【森のなかの海賊船】日本のムーミン谷? こそあどの森のものがたり第3巻【こそあどの森の物語】【小学校中学年以上】

2022年8月1日

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森のなかの海賊船 こそあどの森の物語 岡田淳/作 理論社

以前、スキッパーが雪の森で出会ったマサカさんとナルホドさん。彼らは、大昔の海賊フラフラの宝をさがしていました。そのころ、トワイエさんは、骨董屋でフラフラに関する古い本を手に入れていました。その本に隠された秘密にスキッパーは気づきますが……

この本のイメージ 海賊の宝☆☆☆☆☆ みんなで宝探し☆☆☆☆☆ ファンタジック☆☆☆☆☆

森のなかの海賊船 こそあどの森の物語 岡田淳/作 理論社

<岡田淳>
日本の児童文学作家。著書『雨やどりはすべり台の下で』で産経児童出版文化賞を、『こそあどの森の物語』で野間児童文芸賞を受賞し国際アンデルセン賞の国際児童図書評議会(IBBY) オナーリストに選ばれた。翻訳家、挿絵・イラスト作家、エッセイストでもある。

森のなかの海賊船 こそあどの森の物語 岡田淳/作 理論社

 「日本のムーミン谷」とも呼ばれる、「こそあどの森」シリーズ、三番目は「森のなかの海賊船」。初版は1995年です。


 「こそあどの森」シリーズはどの巻から読んでもわかるように書いてありますが、最初だけは、世界設定や住人たちを詳しく描いている第一巻を読んだほうがわかりやすいと思います。 

第1巻のレビューはこちら。↓

 さて、今回のお話は……

 作家のトワイエさんが骨董屋で手に入れた古い本は、大昔の海賊フラフラについて書かれた本でした。スキッパーはその本の秘密に気づき、隠しページからフラフラの伝説を読み解きます。

 以前、雪の森でスキッパーを助けてくれた旅の笛ふき、マサカさんとナルホドさんは、フラフラの宝がこそあどの森の近くにあるとさだめ、探しにきていたことがわかります。

 フラフラは、悪逆非道な海賊と言う記録が残っていますが、それは嘘で、実は悪い大臣に国を追われた王子が、幻覚使いとなって仲間たちと旅をしていたのでした。

 彼は晩年捕らえられ、非業の死を遂げますが、その前に、どこかに宝を隠したらしいことを言い残します。それを聞いたのがマサカのひいじいさんの友人。そして、どうやらフラフラが宝を隠すときにかかわったらしいのが、船大工だったナルホドさんのおじいさんでした。

 宝探しに俄然、興味をもつふたごたち、ジンジャーとミント。

 こそあどの森の仲間たちと、マサカさんナルホドさんたちとで、宝探しが始まりました……

 と、いうのがあらすじ。

 物語の冒頭で、スキッパーはジンジャーとミントのふたごにヨットを教えてもらっています。彼女たちに教えられてスキッパーはヨットを操るのがうまくなりました。

 船のような家ウニマルに住んでスキッパー(船長)なんて名前だったのに、船に乗れなかったんですね……。
 岡田先生世代の児童文学で、ヨットを操るのがうまいふたごと言えば、アーサー・ランサムオオバンクラブ物語のポートとスターボード。これは、絶対、オマージュだと思います。

 気分しだいで名前を変えるふたごたち、第一巻はアップルとレモン。第二巻はシナモンとミルク。この巻では、ジンジャーとミントと名乗っています。

 今回のお話は、むかしむかしに名をはせた海賊フラフラの伝説と、フラフラがのこした海賊船と宝をさがすストーリーです。

 前半は、謎に包まれた海賊フラフラの伝説を追う、ミステリアスなストーリー。後半は、こそあどの森オールスターズで、森の奥に向かう、ピクニックのような宝探しです。

 このおはなしの「宝探し」は、わりと日本的な伝統的な「宝探し」のストーリーです。わかりやすい金銀財宝が見つかるのではなくて、目に見えない、けれどもすばらしい「宝」に出会うという、お話。

 摩訶不思議で、そして、ちょっぴりせつないストーリーです。

 「こそあどの森」が「日本のムーミン谷」と呼ばれる理由が、だんだんわかってきました。
 住人たちは、みんな個性的で、それぞれが魅力的な人たちなのですが、ストーリーや事件がとても哲学的なのです。

 今回のお話はとりわけ美しく、せつないお話で、読み終わった後も、長く余韻が残ります。

 詳しく書くと、ネタバレになってしまって面白くないので、これ以上は書けないのですが、美しい物語です。人生で幸せなときは一瞬のような時間だけど、それは永遠にもなると言うお話。

 こう言うお話を、小さな子どもの頃に読むのは、幸せなことです。

 児童書というと、とかく成績を上げるための知育的なものや、良い子に育てるための教訓的なものと思われがちですが、小さな子どものするどい感受性に向けて作られた物語も多く、大人にもおすすめできる物語がたくさんあります。

 トーベ・ヤンソンのムーミンシリーズもそんな物語の一つですが、トラヴァースの「メアリー・ポピンズ」、アンデルセンの「雪の女王」、エリナー・ファージョンの「ムギと王さま」など、単純な善とか悪とかの物語ではなく、繊細な感受性にアプローチするファンタジーは、内向的なお子さまにおすすめです。

 「森のなかの海賊船」は、小さなお子さまが読めば、その幻想的な物語と時を超えた想いの強さに感動するでしょうし、大切な人を喪ったことがある大人が読めば、せつなさに涙するでしょう。わたしもちょっと泣いてしまいました。

 字は程よく大きく、文章はわかりやすくて読みやすく、簡単な漢字以外にはすべて振り仮名が振ってありますので、小学校中学年から読めます。賢い子なら低学年からでもチャレンジできるでしょう。

 岡田先生は美大卒なので、絵もご自身で描かれていて、挿絵は雰囲気たっぷり。冒頭にキャラクター紹介が入っているのでわかりやすい。でも、キャラクターの性格に名前はぴったりなので、混乱するのは、毎回名前の違うふたごくらいです。

 親子で貸し借りしながら読んで、読後にこの森のことをああでもないこうでもないと語るのも楽しそう。

 秋の読書タイムにぴったりのシリーズです。おうち時間は「こそあどの森」に旅に出ましょう。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。むしろ、HSPやHSCの方におすすめの物語です。繊細な方のほうが、多くのメッセージを受け取れるでしょう。大人にもおすすめです。美しい物語です。

 読後は、ホーローのポットとカップで、のんびりティータイムを。サンドイッチもいいですね。

この本の続きはちら

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