【魔法の言葉】本の世界に入り込む!読書好き必読のドイツ発ファンタジー三部作、完結編。【小学校高学年以上】

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魔法の言葉 コルネーリア・フンケ/作 浅見昇吾/訳 WAVE出版

「闇の心」(インクハート)の世界に入り込んでしまったメギーとモルティマは、ついに物語の中に組み込まれてしまう。恐ろしい支配者スネークヘッドのために、魔法の本を作ったモルティマだが、それが彼を危機へと誘うのだった。物語を書くこと、読むことがすべて現実となる不思議ファンタジー完結編。

この本のイメージ 本家VS同人作家☆☆☆☆☆ 声は魔法☆☆☆☆☆ 終わらない物語☆☆☆☆☆

魔法の言葉 コルネーリア・フンケ/作 浅見昇吾/訳 WAVE出版

<コルネーリア・フンケ>
1958年ドイツ生まれ。ハンブルク大学で教育学を修める。フリーのイラストレーター、作家。ウィーン児童文学賞など多くの児童文学賞を受賞。

魔法の言葉 コルネーリア・フンケ/作 浅見昇吾/訳 WAVE出版

 コルネーリア・フンケの「魔法の声」から始まる三部作、完結編です。原題はTintentod.(インクの死) 原書初版は2007年。日本語版初版は2013年です。

 第一作が「魔法の声」、二作目が「魔法の文字」そして完結編がこの「魔法の言葉」。それぞれが人も殺せる分厚さです。

 個人的に、日曜朝の特撮番組のモチーフになったんじゃないかと思っている魅力的なファンタジー。
 最初、「魔法の声」は一作で完結する話として書かれたそうなのですが、ファンの要望が大きく、三部作となったのだそうです。一応、この巻で完結しているのですが、やりようによっては続編を書けるようなラストにもなっています。
 たいへん読み応えのあるシリーズです。本当に面白いので、本好き、ファンタジー好きな方は、ぜひ読んでみてください。

 主人公はメギー。父親は製本職人で、「本のお医者さん」として、傷んだ本の修繕を生業としていました。しかし、この親娘には特殊な能力があって、物語を声に出して読むと、その物語の中のものや人物が現実に召還されてしまうのです。

魔法の声 コルネーリア・フンケ/作 浅見昇吾/訳 WAVE出版

 第一作の「魔法の声」は、モーことモルティマが、「闇の心」(インクハート)と言うファンタジー小説を朗読したら、その小説の中の凶悪人物カプリコーンが手下たちごと召還されてしまい、大事件になるお話。

魔法の文字 コルネーリア・フンケ/作 浅見昇吾/訳 WAVE出版

 二作目「魔法の文字」では、メギーたちが本の世界の中に入り込みます。メギーたちが入り込んだせいで、物語は本来のストーリーからだんだんずれていってしまいます。
 「闇の心」(インクハート)の作者フェノグリオ、同人作家オルフェウスなどが入り乱れ、世界は混沌となってゆきます。

 そして、三作目「魔法の言葉」で、とうとう完結。はたしてメギーたちは、独裁者スネークヘッドを倒せるのか、世界はどうなるのか、モルティマ一家はもとの世界に戻れるのか、など、気になるところはいっぱい。
 そして、ついに、現実世界に取り残されていたエリノア・ローレダンも本の中に飛び込んできます。

 第2巻では、本を愛しているわりに感受性に乏しいので本の世界に入れない人物として描かれていたエリノアですが、彼女が「闇の心」(インクハート)の世界に入ってきたときの頼もしさ、安心感といったら。いるだけで力強い気持ちになれる、それがエリノアの魅力です。

 本が好きな人なら、物語を読みながら一度は「このキャラクターに会いたい」「この世界に入ってみたい」と思ったことがあるのではないでしょうか。このシリーズは、そんな本好きの夢がいっぱい詰まっているのです。

 それだけじゃなく、作者フェノグリオの作家としての幸せや、悩み苦しみも描いています。ファンタジー作家が書くファンタジー作家の心理と言うのが、なかなかリアル。

 フェノグリオはこの世界の創造主なので、この世界で彼が物語を書いてメギーが読めばそれが現実になります。こう言うと、私利私欲のためにどんな文章でも書けそうなものですが、だからといって、あまりにも世界観に反した、つじつまがあわないことは書けないのです。だって、「作者」だから。

 事態を解決するために、一刻も早く文章をひねり出さなければならないときも、なんとか世界設定が破綻しないよう、物語としてもドラマチックに成立するようにと腐心するフェノグリオには、作家のプロ意識と業を感じます。

 そのうえ、周囲の事情など関係なく、書ける、書けないの波が来る。
 モルティマのピンチに、どうしても筆がすすまないフェノグリオを容赦なく急かすエリノアが可笑しい。本や物語が大好きなのに、原作者に対してここまで強く出れるとは。これが、エリノアがなかなか本の世界に入れてもらえなかった原因かもしれません。

 

魔法の声 魔法の文字 魔法の言葉 コルネーリア・フンケ/作 浅見昇吾/訳 WAVE出版

 読書と物語の魅力にあふれた、ドイツ発の名作ファンタジーです。本の中に入る物語と言えば、なんといってもミヒャエル・エンデの「はてしない物語」ですが、負けず劣らずの面白さ。さすがはドイツと言う感じ。

 ものすごいボリュームなので、気軽に読める厚さではないのですが、面白いので、いつまでも読んでいたいと思わせる魅力があります。左手がしんどくなる重さですが、本と物語が好きなら、ぜひ、挑戦していただきたい。

 難しい漢字には振り仮名がふってあるので、小学校高学年から。もちろん、大人も楽しめる本格ファンタジーです。

 今年の夏は、暑い日にクーラーの効いた部屋で読書するのがいちばん。大変なときも、心を本の世界に飛ばして乗り切りましょう。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 恐ろしいシーンはありますが、気をつけて書かれているので、それほど流血シーンや残酷シーンはありません。ただし、ファンタジーなので、剣で戦ったり人が死んだりするシーンはふつうにあります。「そういうシーンがあるのだな」とあらかじめ知っていればOKな方には、おすすめです。
 「はてしない物語」が好きならぜひ。お話は完全に続いているので、まずは、「魔法の声」から順番にお読みください。

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