【王さまライオンのケーキ】算数がよくわかるおもしろストーリーと知育の絵本【はんぶんのはんぶん ばいばいの おはなし】【4歳 5歳 6歳】

2024年3月18日

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王さまライオンのケーキ はんぶんのはんぶん ばいのばいの おはなし マシュー・マケリゴット/作・絵 野口絵美/訳 徳間書店

春のはじめのある日、アリはしょうたいじょうをもらいました。王さまライオンはまいとし、どうぶつたちをなんびきか、まねいてごちそうをするのです……

この本のイメージ 算数☆☆☆☆☆ 道徳☆☆☆☆☆ ほのぼの☆☆☆☆☆

王さまライオンのケーキ はんぶんのはんぶん ばいのばいの おはなし マシュー・マケリゴット/作・絵 野口絵美/訳 徳間書店

<マシュー・マケリゴット>
イラストの仕事に従事。児童書の仕事のほかに、セージ・カレッジのオールバニー校で教授として教えている。 

<野口絵美>
早稲田大学第一文学部卒。翻訳家。訳書に「大魔法使いクレストマンシー 魔法使いはだれだ」「同 トニーノの歌う魔法」(徳間書店)ほか多数。

 最近は、自粛期間が長いので、なかなか家から出られず、お子さまたちをどう遊ばせるか、お悩みのご家庭は多いはず。家にいるなら、なるべくなら勉強してほしい……。そういう気持ちは、保護者としては自然なことだと思います。

 けれど、子どもの立場で言えば、ストレスの多い時期だからこそ「どうして勉強しなければならないの?」と言う疑問が浮かぶことも多いはず。

 でも「どうして勉強しなければならないの?」と思うのは、勉強が辛いからです。

 「大人になったときに、辛いことや嫌いなことを我慢できるように子どもの頃に「辛抱」に慣れておくのが大切」と言う考え方は、「勉強をする理由」としてよく言われます。それはそれで、ひとつの正しさではあると思うのですが、わたしは、個人的には、人は「努力」はしたほうがいいけれど「辛抱」はそんなにしなくてもいいと思います。

 本来、「勉強すること」━━知らないことを知ること、未知のことを理解しようとすること、は楽しいことではないかと思うのです。しかし、わたし自身は、子供のころ、勉強はあまり好きではありませんでした。

 子どもの頃、近所のど根性塾に入れられて、しばらく通ったことがあります。親としては、ボンヤリしている我が子が心配で、喝を入れたかったのでしょうね。
 畳敷きの大部屋に、細長く低い机が設置された寺子屋方式で、長時間正座しながら指導を受けるのですが、とにかく厳しくてつらくて、楽しさなんてみじんもなかったのを憶えています。

 そんな子ども時代でしたが、大人になってから、興味のあることを調べたり学んだりするのは、わりあい、楽しいのです。読書だって、楽しみのための読書は好きだし、いくらだって読めます。

  「これを知る者はこれを好む者に如(し)かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如(し)かず」という言葉があります。

 努力する人は楽しむ人には勝てないという言葉です。当然、辛抱して頑張る人は、努力する人にすら負けるので、楽しむ人の足元にも及びません。

 自分たちが学校で教えられていることが、じつはとても面白くて楽しいものだった、と考えられるようになると、学びは楽しいものとなります。「難行苦行」が「娯楽」になればしめたもの。

 今回ご紹介する絵本は、算数の楽しさを描いた絵本。ストーリーには道徳的な側面もあり、物語的におもしろく知育効果もあるという、一石二鳥、一粒で二度おいしい(古い)物語です。原書初版は2009年。原題は THE LION’S SHARE. 日本語版初版は2010年。ロングセラーです。

 ストーリーは……

 あるとき、王さまライオンが、どうぶつたちを招待してパーティーを行いました。パーティーには、コガネムシ、カエル、インコ、イボイノシシ、カメ、ゴリラ、カバ、ゾウも招待されました。

