【金星特急】SF少女小説の傑作。絶世の美女と結婚してこの世の栄華を手に入れる、奇妙な列車の旅へ【高校生以上】

2024年3月18日

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金星特急 1  嬉野君/作 高山しのぶ/絵 ウィングス文庫

絶世の美女「金星」の花婿になれば、この世の栄華は思いのまま。ついに東京駅に花婿候補たちを乗せる「金星特急」がやってくる。けれど、「金星特急」に乗って、帰ってきたものは一人もいないのだ……

この本のイメージ パラレル近未来☆☆☆☆☆ 元気系主人公☆☆☆☆☆ サバイバル☆☆☆☆☆

金星特急 1  嬉野君/作 高山しのぶ/絵 ウィングス文庫

<嬉野君>
3月17日生まれ。長崎県出身。小説ウィングス2006夏号、「パートタイム・ナニー」にてデビュー

<高山しのぶ>
11月28日生まれ。主な作品に「あかつき」「ハイガクラ」など。

 初読です。
 初版は2010年ですが、それ以前に雑誌連載されていたお話のようです。

 このブログは、わたしの読書記録をかねつつも、基本的には児童文学、絵本、ヤングアダルトなど子供向けの小説をおすすめしており、中学生向けの少女小説がぎりぎりで、高校生以上を対象にしたいわゆる、「ライトノベル」までは範囲を広げられずにいます。

 本作品「金星特急」は、花街など少し大人っぽい要素が入っているため、少なくとも中学2年生以上がおすすめかと。年寄りの意見ですが。
 が、最近は「少年ジャンプ」でも花街や花魁が登場するんですよねえ……。
なので、もはやどこまでが「子供向け」に入るのかは微妙だとは思うのですが……

 ちなみに、作中に花街などの設定と、綺麗なお姉さんたちは登場しますが、エロシーンはありません。設定がちょっと大人っぽいかな、と言うくらいです。主人公が15歳という設定なので、中学校2年生以上ならいいのではないか……と思います。

 じつはこの本、以前から友人に強く勧められていたのですが、当時は忙しくてどうしても時間が取れず、読めないでいたところ、その後の度重なる天変地異など様々な激動の後、勧めてくれた友人とは連絡が取れなくなってしまったのです。
 そんなわけでタイトルを見るたび、なんとなく気になりつつも読めずにいたのでした。

 こういうのは勢いをつけて手にとってしまわないと、ずるずるといつまでも読まないに決まっているので、今回、読み始めることにいたしました。本シリーズは全9巻。最近、続編も出たようです。

 まだ第一巻しか読んでいませんが、確かにこれは面白い。

 ストーリーは……

 この地球とは似ているようで、ちょっとちがった発展を遂げた、パラレル近未来。(ただし、アヘン戦争などの記述があるため、時間軸もすこしずれている)金星の日面通過に時をあわせて、ミステリアスな特急列車が忽然と現れる。

 それは「金星特急」。

 いつのまにか駅のホームに貼られたポスターには、「花婿募集 条件:生殖能力のある男性 報酬:この世の栄華 」と発車時刻、そして「金星」との署名のみ。

 ギリシャを皮切りに世界各地に現れた「金星特急」は、多くの男性を乗せて発車したが、誰一人、帰ってくるものはいなかった。

 これが「最後」にして「最大」と目されていた、東京駅始発の「金星特急」に、ポスターの「金星」の姿に一目ぼれした15歳の少年・錆丸が乗車する。駅で知り合った、隻眼の男・砂鉄と、貴公子ユースタス、そしてペットのトカゲのウェルを旅の道連れにして。

 しかし、「金星特急」には危険がいっぱい。いきなり車両が押しつぶされたり、大量殺人鬼らしき男まで乗り込んでいるのだ……

 と、言うのがあらすじ。

 どうやら、短編の連続でお話がすすみ、「金星特急」が様々な駅に停車する物語のようです。「銀河鉄道999」の少女小説版かな、とも思うんですが、「金星特急」は宇宙には飛び立たないもよう。

 この世界では、地球を一周できるほどの鉄道網が完成されているようで、東京駅を出発した「金星特急」は、広島から九州を通過して中国は上海へと渡ります。

 なので、第一巻は、東京編と上海編。

 もちろん、どちらもパラレルワールドでの東京と上海なので、現実の東京や上海とは趣が違います。それらの異世界観を味わうのも楽しい。

 世界設定がしっかりしたファンタジックSFは、たいへん好みです。また、この「AKIRA」の世界にも似た、近未来感のある東京や中国は、奇妙なわくわく感がありますね。

 これから、錆丸たちにはどんな冒険が待っているのでしょうか。

 わたしは、少女向けの小説でも、冒険やアクションがあるほうが好きなので、機会があればこのタイプの小説も紹介していこうと思います。(しかし、読みたい本がありすぎる……「十二国記」だって、つづきをご紹介したいんですよ)

 難しい漢字にしか振り仮名が振っていませんが、読みやすい文章です。ただし、上記の事情からだいたい中学2年生くらいから。いまのところ、お色気シーンなどはありません。たぶん大丈夫だと思います。

 高山しのぶ先生の美しい挿絵もふんだんに入っています。

 男の子主人公+アクション満載+SFファンタジー+少女小説、と言う感じ。冒険ものやアクションもの、SFやファンタジーが好きな女の子におすすめです。

 ※この本は電子書籍もあります。

 このレビューでは「中学2年生以上」と書いていましたが、3巻以降過激な科白などがあるため「高校生以上」としました。今後どうなりますか……(2022.07.05)

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 人が死んだり、流血したり、列車がつぶされたりするシーンはあるのですが、気をつけて書かれているので、それほど残酷ではありません。「そういうシーンがあるのだな」と身構えていれば大丈夫な方なら、おすすめです。面白いです。
 花街など、色っぽい設定が入っています。

 読後は、お寿司が食べたくなるかも、いや、食べたくなくなるかもしれないですね……どちらに転ぶのかは、あなたしだい。

 

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