【嵐の守り手】時空が交錯するミステリアスな現代ケルティックファンタジー第2巻【試練のとき】【小学校高学年以上】

2021年9月18日

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嵐の守り手 2  試練のとき キャサリン・ドイル/作 村山利佳/訳 評論社

ついに闇の魔女モリガンが目覚めた。しかし、フィオンは魔法をうまく使えずにいた。ソウルストーカーたちが続々と島へ上陸し、危機がせまる。フィオンはメロウを呼び寄せる「潮招きの貝」を探すが……

この本のイメージ 魔女の目覚め☆☆☆☆☆ 本格ファンタジー☆☆☆☆☆ 増える仲間☆☆☆☆☆

嵐の守り手 2  試練のとき キャサリン・ドイル/作 村山利佳/訳 評論社

<キャサリン・ドイル>
アイルランド西部の大西洋岸で育つ。アイルランド国立大学ゴールウェイ校に学ぶ。祖父母が生まれ育ったアランモア島で語りつがれてきた物語や、実際に島で暮した自身の経験から発想を得て「嵐の守り手」シリーズを執筆。ゴールウェイを拠点としながら、ロンドンやアメリカでも生活。

<村山利佳>
南山大学外国語学部卒業。商社勤務を経て、翻訳の世界に。訳書に「気むずかしやの伯爵夫人」「人形劇場へごしょうたい」(偕成社)「名探偵テスとミナ」(文響社)シリーズなどがある。

嵐の守り手 2  試練のとき キャサリン・ドイル/作 村山利佳/訳 評論社

 現代のアイルランド、アランモア島を舞台に、古代の魔法で魔女と戦う本格ファンタジー、第2巻です。

 原題はThe Lost Tide Warriors.(失われた潮の戦士たち)原書初版は2019年、日本語版は2021年初版です。

 構成やキャラクター配置が、少し「ハリー・ポッター」に似ており、もしかしたら影響をうけた部分もあるのかもしれません。しかし、オリジナルの味付けがすばらしく、引き込まれます。
 話が完全に続いているので、まずは第1巻からお読みください。第1巻のレビューはこちら

 主人公はフィオン。アランモア島を守る「嵐の守り手」マラキーの孫であり、特別な運命を持って生まれた少年です。

 この島は魔法で満ちており、島を守る一族は、それぞれ魔法の才覚があります。そして、魔法の触媒になるのは「杖」ではなくて「キャンドル」。キャンドルに封じ込められた、様々な「天候」が、武器になるのです。このあたりの設定がすばらしい。わくわくします。

嵐の守り手 1  闇の目覚め キャサリン・ドイル/作 村山利佳/訳 評論社
第1巻はこちら

 第2巻では、フィオンの親友となるサム・パットンが登場。彼は「嵐の守り手」だったマギー・パットンの曾孫。フィオンとサムは気の合うコンビになり、その後いったんは島から離れた後戻って来た、ビーズリー家の娘シェルビーと合流し、三人組になります。

 シェルビーが歯に矯正ワイヤーをした、かわいくて賢い女の子と言うのは、ハーマイオニーのオマージュかなと思うのですが、どうでしょうか。マルフォイポジションの、いじわるな男の子も登場します。

 また、「ハリー・ポッター」にはこのポジションの女の子はいないけれど、かなりいいキャラでわたしが好きなのは、フィオンの姉サラ。ものすごく勝気で負けず嫌いで毒舌で、けっして「気立てがいい」とは言いがたい、山ほど難のある性格の子なのですが、不思議な魅力があるのです。

 ダイアナ・ウィン・ジョーンズの小説によく登場する、主人公の男の子のお姉さんを彷彿とさせます。サラは「嵐の守り手」ではないけれど、すぐれたキャンドル使いとしての能力があり、その力でフィオンをサポートします。

 弟からしたら、いばりんぼでいじわるな姉でしかないのですが、いざと言うときに一番頼りになり、弟を助けてくれる……キョーレツなツンデレ姉なのです。

 ストーリーは……キャンドルの力で時空を行き来しながら過去の謎を解きつつ、不気味な敵と戦う、本格ファンタジー。 実在の島、アランモア島を守る、魔術師の末裔たちと、太古の昔に封印された魔女モリガンの時空を超えた戦いが描かれます。
 第2巻では、ついに復活した魔女モリガンと、続々と島へ上陸してくるソウルストーカーたちとの戦い。この巻では、ついにある人物と哀しい別れの時が訪れます。

 独自の世界観の魔法の設定も魅力的。
 「天気」を魔法の力で使役するお話は昔からよくありましたが、この使い方は斬新です。

 魔法の杖ではなく、「キャンドル」と言う「使ったら減って消えてゆく」アイテムを魔法の触媒にしたのは時限要素が加わってスリルがあります。しかも、火が消えてしまうので水中では使えません。
 大きなキャンドルは持ち運べなかったり、持ち運べる場合も杖よりははるかにかさばるので、そこで行動が制限されてしまうのも、物語を面白くしています。

 オリジナルの世界観+「ハリー・ポッター」と「クレストマンシー」のいいとこどりという感じのこのファンタジー、現代が舞台なので、スマートフォンやSNSなども、フィオンの日常として登場します。いじわるな男の子の脅し文句が「おまえの写真をネットに流してやる」だったりするのも、「あるある」な感じ。

 ハイテクと古代の魔法が混在する独特の雰囲気が、ごくふつうの現代の男の子が太古の魔法の力を得たとまどいや悩みにリアリティを与えています。ハイテクも魔法も、どちらも強力な武器ですが、使いこなせないと厄介にな事態になってしまうところは同じです。
 フィオンが立ち向かうことは、じつは、今の子どもたちが立ち向かっていることでもあるのかもしれません。

 文章は平易で読みやすく、難しい漢字には振り仮名がふってありますので、小学校高学年から。主人公のフィオンが11歳なので、それくらいから大丈夫。が、かなりボリュームがあるので、がんばってコツコツ読む必要があります。
 もちろん、大人でも楽しめる本格派のファンタジーです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 今回は哀しいシーンがありますが、残酷だったり凄惨だったりはしません。気をつけて書かれていますので大丈夫です。しみじみといいお話です。強大な敵と戦う冒険物語ですが、繊細な部分もあり、HSPやHSCの方におすすめです。

 読後はアイリッシュティーでティータイムを。

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