 ごちそうの最後にデザートのケーキが登場し、王さまライオンは、「自分のぶんをとってとなりに回しなさい」とゾウに渡しました。

 ゾウは、ほんとうは独り占めしたかったけど、よくばりだと思われたくなかったので「半分」とって、隣のカバにまわしました。カバは半分とって、ゴリラにまわしました。ゴリラは半分とって隣のカメにわたし、カメは半分とってとなりのイボイノシシに……

 とうとう、最後のアリにわたってきたときには、まめつぶくらいになっていて、それを半分に切ろうとしたらケーキはつぶれてなくなってしまいました。

 アリは、王さまにお渡しする分がなくなってしまったと恥じて、明日、お詫びのしるしにいちごのケーキを焼いてきます、と約束します。

 その申し出をたいへん喜んだ王さまを見て、アリのとなりに座っていたコガネムシは、アリだけにいい格好はさせたくないと、「わたしはキャラメルケーキをアリの二倍の2個焼いてきます」と言い出しました。ケーキなんて作れもしないのに……
 すると、その隣のカエルは「わたしはキイチゴのケーキをコガネムシの二倍の4個焼いてきます」と宣言します。その隣のインコはすかさず、「わたしはニンジンケーキをカエルの二倍の8個焼いてまいります」と言い、その隣のイボイノシシは、「わたしはチョコレートケーキをインコの二倍の16個焼いてまいります」と言い出しました……残るは、カメ、ゴリラ、カバ、ゾウ。みんな、本当はケーキなんて作れません。でも、もう引っ込みがつかなくなっていました。

 さて、ラストはわかりますね。ここから先は地獄です。

 翌日、アリが焼いてきたおいしいケーキを王さまライオンはアリとはんぶんこして楽しく食べました。めでたし、めでたし。

 ……と、いうのがあらすじ。

 このネタは、日本の昔話でもいくつか有名な話がありまして、一休さんや彦一とんち話、また豊臣秀吉と曽呂利新左衛門「米の倍倍ばなし」として残っています。

 一休さんでは、将軍さまからご褒美がいただけるという話になったとき、将棋盤の最初のマスに米粒を一粒、二番目のマスにその倍の二粒、三番目のマスにはその倍の四粒、その隣のマスにはその倍の八粒と言うふうに、倍倍で米を乗せ、最後のマスまでくださいというもの。計算してみると莫大な量になったというお話です。

 秀吉と曽呂利新左衛門にも同様の話があり、米一粒から初めて倍倍に100日間、と言う約束をしたら、城が傾くくらいのとんでもない量になったので、途中で別の褒美に切り替えさせた、と言うお話。

 昔の日本では、米は通貨だったので、これはたいへんなことだったのです。

 また、おなじ発想のお話に、池とハスの葉のお話があります。「ハスの葉は一日に倍大きくなります。30日たったら池が覆われて魚は窒息死します。さて半分覆われるのは何日目ですか」と言うやつ(答は29日)。

 こういう、単純なエピソードから、算数の面白さが見えてくる気がします。

 王さまの「王」の字以外はほぼひらがなとカタカナで、とてもわかりやすく、読みやすい絵本です。絵もとぼけていて、読み聞かせにぴったり。欲張らない、見栄を張らない、などの人生訓もあり、様々な知育効果がある絵本です。

 なかなか、ここまでいろんなテーマが入っている絵本はないので、これはおすすめ。幼稚園~小学校低学年向けですが、それ以上の歳でも、算数に興味をもってもらうにはいいかもしれません。

 おうち時間の親子タイムにぜひ、どうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。たくさんの動物が登場するので、生き物に興味をもつ要素もありますし、道徳要素もあり、そして算数、掛け算への興味をかきたてるという、一石で何鳥も落とせる、すばらしい知育絵本です。
 ひらがな、カタカナが読めればひとりで読めますが、これは読み聞かせがおすすめ。

 読後は、ケーキを半分こしてティータイムを。

 

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