュ。ツムジイの家は土瓶が半分土に埋まっていますが、「湯沸しの家」は地下に埋まっている部分の地下室もあります。
この形の家、ほんとうにかわいい。その昔、清里に、縦に置いた巨大なティーポットの形をしたカフェがあったのですが、ポットを横倒しにしてもかわいいですね。
注ぎ口のところは煙突になるのですが、ここからあたたかい湯気のような煙が出るのがまた、味があるのです。
本がぎっしり詰まったスキッパーの「ウニマル」も素敵な家です。この本ではイラストも岡田先生が描かれており、それぞれの住人の個性的な家の絵が詳細に、そしてユーモラスに描かれています。
どの家も、わくわくするデザインで、ほんとうにあったら、絶対、中に入ってみたいし、ポットさんの家やトワイエさんの家、「ウニマル」などは住んでみたいとも思ってしまいます。
字は大きく読みやすく、すべての漢字には振り仮名がふってあるので、かしこい子なら小学校低学年から読めます。ただし、物語の構成はすこし複雑で、かなり読み応えがあり、通常は小学校中学年以上が対象でしょう。
柏葉幸子先生の「モンスター・ホテル」シリーズよりは複雑な話なので、短いお話を卒業して、そろそろ長めの小説に挑戦する頃に。(絵本→モンスター・ホテル→こそあどの森 といった感じ)
大人のなごみ本としてもおすすめ。良質のメルヘンファンタジーです。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。ほのぼのとしたハートフルストーリーです。ちょっぴり哲学的な要素もあり、HSCのお子様には深く考える要素もある、あたたかい物語です。
大人のなごみ本としてもおすすめで、週末のリフレッシュタイムに楽しめるほのぼのファンタジーです。
読後は、好きなものをのせたクラッカーと、ココアでティータイムを。
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