【パディントンとテレビ】クマと暮らす抱腹絶倒の日常。ブラウン家にテレビがやってきた。シリーズ五作目【くまのパディントンシリーズ】【小学校中学年以上】

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パディントンとテレビ マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  松岡 享子/訳  福音館

ある日、ブラウン家にテレビがやってきました。新しい家電に、ブラウン一家は興味津々です。もちろん、パディントンも……。そして、パディントンとグルーパーさんは、秘密の作戦に出るのでした……

この本のイメージ クマと暮らす☆☆☆☆☆ テレビ黎明期☆☆☆☆☆ クリスマスシーズン☆☆☆☆☆

パディントンとテレビ マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  松岡 享子/訳  福音館

<マイケル・ボンド>
Michael Bond(1926年1月13日~2017年6月27日)。イギリス・バークシャー州、ニューベリー出身の小説家。代表作は児童文学『くまのパディントン』シリーズ。

<ペギー・フォートナム>
1919年、イギリスで生まれた。ロンドンの美術工芸セントラルに在学中、ハンガリーの出版社の依頼でエリナー・ファージョンなど子どもの本にさし絵を描いたものが好評で、引き続きさし絵やポスターの仕事をする。

<松岡 享子>
1935年、神戸で生まれた。大学卒業後、ウェスタンミシガン大学大学院で児童図書館学を学び、ボルチモア市の公共図書館に勤めた。帰国後、東京子ども図書館を設立し、子どもと関わる幅広い分野で活動をする。1974年、石井桃子氏らと、財団法人東京子ども図書館を設立し、同館理事長を務める。

パディントンとテレビ マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  松岡 享子/訳  福音館

 くまのパディントンシリーズの五冊目。原題はPaddington at Large.(パディントン逃走中)原書初版は1962年。日本語版初版は1971年です。

 くまのパディントンシリーズは、イギリスの平凡な家族、ブラウン家にペルーからやってきたくまのパディントン(ぬいぐるみや着ぐるみではなく、ほんものの熊)が家族の一員として同居することになる、ドタバタコメディ。ほんものの熊なのに、パディントンはお洋服を着て帽子をかぶって二足歩行するし、英語をしゃべります。
 そこらへんがどうしてそうなのかの説明がまったくなく、強引にすすむ、動物ファンタジーです。

 お話は、ブラウン家でパディントンが引き起こす事件の数々。
 たいてい、人間の世界に疎いパディントンが見よう見真似でおかしなことをし、大惨事になるものの、どういうわけか、事態はいい方向にころがって、パディントンは感謝される、と言うのが毎度のパターン。

 短いお話のオムニバスなので、どの巻から読み始めても話は通じますが、パディントンがブラウン家に同居することになった第1巻から読むのがわかりやすいでしょう。1巻のレビューはこちら

 さて、今回のお話は……
 最新家電がやってきたブラウン家と、生まれて初めてテレビと出会ったパディントンが引き起こすコメディです。

 保守的なイギリス人の一般家庭にテレビがやってきたとき、こんな感じだったのでしょうか。

 調べたら、世界初のテレビ放送はイギリスだったようです。当時はとてつもない騒ぎだったのでしょう。1962年だと、イギリスでは、カラー放送前のよう。

 日本でテレビが一気に普及したのは、1964年でした。東京オリンピックをテレビで見るためです。
 そして、カラーテレビが普及したのは、1969年です。アポロ11号の月面着陸を見ようとしたのです。

 こんなふうに、大きなイベントのたびに各家庭にテレビが増えていた時代でした。オリンピックより前にテレビを買おうとしたのですから、ブラウンさんは、新しもの好きですね。

パディントンとテレビ マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  松岡 享子/訳  福音館
こちらは文庫版

 と、いうわけで、ブラウン家に、文明の利器テレビがやってきます。

 作中で、パディントンがテレビについているたくさんのツマミを回す場面があります。
 なつかしい。昔のテレビには、色調調整などのダイヤルがたくさんついていたんです。まあ、回したってたいして役には立たないんですけどね。でも、ちっちゃい子どもはみんな回していました。

 また、昔のテレビドラマや映画などでは、動かなくなった家電をバンバン叩いて動かすシーンが見られます。
 コンピューター時代の若い方には考えられないと思いますが、昔のテレビは、本当にこれで見えるようになることがあったんですよ。
 内部の回路のどこかが接触不良で、叩くとつながることがあったんです。大雑把な時代でした。

 パソコンに振動や衝撃を与えたら致命的なことになりますから、現代の若者には衝撃的な行為でしょうねえ。

 しかし、そんな時代ですが、その時代にとってのテレビは最新機器。

 なんといっても、最先端の文明の利器がブラウン家にやってきたのです。暗黒の地ペルー(と、パディントンが言うんですよ(汗))からやってきたパディントンにとっては、まさに魔法の箱。

 そして、案の定、テレビがやってきた当日に、早速パディントンはやらかします。
さて、どうなるかは、読んでのお楽しみ。

 パディントンのシリーズは、どの本も底抜けに楽しく、ゆかいな話ばかり。厳格で真面目で保守的なイギリス人たちの中で、物怖じしないクマが1匹、マイペースで行動しているうちに、なぜだか、みんなハッピーになってしまうという、楽しい物語です。

 「パディントンとテレビ」は、ちょうど秋からクリスマスにかけての物語なので、今の季節にぴったり。

 字は程よい大きさで、文章は平易で読みやすく、難しい漢字には振り仮名が振ってありますので、小学校中学年から。短編のオムニバスなので、気楽に少しずつ読むことが出来ます。

 パディントンのやらかしがダイナミックなのと、事態の収拾が劇的にミラクルなので、読後感が猛烈にさわやかです。ぎゃははと笑った後に、スカッとできる、気持ちの良いファンタジーです。

 子どもから大人まで、ちょっと元気を見失っているときにおすすめ。読んでいるうちに、いろいろと、細かいことを気にしているのがばからしくなってきますよ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。パディントンがやることなすこと、幼児のようです。たいてい、とんでもない失敗をして大惨事を引き起こすのですが、どういうわけか、災い転じて福になると言うお話。

 心が疲れたときに、純粋に楽しい気持ちになれるのでおすすめです。

 読後は、マーマレードサンドイッチと、濃くいれた紅茶でティータイムを。

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