【風の丘のルルー】ひとりぼっちの魔女がたどりついた、その村は? 児童小説の名作を電子書籍で。【魔女の友だちになりませんか?】【小学校中学年以上】

2024年3月18日

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魔女の友だちになりませんか?  風の丘のルルー 1  村山早紀/作 ふりやかよこ/絵  ポプラ社

ルルーは、旅の楽師の家族とともに人形遣いとして旅をしていました。でも、ルルーには秘密がありました。彼女の操るぬいぐるみは、自分で動く魔法のぬいぐるみ。そして、ルルーは魔女だったのです……

この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ せつない☆☆☆☆☆ あたたかい☆☆☆☆☆

魔女の友だちになりませんか?  風の丘のルルー 1  村山早紀/作 ふりやかよこ/絵  ポプラ社

<村山早紀>
1963年長崎県生まれ。日本の児童小説作家。「ちいさいえりちゃん」で毎日童話新人賞最優秀賞、椋鳩十児童文学賞を受賞。主な作品は『シェーラひめのぼうけん』『新シェーラひめのぼうけん』シリーズ、『風の丘のルルー』シリーズ、『はるかな空の東』などであり、近年は風早の街を舞台にした『コンビニたそがれ堂』シリーズ、『カフェかもめ亭』シリーズ等が人気を博している。

<ふりやかよこ>
山口県生まれ。 大分県立芸術短期大学油絵科卒。 「ばあちゃんママのなつやすみ」で絵本にっぽん新人佳作、「いらいらあきあきとりかえっこ」でニッサン童話と絵本のグランプリ優秀賞。

 ぐっと寒くなりましたね。こんなときは、やはり家の中で読書がいちばん。
 寒い季節は、読書のほかにフィギュアスケートと言う趣味がもうひとつあるのです。いや、滑らないですよ。見る専門です。(あたりまえ) たいていのスポーツがオフシーズンに入るなか、フィギュアはオンシーズン。
 先日、とてつもない快挙があって、それについては後日、語りますね。(←それはいいから!)

 さて、ついに10月も最終週です。10月の最終日はハロウィン。
 なので、当ブログではこの季節、魔女や魔法使いものの物語を重点的にご紹介しています。

 本日も、ハロウィンシーズンにぴったりな魔女のストーリーをご紹介。
 1999年にポプラ社から出版された児童文学の名作、「風の丘のルルー」。現在は、電子書籍で楽しむことが出来ます。

 ストーリーは……

 はるか昔、どこか遠い国で。
 魔女が人間から恐れられ、遠ざけられていた時代から、少し経った頃のこと。

 ルルーは、旅をしながら音楽を披露する、旅の楽師ホルトさん一家と一緒に旅をしている、人形遣いの女の子。魔女のような衣装を着て、かわいいくまのぬいぐるみを音楽にあわせて操ります。

 ルルーには、秘密がありました。

 じつは、ルルーは小さな女の子ではなく、何十年も生きてきた魔女だったのです。昔、魔女がひどく迫害を受けていた時代に、家族をすべて失ってしまっていたのでした。

 ルルーは人間よりずっと成長がゆっくりなので、あまり長くのあいだ同じ場所に留まったり、同じ人たちと一緒にいたりできません。そろそろ、大好きなホルトさん一家ともお別れしなければならない頃でした。

 ルルーは、いつか聞いた、人間と魔女が仲良く暮らしていると言う、「風野村」を目指そうと決心します。はたして、ルルーは風野村にたどりつけるのでしょうか……

 と、いうのがあらすじ。

 児童文学の名作「シェーラひめのぼうけん」の村山早紀先生の魔女シリーズです。シェーラ姫は太陽のような、明るく強いお姫さまですが、ルルーのお話は、すこしせつなく、哀愁を帯びています。

 魔女がいわれなく迫害されていた時代を少し過ぎて、まだまだ偏見が残る時代、家族を喪った魔女のルルーが、魔女である自分自身を受け入れ居場所をみつける、自己再生の物語です。

 ルルーだけでなく、一緒に旅する楽師たち一家にも秘密があり、それがだんだんとあかされて、それぞれが癒されてゆきます。

 ルルーの心が人知れず深い悲しみに沈んでいるので、ふつうの魔女っ子もののような明るさはなく、物語全体が静かでしんみりとした空気に包まれています。

 その、冬の夕暮れのような空気がだんだんと温まって、春の風につつまれたところで第1巻は終わります。これから、ルルーが様々な人とかかわり、助け、成長してゆくストーリーのようです。

 子供向けの小説は、子どもの心にストレートに届けなければならないために、ごまかしのない話が多く、大人が読んでも心を揺さぶられます。

 今回のお話は、「自分でないものになろうとしないこと」「幸せは自分自身を受け入れることからはじまる」ことを再確認させるお話でした。

 とくに子どもの頃は、「自分はこうでなければよかったな」「もっとこういうふうに生まれてきたかったな」と思うことがあるものです。どんなに恵まれて生まれたとしても。

 大人になると「なんだかんだ言って、これでよかったんだ」と思えるのですが、子どもの頃は、悩んでいる真っ最中ですから、そんなに余裕をもって考えることができません。

 なので、子供向けの物語ではこういうテーマは大切だと思います。

 成長と言う形で自分を変化させてゆくのは自分をすこしずつ肯定してゆく行為ですが、自分でない者になろうとするのは自己否定。
 後者はあまり幸せな結果にならないように思います。

 穴のあいた心を抱いて、さすらいつづけていたルルーですが、ようやく自分自身をみとめ、未来へむけて生きてゆけるようになりました。

 ルルーが魔女である自分を受け入れ、風の丘で暮らす未来には、どんな事件が待っているのでしょうか。
つづきを読むのが楽しみです。

 紙の本では入手困難ですので、電子書籍か図書館で。
 漢字とひらがなの配分がほどよく、文章も読みやすいので小学校中学年から。読み応えがある物語です。総ルビ(すべての漢字にふりがな)なので、低学年からでも、コツコツ頑張れば読むことが出来ます。

 電子書籍には、電子書籍専用の読書リーダー端末をおすすめします。メールやSNSで読書を邪魔されず、本を読むことだけに集中することが出来ます。また、電子書籍だと表示フォントを大きくすることも出来るので、目に負担をかけません。家のなかのスペースを圧迫することもないので便利です。

 電子書籍、紙の本、図書館、それぞれに、それぞれのよさがあります。自分のライフスタイルにあわせて賢く使い分けたいものですね。

 昔の名作が手軽に読めるのも、電子書籍のいいところ。これからも、たくさんの名作が電子化されることを楽しみにしています。

※どうやらこのシリーズは、ポプラ社から出版された「その本の物語」として一部、読むことが出来るようです。

児童文学としてとても名作なので、子供向け版を全巻電子化、ないしは復刊してほしいですね。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 おすすめです。
 しみじみとした情緒があり、HSPやHSCの方のほうが、多くのメッセージを受け取れると思います。
 深い悲しみから立ち直るお話なので、物語にセラピー要素があり、現在苦しんでいる小さなお子さまや、励ましが必要な内向的な子におすすめの物語です。

 お天気が悪い、寒い日には、あたたかいハーブティーをお供に、ルルーの物語を電子書籍で。いいことありますように。

 

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