【怪盗レッド】学園祭も全力で。バディな怪盗シリーズ第3巻【学園祭は、おおいそがし☆の巻】【小学校中学年以上】
わたし、アスカと親友のケイは、ふたりで一人の怪盗レッド。レッドは正義の怪盗なんだ。今回は、待ちに待った学園祭。わたしたちのクラスはカフェをすることになって、わたしは大はりきり。でも、生徒会長の様子がどこかおかしくて……
この本のイメージ 新キャラ登場☆☆☆☆☆ バディだぞ☆☆☆☆☆ 学園祭で大事件☆☆☆☆☆
怪盗レッド 3 学園祭は、おおいそがし☆の巻 秋木真/作 しゅー/絵 角川つばさ文庫
<秋木真>
秋木真(あきぎしん)。静岡県生まれ、埼玉県育ち。AB型。 友人からは二重人格とよく言われる。『ゴールライン』(岩崎書店)でデビュー。 主な作品に「怪盗レッド」シリーズ、「少年探偵 響」シリーズ、「黒猫さんとメガネくん」シリーズ(以上角川つばさ文庫)、「リオとユウの霊探事件ファイル」シリーズ(集英社みらい文庫)、「悪魔召喚!」シリーズ(講談社青い鳥文庫)などがある。
「怪盗レッド」シリーズは、2010年から続いている人気シリーズで、現在19巻まで刊行されているようです。第3巻も初版は2010年。すごいハイペースで書いてたんですね。
「怪盗レッド」は、一話完結の形で書かれているので、一応、どの巻から読んでもお話がわかるようになっていますが、第一巻から順番に読んだほうが、設定などがわかりやすいでしょう。
一巻のレビューはこちら
10年以上も続いているロングセラーって、本当に愛されているんですね。
この時期は、震災前で、日本は景気が良かったので、数多くの名作が生まれ、今なお続いているシリーズがたくさんあります。景気がいいって重要です。今、振り返って、こうやって読書していると、児童書は景気にものすごく左右されているのがわかります。
このサイトでは、昔出版されていて、今は入手困難だったり、絶版になっている本も、時々ご紹介しますので、中古や図書館でぜひ、楽しんでくださいね。いい本は、どんどん読まれなくては。
この「怪盗レッド」シリーズは、角川つばさ文庫の看板シリーズとして今も続いていますし、大人気のようなので、入手しやすいと思います。
さて、今回のお話は……
アスカとケイが通う私立春が丘学園は、中高一貫学校。
もうすぐ、待ちに待った学園祭がやってきます。アスカたちのクラスでは、カフェの模擬店を出すことになりました。アスカは大張り切りです。
でも、生徒会長の折原詩織の様子がおかしい。
そして、学園祭当日、詩織会長の姿が見えなくなって……
詩織会長は、なんらかの事件に巻き込まれたかもしれない。アスカは会長の救出に向かいます……
……と、いうのがあらすじ。
今回は、楽しい学園祭がメイン。想定読者は小学校五年生くらいだと思うので、中学や高校の学園祭にはあこがれてしまいますよね。そんな、わくわく感満載の巻です。
今回は、新しいキャラクターとして、お裁縫が大得意の優月ちゃんと、クールな詩織会長が登場。どちらもいい子なのがうれしい。この世界、悪人が少なくていいなあ。
親友の美咲ちゃんや、優月ちゃん、詩織会長の誰かを悪い奴にすることも出来たと思うので、そうしないストーリー構成が好きです。
子供向け小説というのは、大雑把に分けると三種類あり、
- ほぼ全員が善良ないい人ばかりで悪人はそのおはなしにスポットで登場する外部の人、または誤解や気持ちのすれ違いのみで全員がいい人。
- 登場人物の中にはっきりと善人と悪人がいて、善人側の主人公が悪人をやっつけて、懲らしめることで、読者に教訓を与える。または逆の場合もある。
- 登場人物全員にいいところと悪いところがあり、完全善や完全悪はない。人間関係のトラブルは「悪」ではなく「未熟」から起き、全員が成長する。
と言うふうになります。(大雑把すぎる分類……)
大人向け小説はだいたいは3番目なのですが、これは小さな子どもには難しすぎる場合があるので、子供向けだと1番目か2番目だったりします。昭和のテレビアニメだと2番目が多く、ガンダムが3番目。だから、ファーストガンダムが放映された当時は、かなり衝撃でした。当時のアニメとしては大人っぽかったんですね。
わたしは、自分の好みが1番と3番なので、このサイトではそういう本が中心になると思います。レビューサイトの形にはなっていますが、自分の読書記録もかねていて、自分の好きな本をおすすめするという、独断と偏見のサイトなのです……スミマセン。
2番目のお話は勧善懲悪と言って、時代劇の「水戸黄門」など、伝統的で人気のパターンではあります。それはそれで好きではあるのですが……悪人をバッサリ切って終わり、な感じのお話は、今はいいかな、と言う気持ちなんですよ。
それは、たぶん、社会情勢があまりにも過酷で、世の中が激動すぎるからかもしれません。とはいえ、たまには名作をご紹介しています。「マチルダは小さな大天才」とかね。(「マチルダ」はおすすめです)
「怪盗レッド」は、ヒーローものなので、2なのかな、と思って読んでいたのですが、テイスト的にはどうやら1のようなのです!
もちろん、悪人は登場するにはするのですが、それはレッドの生活範囲の外にいる人たち。学園の人たちはみんないい人でした。これはうれしい。(←いや、それ、ネタバレだろ……)
最初は、アスカとケイだけの物語でしたが、親友の美咲ちゃん、少年探偵の響、学校の先輩たちと、魅力的な仲間が増えてきました。先が楽しみです。
角川つばさ文庫は、小さなお子さまに読書の楽しみを体験してもらう目的で作られたレーベル。表紙・挿絵イラストは、漫画ふうで可愛らしく、親しみやすくなっています。字はほどよい大きさで読みやすく、漢字にはすべて振り仮名が振ってある、総ルビです。
「怪盗レッド」は、主人公の紅月アスカちゃんの一人称で語られています。会話口調で書かれているので、読みやすく、今のお子様なら親しみやすいはず。すいすい読めます。
かわいい女の子も、かっこいい男の子も両方出てくるので、男の子にも女の子にもおすすめの児童小説シリーズです。
「怪盗レッド」を入り口にして、「怪盗二十面相」「怪盗ルパン」などの古典名作に行くもよし、「怪盗クイーン」や「夢水清志郎」に行くもよし、「名探偵カッレくん」のような海外児童文学に行くもよし、様々な世界へと扉が開きます。
明るく楽しい、少年少女向け冒険小説です。
読書習慣をはじめたばかりのお子さまにおすすめです。秋のおうち時間にぜひどうぞ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。さわやかで明るい、冒険小説です。主人公のアスカちゃんがスーパーポジティブな女の子なので、元気がでます。
学園祭のカフェのメニューがおいしそうなので、自分でも作ってみたくなること、まちがいなし!
読後は、ピザトースト、フルーツピザトーストとコーヒーでひとやすみ。
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