【サーティーナイン・クルーズ】39のてがかりを集め秘密の遺産を探す大冒険。第8巻は中国【皇帝の暗号】【小学校中学年以上】

2024年3月17日

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サーティーナイン・クルーズ 8 皇帝の暗号  ゴードン・コーマン/著 小浜杳/訳 HACCAN/イラスト メディアファクトリー KADAKAWA

一族の謎を知ったショックから立ち直れないまま中国にやってきたエイミーとダン。言い争いからふたりは離れ離れに。ダンは、ジョナ・ウィザードに拾われるが……謎の遺産をもとめて世界を旅する冒険小説第8巻。

この本のイメージ  離れ離れ☆☆☆☆☆ 紫禁城☆☆☆☆☆ エベレスト☆☆☆☆☆

サーティーナイン・クルーズ 8 皇帝の暗号  ゴードン・コーマン/著 小浜杳/訳 HACCAN/イラスト メディアファクトリー KADAKAWA

<ゴードン・コーマン>
1963年、カナダ、ケベック州モントリオール生まれ。12歳のときに描いた物語が本になって出版されて依頼、60以上もの作品を執筆している。子どもたちが無人島でサバイバル生活をする「Island」三部作、エベレストの最年少登頂に挑戦する「Eveerest」三部作など、少年たちを主人公にした冒険小説が多い。

<小浜杳>
1973年横浜市生まれ。東京大学英語英米文学科卒。書籍の翻訳以外に、映画字幕翻訳も手がける。訳書に「ゴール」「ゴール!2」(イーストプレス)「ジョージとの日々」(ダイヤモンド社)ほか。

 アメリカからやってきた、ヤングアダルトアドベンチャー小説、「サーティーナイン・クルーズ」シリーズの第8巻。原書タイトルはThe 39 Clues:The Emperor’s Code.初版は2010年。日本語版初版は2011年です。

 現在市場では第1巻と第10巻が入手困難で、あとは買えるようです。第1巻と10巻も中古なら手に入ります。面白い物語なので、電子化希望。

 この物語は、全体構成と第1巻を「パーシー・ジャクソンシリーズ」のリック・リオーダンが作り、それぞれの巻は別々の作家が担当するという集団創作方式を採用しています。また、シーズン1が終了すると、シーズン2、3と続いており、アメリカのテレビドラマみたいですね。

 アメリカの長期連続テレビドラマは「ショーランナー」と言う作家が、全体構成や世界観、キャラクターの基本設定を決め、その人が創った世界観やあらすじをもとにして、多数のシナリオライターが分業する方式をとっています。これによって、全体の世界観やテイストの統一をはかっているのです。日本でも、日曜朝のアニメーションや特撮シリーズはこの形式をとっているようです。

  小説では、この「サーティーナイン・クルーズ」のほかにも、アメリカで90年以上愛されている少女探偵「ナンシー・ドルーミステリ」や、ドイツのSF「宇宙英雄ローダンシリーズ」、日本では「グイン・サーガ」シリーズが作者の死後この方式で継続中です。

 今回担当するのは第2巻「偽りの楽譜」を執筆したゴードン・コーマン。舞台は中国です。

 中国へ向かう飛行機の中で映画「ラストエンペラー」に誘導されて紫禁城へと向かったエイミーとダン。しかし、ささいなきっかけで口論になり、ふたりは離れ離れになってしまいます。

 ダンは、カブラきょうだいにさらわれ、キャンディ工場のプレス機の傍に放置されますが、きわどいところで脱出、ジョナ・ウィザードに助けられました。

 ダンは、ジョナに助けられ暫く行動をともにします。エイミーはダンを探しながら旅を続け、やがてふたりは、同じ手がかりにたどりつきます。それはヒマラヤ……

 というのが、今回のあらすじ。

 今回の新キャラは、ジョナの母親、コーラ・ウィザード。カブラ家のイザベルに負けずとも劣らない悪女のようです。この「39のてがかりを探すレース」は、裏に大きな秘密があり、それは親世代の問題やエイミーたちの両親の謎ともつながっているようです。

 前回のお話で、自分たちの血筋の秘密を知ったエイミーとダン。それは、彼らにとって受け入れがたいことでした。

 それと同時に、何の後ろ盾もお金も無ないふたりが、他の大富豪の分家の子どもたちとレースをして互角に渡り合っていることで、一族内で自分たちが注目されている事実も知ります。

 ただただ必死にレースにしがみついているだけの無力な二人でしたが、自分たちが知らず知らずのうちに常人離れしたポテンシャルを発揮していたことに気づいていなかったようです。

 ダンは、脅威の記憶力や瞬発力など、わかりやすい特殊能力があるのですが、エイミーは内気で繊細で、ちょっと見にはとりえがわかりません。しかし、直観力と忍耐力があり、粘り強く問題を解決し、敵対する人間とも交渉して同盟を組む能力もある女の子です。

 今回のお話では、エイミーとダンが離れ離れになって会えない状態が続いたので、いつもは内気で悩みやすいエイミーの芯の強さが見えた気がしました。

 今回のお話は、すこしだけケイヒル一族の謎に迫ります。様々な能力に長けた天才たちの一族、ケイヒル。そして、四つの分家、ルシアン、エカテリーナ、トマス、ジェイナスには、陰謀、発明、身体能力、芸術とそれぞれ特色がありますが、これらは、遺伝子操作されたものなのでは……と言う推測です。

 世話係(オペア)ネリーの謎めいた行動に助けられたエイミーとダン。冒険の行方はどうなるのでしょうか。次は伝説の海賊アン・ボニーの謎を追ってカリブ海です。

 文章は読みやすく、展開が速いので疾走感があります。簡単な漢字以外には振り仮名が振ってあるので、小学校中学年から。イラストは今風で、魅力的です。
 1巻と10巻あたりが少し入手困難ですが、中古なら買えますし、長いシリーズなので、外に出られないときには、読み応えがあると思います面白いシリーズなので、ぜひ電子化してもらいたいですね!

 また、世界中の歴史ミステリーを追って旅をするアドベンチャー小説なので、お子さまの世界史への興味、意欲などを期待できます。大人が読んでも、歴史をもっと知りたくなります。

 娯楽小説として面白く、知育要素もあるシリーズです。図書館で読むのもおすすめです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 気をつけて書かれているので、残酷シーンや流血シーンなどのネガティブな要素はありません。スピーディーなアドベンチャー小説です。
 単純に楽しみたいときにおすすめします。

 読後は中国茶と月餅でティータイムを。

 

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