【パディントンフランスへ】フランスへバカンスに出かけたブラウン一家。とぼけたクマとのコメディ。シリーズ四冊目【くまのパディントンシリーズ】【小学校中学年以上】

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パディントンフランスへ  マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  松岡 享子/訳  福音館

ブラウンさんは、夏休みに海外旅行に行こうと言い出しました。はじめての旅行にパディントンは大張り切り。でも、事態をよくわかっていないパディントンは、ここでも騒動を連発し……。それでも最後はなんとかなってしまう、とぼけたクマとのはちやめちゃコメディー。

パディントンフランスへ  マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  松岡 享子/訳  福音館

<マイケル・ボンド>
Michael Bond(1926年1月13日~2017年6月27日)。イギリス・バークシャー州、ニューベリー出身の小説家。代表作は児童文学『くまのパディントン』シリーズ。

<ペギー・フォートナム>
1919年、イギリスで生まれた。ロンドンの美術工芸セントラルに在学中、ハンガリーの出版社の依頼でエリナー・ファージョンなど子どもの本にさし絵を描いたものが好評で、引き続きさし絵やポスターの仕事をする。

<松岡 享子>
1935年、神戸で生まれた。大学卒業後、ウェスタンミシガン大学大学院で児童図書館学を学び、ボルチモア市の公共図書館に勤めた。帰国後、東京子ども図書館を設立し、子どもと関わる幅広い分野で活動をする。1974年、石井桃子氏らと、財団法人東京子ども図書館を設立し、同館理事長を務める。

パディントンフランスへ  マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  松岡 享子/訳  福音館
これは単行本版

 クマのパディントン四冊目。原題はPaddington Abroad. 原書初版は1961年。日本語版初版は1970年です。

 くまのパディントンシリーズのお話には、黄金のパターンがあります。

 1 何か新しい事件が起きる。(事件を持ち込むのは、ブラウンさんだったり、グルーパーさんだったりして、たいてい善意)
 2 パディントンが独特の勘違いや思い込みで大事件を起こす。
 3 周囲の人を巻き込んだ大騒動になる。
 4 どういうわけか、ひょうたんから駒のように大失敗がかえっていい結果になる。
 5 パディントンがみんなに感謝される。

 こんな感じです。

 今回は、ブラウンさんが突然、夏休みに海外旅行に行こうと言い出し、ブラウン一家はフランスでバカンスを過ごすことになりました。

 パディントンにとってははじめてのフランスです。 
 しかも、ブラウンさんに旅行日程係に任命されてしまったので、大張り切り。でも、海外旅行のこともフランスのことよくわかっていないパディントンは、準備段階から騒動の連発です。

 そして、フランスについてからも、騒動を巻き起こしながら突き進むパディントンですが、不思議とどこでも愛されるのでした……

 と、言うのが今回のあらすじ。

 これ以上詳しく書いてしまうと面白くないので、あとは読んでみてのお楽しみです。

 最初、映画を見たとき、まだ原作を読んでいなかったので、「これは映画用に盛りすぎくらいの演出で作ったんだろう」と思っていましたが、違いました。

 映画のあの破壊的な演出は、原作のノリをほぼほぼ再現しています。あのメチャクチャさは、スクリーン用のデフォルメじゃなくて、原作愛だったのです! もう、びっくり。

パディントンフランスへ  マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  松岡 享子/訳  福音館
こちらは文庫版。
絵を見てピンときた方も
いると思いますが、
これはツール・ド・フランス。

 今回のお話もいい感じにはちゃめちゃです。
 出発前から騒動を引き起こし、無事にフランスにたどりつけるのか危ぶまれますが、なんとかブラウン一行はフランスに到着します。今回の旅行はバードさんも一緒。

 パディントンは、基本的に性格が幼児なので、失敗の種類が幼児と同じ。
 勘違いや思い込みの種類も、小さな子どものようなので、どうしても憎めません。しかも、本人はいたって真面目ですし、愛情と善意にあふれています。

 だから、なんとも憎めなくて、愛すべきクマなのです。

 実際には、クマが人間の町に来たらそれだけで怖いし、もしもパディントンが人間だったらただの迷惑な人だし、こんなメチャクチャが現実世界でゆるされることはないんでしょうけども、パディントンの大失敗や大騒動を読んでいると、現実の小さなことでクヨクヨしているのが、だんだんばからしくなってきます。

 他人の失敗も自分の失敗も、不思議と、「まあいいじゃないか」みたいな気持ちになってくるのですよ……

 パディントンはいつも、大勘違い、大失敗、大破壊を引き起こすのですが、このシリーズの本質は、パディントンの失敗を面白がるお話ではありません。

 「くまのパディントンシリーズ」は、パディントンが次々と騒動を引き起こすことでおきる、周囲のドタバタの面白さ、そして、最後に万事ハッピーエンドで終わる爽快さを楽しむ物語なのです。

 だから、基本的に悪者はほとんど出てこないし、登場人物はほぼ全員、パディントンのおかげで幸せになります。
 一見迷惑をかけているだけのように見えるのに、出会う人すべてを幸せにしてしまう、不思議なクマ。それがパディントン。

 フランスに行っても、パディントンの魔法は健在。言葉の通じない土地に行っても、友達を作り、愛され、滞在した村中の人を幸せにします。

 人とクマが一緒に暮らす、そしてその一家が外国に行って楽しく過ごす、など荒唐無稽なファンタジーですが、抱腹絶倒のドタバタコメディーとして純粋に楽しむだけでなく、価値観や風習の違う者どうしが幸せに交流するユートピア物語として読むこともでき、ゆかいで楽しいくせにあなどれません。

 文章は平易で読みやすく、難しい漢字には振り仮名がふってあるので、小学校中学年から。短いお話のオムニバスなので、読み聞かせにもおすすめです。

 もちろん、大人の和み本としてもおすすめ。お風呂上りにリラックスして読めば、クスっとして、幸せ気分に。
 どうぞ、とぼけたクマとの日常をお楽しみください。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。楽しく、ゆかいなドタバタコメディーです。心身ともにお疲れで、楽しく、人を傷つけないファンタジーが読みたいときにおすすめです。
 子どもが読むのはもちろん、大人の和みタイムにも。

 読後は、マーマレードサンドイッチと濃く淹れた紅茶でティータイムを。

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